犬の毛はどのように成長する?
犬の毛の成長サイクルは、犬種や生活環境によって大きく変化します。
近年アレルギーを起こしにくい犬種(Hypoallergenic dogs)なるものが話題を集めており、プードルとテリア種のミックス犬が有名ですが、「ほとんど脱毛しない」というのがその根拠の1つとなっているようです。しかし犬アレルギーの原因は、抜け落ちた毛というよりも、犬の唾液(だえき)やフケなどに拠るところが大きいと言われています。ですから正確に表現すれば「抜け毛が少ないからアレルギーを起こしにくい」ではなく、「唾液やフケを媒介する抜け毛が少ないから、アレルギーを起こしにくい」となります。品種改良によって抜け毛が少ない犬はいるかもしれませんが、唾液やフケをまったくもたない犬は存在しませんので、必然的に「絶対にアレルギーを起こさない犬」はまだいません。
近年アレルギーを起こしにくい犬種(Hypoallergenic dogs)なるものが話題を集めており、プードルとテリア種のミックス犬が有名ですが、「ほとんど脱毛しない」というのがその根拠の1つとなっているようです。しかし犬アレルギーの原因は、抜け落ちた毛というよりも、犬の唾液(だえき)やフケなどに拠るところが大きいと言われています。ですから正確に表現すれば「抜け毛が少ないからアレルギーを起こしにくい」ではなく、「唾液やフケを媒介する抜け毛が少ないから、アレルギーを起こしにくい」となります。品種改良によって抜け毛が少ない犬はいるかもしれませんが、唾液やフケをまったくもたない犬は存在しませんので、必然的に「絶対にアレルギーを起こさない犬」はまだいません。
犬の毛周期
毛周期(もうしゅうき)とは一本の毛が生え始めてから抜け落ちるまでのサイクルのことです。一般的には「成長期-退行期-休止期」からなり、成長期において新しく出来た毛が古い毛を毛穴から押し出すことで脱毛(だつもう, shedding)が起こります。通常は、外気温が高くなり始める春先になると脱毛が始まり、逆に秋ごろになると毛の成長が促進されて冬の到来に備えます。これらの時期は換毛期(かんもうき)と呼ばれ、犬種によって年に2回迎えるものや、一年中脱毛し続けるものなど様々です。
ちなみに被毛は、犬の長期的なストレスを測る際の指標になってくれるという意外な一面を持っています。2016年、スウェーデンの研究チームは、被毛中に含まれるストレスホルモンの一種「コルチゾール」のレベルを1年近くかけて測定し、犬のストレスを低く抑えるためには、飼い主が頻繁に犬と交流し、ご褒美ベースのしつけ方を実践することが有効であることを突き止めました。詳しくはこちらの記事をご参照ください。
ちなみに被毛は、犬の長期的なストレスを測る際の指標になってくれるという意外な一面を持っています。2016年、スウェーデンの研究チームは、被毛中に含まれるストレスホルモンの一種「コルチゾール」のレベルを1年近くかけて測定し、犬のストレスを低く抑えるためには、飼い主が頻繁に犬と交流し、ご褒美ベースのしつけ方を実践することが有効であることを突き止めました。詳しくはこちらの記事をご参照ください。
トリミングが必要とされる犬種一覧
通常犬の毛は一定の長さになると成長をやめますが、犬種によっては毛が果てしなく伸び続けるものもいます。代表例は以下で、これらの犬種は定期的なトリミングが望まれます。
毛が伸び続ける犬種
犬の毛の生え方による分類
犬の毛の生え方には、犬種によって様々な特徴があります。以下は代表的な分類です。
ダブルコート
ダブルコート(double coat)とは上毛(うわげ, topcoat)と下毛(したげ, undercoat)の両方をもった毛のことです。上毛は主としてダメージから体を守る長くて粗い毛で、下毛は防水・防寒の役割を果たす柔らかい毛です。 ダブルコートを持つ代表的な犬種は以下ですが、もともと牧羊や狩猟など、屋外で活動するために品種改良された犬であることがお分かりいただけるでしょう。季節を問わず、屋外で長時間活動するためには、防寒性の高い厚い毛が必要だったのです。
ダブルコートの代表犬種
シングルコート
ヘアレス
ヘアレス(hairless)とは無毛(むもう)を意味し、体の一部に毛の生えない状態を指します。突然変異種として誕生した犬を選択繁殖した結果、遺伝的に毛の生えない犬が誕生しました。見た目はユニークですが、毛がない分、寒さや外傷(がいしょう)に非常に弱いという難点があります。代表的なヘアレスドッグとしてはメキシカンヘアレスドッグ、チャイニーズクレステドドッグ、ペルビアン・ヘアレス・ドッグなどが挙げられます。
