詳細
調査を行ったのは、スウェーデン・リンシェーピング大学の研究チーム。59頭のジャーマンシェパードから、1月、5月、9月というタイミングで被毛を採取し、中に含まれるストレスホルモンの一種「コルチゾール」のレベルを計測しました。その結果、ペット犬や作業犬よりも、「IPO」と呼ばれる競技会に出場する競技犬の方が高い値を記録し、その傾向は5月や9月よりも1月において強く現れたといいます。また、飼い主へのアンケートから犬の性格を分類する「C-BARQ」という調査を行ったところ、ストレスの度合いは「見知らぬ人に対する攻撃性」という項目と正の相関にあったとのこと。さらに、犬と頻繁に遊んだり、犬のしつけにおもちゃやおやつといったご褒美を用いている飼い主では、犬のストレスレベルが低下する傾向が見られたそうです。
こうした知見から研究チームは、犬の被毛は長期的なストレスレベルを推し量る際の重要な指標になりうるとの結論に至りました。また、犬のストレスを低く抑えるためには、飼い主が頻繁に犬と交流し、ご褒美ベースのしつけ方を実践することが有効であろうとしています。 Hair cortisol varies with season and lifestyle and relates to human interactions in German shepherd dogs
こうした知見から研究チームは、犬の被毛は長期的なストレスレベルを推し量る際の重要な指標になりうるとの結論に至りました。また、犬のストレスを低く抑えるためには、飼い主が頻繁に犬と交流し、ご褒美ベースのしつけ方を実践することが有効であろうとしています。 Hair cortisol varies with season and lifestyle and relates to human interactions in German shepherd dogs
解説
ストレスの指標となるコルチゾールは血液や唾液から調査するのが一般的です。しかしこの方法では、数分から数時間単位という急性ストレスのレベルしかわかりません。今回行われた被毛を用いたコルチゾール測定は、急性ストレスのレベルはわからない代わりに、数ヶ月単位の長期的なコルチゾールレベルが分かるいう特徴を有しています。研究チームによると、採取した被毛は胸元の毛でも首筋の毛でも、また上毛でも下毛でも同じような変動パターンを見せたと言います。人間においても、うつ病、失職中、人生におけるショッキングな経験といった長期的なストレスに伴い、頭髪中のコルチゾールレベルが変動すると言いますので、犬の長期ストレスを推し量る際の指標として「被毛」はかなり有望と考えて良いでしょう。