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大型犬は凶暴である?

 犬の都市伝説の一つである「大型犬は凶暴である」について真偽を解説します。果たして本当なのでしょうか?それとも嘘なのでしょうか?

伝説の出どころ

 「大型犬は凶暴である」という固定観念の根底には、体が大きな動物に対して人間が感じる本能的な恐怖感がある事は間違いないでしょう。しかし、先天的な感覚によって形成された固定観念の強化には、テレビや新聞による偏向報道のほか、映画やゲームといった文化作品が、後天的に寄与しているように思われます。

メディアによる報道

 「大型犬は凶暴である」という風説は、過去にメディアを通して報道された犬による咬傷事故によって形成されている可能性があります。例えば以下は2000年以降に発生した犬の咬傷事故のうち、読売新聞のデータベースでヒットしたものの一部です。その全てが大型犬によって引き起こされていることがおわかりいただけるでしょう。
大型犬による咬傷事故(2000年以降)
  • 2003年3月・愛知県 愛知県中川署は18日までに、散歩中の男性に噛み付き重傷を負わせた大型犬の飼い主を、重過失傷害の疑いで逮捕した。同容疑者はアメリカンスタッフォードシャーテリア(体長約1m・オスの2歳)のリードを外した疑いが持たれている。またこの犬は2001年からこれまでに7人と犬3匹に噛みついた前科があった。
  • 2008年3月・愛知県 愛知県尾張旭市で昨年5月、散歩中の主婦が大型犬に襲われて怪我をした事件で県警生活経済課と瀬戸署などは26日、大型犬の飼い主だった住所不定アルバイト店員を重過失傷害の疑いで逮捕した。調べによると容疑者は大型犬が人に危害を加える恐れがあると知りながら、昨年5月4日午後7時頃、同市のグラウンドに大型犬グレートデン6頭を放した。このうち数頭が同市の主婦の飼い犬に襲いかかった上、女性の左薬指に噛み付き軽症を負わせた疑いが持たれている。
  • 2009年6月・愛知県 愛知県警西枇杷署は25日、北名古屋市内の無職の男を過失傷害容疑で書類送検した。容疑者は飼い犬のジャーマンシェパードを連れて自宅の外に行った際、逃げないようにリードをしっかりと握っていなかったため、興奮した犬が通りがかった近所の主婦の左脇腹に噛み付き、軽症を負わせた疑いが持たれている。犬は体長1m10cm・体重35kgの大型犬だった。
  • 2013年10月・東京 俳優の反町隆史さん、松嶋菜々子さん夫妻の飼い犬が自宅マンションの隣人に噛みついた事故をめぐる訴訟の控訴審で東京高裁は10日、夫妻に対し隣人退去で賃料収入を失った部屋の管理会社に1,725万円を支払う判決を言い渡した。隣人の女性は2011年、夫妻が飼うドーベルマンに噛まれて負傷し、部屋の契約を解除して一家で退去した。
  • 2014年8月・山梨県 3日午前5時頃、山梨市から観光できていた男性が犬の散歩中、近くの観光施設「県立フラワーセンターハイジの村」で飼われている大型犬のセントバーナードに右腕を噛まれて軽傷を負った。犬はオスで4歳、体長110cmだった。この犬は先月26日にも、園内で散歩中に突然走り出し、観光客に噛み付きけが負わせた前科があった。
  • 2014年5月・北海道 北海道白老町の海岸で2月、主婦が犬に襲われて溺死した事件で札幌地検苫小牧支部は14日、飼い主の男を重過失致死罪で札幌地裁苫小牧支部に起訴した。犬は土佐犬で体重45kgだった。男は犬が噛み付いて意識を失った女性を、波打ち際に放置して溺死させた疑いが持たれている。
  • 2015年9月・千葉県 9月14日午前2時頃、松戸市の路上で女性が犬に噛まれたという110番通報があった。松戸署地域課の3人は、飼い主に噛み付こうとする犬を制止しようと、犬に追いかけられながら約200m移動し、拳銃合計13発を発砲。同市稔台の路上で犬を射殺した。犬は7歳オスの紀州犬で、体長1m22cm・体重21kgだった。署員3人は犬が倒れるまでの約10分間交互に発砲した。
 こうした過去の行動が記憶の片隅に残っていると、「大型犬=怖い」という固定観念につながってしまうのも無理はありません。さらに「警察犬の訓練風景」や「土佐犬の闘犬」といった映像をメディアを通じて見聞きした人は、上記した固定観念をより一層強固にすることでしょう。

映画の影響

 古いところでは「リンティンティン」、新しいところでは「ラッシー」など、犬をヒーロー(英雄)とした娯楽作品はたくさんあります。しかしその一方、犬をヒール(悪者)にした作品も同じくらいたくさんあります。この背景には「身近な存在が恐怖の対象になる」という設定の方が、より観客を怖がらせることができるという計算があるのかもしれません。以下は犬が悪役として登場する映画の一例です。
恐い犬が出てくる映画
  • The Pack(1977)→詳細
  • Devil Dog: The Hound of Hell(1978)→詳細
  • Play Dead(1983)→詳細
  • Dogs of Hell(1983)→詳細
  • Monster Dog(1984)→詳細
  • Man's Best Friend(1993)→詳細
  • Rottweiler(2004)→詳細
  • The Breed(2006)→詳細
  • Wilderness(2006)→詳細
1984年公開映画「play dead」のパッケージ  小型犬がキャンキャン吠えても大して怖くありませんので、必然的に体の大きな犬が低く大きな声で唸るという状況が多用されるようになります。その結果、映画の影響で「大型犬=凶暴」というイメージを持ってしまう人が増える事は容易に想像がつきます。「101匹わんちゃん」が公開された後、ダルメシアンの人気が急上昇したといいますので、「Rottweiler」が公開された後、ロットワイラーはさぞかしイメージダウンしたことでしょう。