なお、ヘアレス種でないにもかかわらず脱毛している場合は、何らかの疾患にかかっている可能性があります。詳しくは犬の毛のケアをご参照ください。
犬の毛の色一覧
数種類の遺伝子の影響により、犬の毛は実に様々な色を呈(てい)します。自然界においては外敵に見つかりにくい黒っぽい色の方が生存確率は高いはずですが、犬に関してはその限りではないようです。これは、ひとなつこい性格の犬を選択繁殖(人間が選り好んで繁殖すること)を繰り返した結果、なぜか白っぽい被毛をもつ犬が増えたからである、とも言われています。
ホワイト系統
ホワイトとは体毛の中に色素をほとんど含まない白い毛色を指します。遺伝子の異常によって色素が欠落した個体のことを「アルビノ」(albino)と呼び、同じく真っ白な毛をもっていますが、遺伝子の異常がない個体は眼の周囲や鼻、眼の色に黒を含んでいるため識別は可能です。また、肩甲骨(けんこうこつ)の間にややクリームがかった毛色が発現するという特徴からも判別できます。
ブラック系統
ブラックとは真っ黒な毛を指します。加齢に伴い白髪が増えてくると、特にマズル辺りで黒と白が交じり合い、うっすらと灰色を示すことがあります。
ブラウン系統
ブラウンとは茶色、もしくは茶色に近い毛色を指し、ブラウン系統に入る色としてはチェストナット(赤褐色)、マホガニー(赤褐色~栗色)、リバー(濃い赤褐色)、ダークブラウン(こげ茶色)、チョコレート、グレーブラウンなどがあります。チェサピークベイ・レトリバーの毛色は「極力作業する環境に溶け込む色」とされており、特別な用語として「Sedge」(スゲ色)や「Deadgrass」(枯れ草色)などが用いられることもあります。
レッド系統
レッドとはやや赤みがかった毛色を指し、チェストナット(赤褐色)、トーニー(黄褐色)、オレンジ、ローン、ラスト、レッドゴールド、レディッシュブラウン、ブロンズ、シナモン、タン(褐色)、ルビーなどを含みます。
ゴールド系統
ゴールドとは、ゴールデンレトリバーに見られるような、黄色にやや赤味が入ったような淡い金色を指します。イエローゴールド、ライオンカラー、フォーン(茶色がかった金色)、アプリコット、ウィートン(小麦色)、ストロー、イエローレッド、マスタード、サンディ、ハニーなどがこの系統です。
イエロー系統
イエローとはラブラドールレトリバーに見られるような黄色い毛色を指します。ブロンドやレモンがこの系統です。
クリーム系統
クリームとはイエローとホワイトの中間に位置する、淡い黄色を指します。定義づけが難しいため、人によってはホワイトに分類したり、逆にイエローの一種に位置づけることもあります。
グレー系統
グレーとは灰色の毛色を指し、ダークグレー、ペイルグレー、シルバー、ペッパー、グリズル、スレイト、スティール、などがこの系統に入ります。
ブルー系統
ブルーとは「青空」に見られるような鮮やかな青色ではなく、やや暗めで金属的なグレーを指します。
犬の毛のタイプ一覧
犬の毛は犬種によってさまざまな長さを持っています。べたべたとかわいがる愛玩犬や観賞用の犬は、比較的長くてサラサラした被毛を持っていますが、これは繁殖する側の人間が、見た目の美しさや触り心地を重視して繁殖した結果だと思われます。
ショートヘアー
ミディアムヘアー
ミディアムヘアー(medium-haired type)は、ちょうどショートヘアーとロングヘアーの中間程度の長さの毛で覆われた犬種を指します。明確な定義づけはありませんが、毛の長さが1インチ(約3センチメートル)よりも若干長い程度です。代表的なミディアムヘアータイプの犬種は以下です。
ミディアムヘアーの犬種
ロングヘアー
ワイヤーヘアー
ワイヤーヘアー(wire-haired type)は「ブロークンヘアー」(broken hair)とも呼ばれ、ごわごわした頑丈な毛で覆われた犬種を指します。一般的に抜け毛が少ないため、アレルギー体質の人が好んで飼うことも多いようです。 毛の手入れはブラッシングよりも、「プラッキング」(plucking-pluckとは英語で「引き抜く」の意味)と呼ばれるものが主流です。これは指やストリッピングナイフを用いて、絡まったり飛び出した毛を抜き取る作業を指します。ブラッシングよりも手間がかかりますが、犬の皮膚を刺激し、発毛を促す効果があります。代表的なワイヤーヘアータイプの犬種は以下です。
