犬のしっぽの構造
以下でご紹介するのは、犬のしっぽの断面図です。しっぽをもたない人間には存在しない数々の筋肉と神経によって支配されており、あらゆる方向へ動かすことができます。
犬のしっぽ・断面解剖図
- 内背側仙尾筋内背側仙尾筋(ないはいそくせんびきん)が左右同時に収縮すると、しっぽが上に上がる。右のみ、もしくは左のみの筋肉が収縮すると、斜め上方に持ち上がる。
- 外背側仙尾筋外背側仙尾筋(がいはいそくせんびきん)は、内背側仙尾筋と尾横突間筋の補助的な役割を果たす。どちらかの筋が損傷を受けても、この筋肉が機能を補完してくれる。
- 尾横突間筋尾横突間筋(びおうとつかんきん)は、尾椎一つ一つに付着する非常に小さな筋肉で、主としてしっぽを横に曲げる。部分的に収縮させることで、しっぽの細かい「くねり動作」を生み出すことが出来る。
- 直腸尾筋 直腸尾筋(ちょくちょうびきん)は、左右同時に収縮することでしっぽを下に引きこむ。けんかに負けたオス猫のしっぽを巻き込む動作にはこの筋肉が作用している。
- 外腹側仙尾筋 外腹側仙尾筋(がいふくそくせんびきん)が左右同時に収縮すると、しっぽが下に下がる。右のみ、もしくは左のみの筋肉が収縮すると、斜め下方に下がる。
- 内腹側仙尾筋 内腹側仙尾筋(ないふくそくせんびきん)は、外腹側仙尾筋と直腸尾筋の補助的な役割を果たす。どちらかの筋が損傷を受けても、この筋肉が機能を補完してくれる。
犬のしっぽの種類
犬の尾の一般的な形を解説します。プードルやミニチュアシュナウザーなどは非常に短いしっぽをもち、ピョコピョコ動いてかわいいですが、実は生まれつき短いわけではなく、犬種標準に適合するため、人為的にカットされています。ですから「短尾」ではなく「断尾」ですね。愛犬家としては考えるべき点が多い犬の尾に対して行われる整形手術に関しては犬の断尾をご参照ください。
犬の尾の形一覧
- 垂れ尾 「垂れ尾」(たれお)とはお尻の下にだらんと垂れ下がったしっぽのことで、もっとも良く見るタイプの1つです。
- スクリューテイル 「スクリューテイル」(corkscrew tail)とは、ちょうどコルク抜きのようにクルクルとらせん状に巻いたしっぽのことで、パグやブルドッグがこのしっぽの代表です。
- 飾り尾 「飾り尾」(かざりお)とは、ふさふさの毛がしっぽ全体を覆った状態のしっぽで、ゴールデンレトリバーなどがこのしっぽの代表です。
- ボブテイル 「ボブテイル」(bob tail)とはしっぽが全くないか、ごく短いものしか生えていないしっぽのことで、オーストラリアンシェパードや、ウェルシュコーギー・ペンブロークなどがこのしっぽの代表です。
- 立ち尾 「立ち尾」(たちお, flagpole tail)とは、お尻の上に垂直に立った状態のしっぽのことです。ビーグルなどがこのしっぽの代表です。
- 鎌尾 「鎌尾」(かまお, sickle tail)とは、緩やかな曲線を描き、ちょうど鎌の刃のような形をしたしっぽのことで、チワワやシベリアンハスキーなどがこのしっぽの代表です。
- リス尾 「リス尾」とは、ちょうどリスのしっぽのようにフサフサな毛で覆われ、体の上に巻き上がった状態のしっぽで、パピヨンなどがこのしっぽの代表です。
- 巻き尾 「巻き尾」(まきお)とは、しっぽが体の上にくるんと巻き上がった状態のしっぽで、柴犬などがこのしっぽの代表です。
犬のしっぽが表す感情
しっぽは犬の感情を如実に示す部位です。しっぽの動きと犬の気持ちや感情との関連性は、一般的に以下のようにまとめられます。
犬のしっぽの動きと感情
- しっぽを左右に小刻みに振る~喜び・興奮
- しっぽを左右にゆっくりと振る~不安・好奇心
- しっぽを後足の間に巻き込む~恐怖・服従
- しっぽをピンと直立させる~自信・誇示
- しっぽをだらりと下に垂らす~無関心
- しっぽを水平に維持する~未知の状況への不安