ワイヤーヘアーの犬種
カーリー
カーリー(curly coated type)は巻き毛で覆われた犬種を指します。水をはじく撥水性(はっすいせい)に優れているため、水中作業を得意とする犬種に多く見られます。非常に乾きやすいため、ブラッシングを施す際は専用のコンディショナーなどをスプレーして多少の湿り気を与え、毛が途中で切れてしまわないように気をつける必要があります。代表的なカーリーヘアータイプの犬種は以下です。
カーリーヘアーの犬種
コーデド
犬の毛のパターン一覧
毛の色や生え方や模様の位置などによって、犬の毛のパターンは千差万別(せんさばんべつ)です。ある特定の犬種においては、既に毛のパターンが決まっており、そのパターン以外では純血種とは認められない、といったものも存在します。 一部のブリーダーはこうした犬種標準(スタンダード)にこだわりすぎたり、あるいは人間の好奇心をそそる珍しい模様を追求しすぎて強引な繁殖に走り、結果として遺伝的な疾患をかかえる犬を生み出してしまうことあります。
タン
タン(tan)とは、やや赤茶色の毛色を指し、通常は眉毛の部分、マズル周辺、胸元、足先などに現れます。通常タンよりも濃い毛色と共に発現し、〇〇アンド・タンという表現が用いられますが、ブラック・アンド・タン、リバー・アンド・タン、ブルー・アンド・タンなどが代表です。ダックスフントでよく見られます。
バイカラー
バイカラー(bicolor)はホワイトスポットを有するあらゆる2色の毛色パターンを指します。キャバリア・キングチャールズ・スパニエルのバイカラーは特に「ブレンハイム」(Blenheim)と呼ばれ、胸元、首周り、腹部、足先(ブーツと呼ばれる)が白く、左右対称のバイカラーは特に「アイリッシュ・スポッテド」(Irish Spotted/もしくはFlashy)と呼ばれ、牧羊犬に多く見られます。
トライカラー
トライカラー(tricolor)とは、明確に区別できる三色の毛を有するパターンです。たいていは体の上部にブラック、レバー、ブルーなど濃い目の色が入り、体の下にホワイトが入りますが、白地に黒やタンの斑点が入ったパターンもまたトライカラーに含まれ、時に「ハウンド・コート」(hound coat)と呼ばれます。代表格はコリー、パピヨン、シェットランド・シープドッグ、ビーグルなどです。
マール
マール(merle)とは大理石のような不規則な縞模様(しまもよう)を有する毛パターンのことで、地色の上に地色より濃い斑点が入るのが普通です。ダックスフントのマールは特に「ダップル」(dapple)とも呼ばれます。
タキシード
タキシード(tuxedo)とはバイカラーの一種で、単一の地色(通常は黒)を有し、顎の下と腹部に「シャート・フロント」(shirt front)と呼ばれるワイシャツのような白いパッチの入ったパターンのことです。セントジョンズ・ウォータードッグを祖先とするラブラドールのミックス犬で多く見られます。
ハーレクイン
ハーレクイン(harlequin)とは白地に黒(もしくはブルー)のまだら模様が入ったパターンで、名前は中世の演劇界において、派手なまだら衣装を身にまとっていた道化役者に由来しています。まだらの大きさは不規則で、この点においてスポット(斑点)とは区別されます。グレートデンのみが発現する毛色パターンです。
スポット
スポット(spot)とは明るい地色の上に濃い色の毛が点々と現れた毛パターンを指します。ダルメシアンが代表格ですが、この犬種の毛には少なくとも三種類の斑点遺伝子の突然変異が関わっています。
ブリンドル
サドル
サドル(saddle)とは、背中の中央部分に、地色よりも濃い毛が覆いかぶさったパターンを指します。ちょうど毛布をかけたような外観から、「ブランケット」(blanketは毛布の意味)の異名を持ちます。ちなみにサドルとは英語で「鞍」(くら)の意味で、エアデールテリアによく見られます。
セーブル
セーブル(sable)とは、イエロー、シルバー、グレイ、タンなどの地色の中に、先端だけが黒い毛がところどころ混じったパターンを指します。毛全体が黒いわけではないため、全体的に淡くグラデーションがかかったような印象を与えます。ポメラニアンによく見られます。
パーティカラー
パーティカラー(particolor)とは、白地にはっきりと区別できる1~2色の斑点があるパターンです。バイカラーやトライカラーの亜種ととらえることも出来ます。ちなみに「particolor」とは「雑色」(ざっしょく)の意味。