伝説の検証

 テレビや新聞をはじめとするメディアや、映画を始めとする文化作品を通じて「凶暴である」というイメージと結びつけられた大型犬は、果たしてどの程度凶暴なのでしょうか?この疑問を検証するためには、海外において数多く行われている「危険犬種」に関する調査が役に立ってくれるでしょう。以下では、主に咬傷事故の数を元にして調査した結果「危険犬種が認められた」という報告と、逆に「危険犬種は認められなかった」という報告とに分けてご紹介します。

危険犬種は存在する

 以下でご紹介するのは、ある特定犬種は咬傷事故を起こしやすい、すなわち「危険犬種である」と認めた調査報告です。調査ごとに全く違う犬種名を挙げているという点は注目に値します。
危険犬種を認めた調査・研究
 ダックスフント、チワワ、ジャックラッセルテリア、ミニチュアシュナウザー、ウェストハイランドホワイトテリアなど、一部に小型犬の名前が散見されますが、その他は全て大型犬で占められていることがお分かりいただけるでしょう。

危険犬種は存在しない

 ある特定犬種を危険であると結論付けた調査がある一方、「危険犬種はいない」と結論づけた調査報告もあります。例えば2011年、232人の飼い主を対象として行われた調査では、「犬同士の間で見られる攻撃性」には性別や年齢が関連しており、また「人に対する攻撃性」や「動くものに対する攻撃性」には、犬の体の大きさが関連していたものの、一般的に「危険である」と思われている犬種が、他の犬種よりも攻撃的であるという証拠は見られなかった、との結論に至っています(→出典)。また危険犬種の存在を認める過去の調査報告を総括したところ、「結局危険犬種と呼べるものは存在しない」という逆の結論に至ったというメタ分析の結果もあります。以下はその一例です。

AVMAによるメタ分析

 「全米獣医師協会」(AVMA)は2012年に公開した「咬傷事故の危険性と予防における犬種の役割」という声明文の中で、ある特定犬種がとりわけ危険であるとは言えないと主張しています。文中で論じられているのは主に以下のような点です。
AVMA声明文
  • 分子と分母の関係 「飼育されている犬の数」という分母が大きくなれば、「犬による咬傷事故」という分子も大きくなるのは当然です。例えば1990年から1995年にかけ、ロットワイラーはアメリカンケネルクラブの登録数でピークを迎えました。この年における咬傷事故の上位を見てみると、やはりロットワイラーが登場しています。しかしこの現象は、ロットワイラーがとりわけ危険な犬種であることを証明するものではなく、飼育頭数と言う分母が大きくなったから、咬傷事故という分子も連動して大きくなったと言う単純な関連性を示しているに過ぎません。
  • 小型犬の潜在化 大型犬よりも小型犬の方が噛み付く頻度が高いにもかかわらず、咬傷事故として報告されない事例がたくさん隠れている可能性があります。例えばカナダで行われた調査によると、ラサアプソウェルシュスプリンガースパニエルシーズーが噛み付きやすい犬種として挙げられています。しかしこうした小型の犬は、乳幼児や老人など怪我をしやすい人間を攻撃対象とした場合や、集団で襲いかかった場合以外、咬傷事故としてカウントされることがありません。その結果、噛み付く頻度が高いにもかかわらず、危険犬種としてはカウントされないという潜在化が生じてしまいます。
  • 犬の飼育環境 犬がどこで飼育されているかという点も咬傷事故の発生に大きく関わっています。例えば家庭でペットとして愛情を受けながら飼われている犬と、ギャングに闘犬用の噛ませ犬として用いられている犬とでは、全く飼育環境が異なり、結果として性格や行動様式に違いが生じてしまうでしょう。人に噛み付きやすいのは当然後者ということになります。
  • ピットブルの濡れ衣 「ピットブルタイプ」と呼ばれている犬には、一般的にアメリカンピットブルテリア(スタッフォードシャーブルテリア)、アメリカンスタッフォードシャーテリアが含まれます。偶発的に犬に噛まれてしまった人が、病院内で犬のタイプを思い返して口述する時、漠然とした印象から「ピットブル」という表現を選ぶかもしれません。結果として、「ピットブルタイプ」の大型犬がやってもいない咬傷事故の濡れ衣を着せられている可能性が大いにあります。実際、2016年に行われた調査では、たとえ犬と日常的に接している専門家でも、外見だけから犬種を言い当てることはできないとの結果が出ています(→詳細)。
 AVMAは「国立動物保護統制協会」(NACA)が公開しているガイドライン中の「危険もしくは凶暴な動物というレッテルは、品種に対してではなく、実際に行動を起こした個体に対して貼られるべきである」という文言を引用し、「特定犬種に対して危険というレッテルを貼るのは早計である」と主張しています。また上記したさまざまな理由から「もし咬傷事故の減少を目的として特定犬種の飼育を禁止するならば、大型犬の飼育を全面的に禁止しなければならないだろう」との結論に至っています。

コネチカット大学の調査

 2004年、動物に関する法律資料を集めたデータベース「Animal Legal & Historical Center」で発表された調査報告書では、犬種ごとの咬傷事故発生率を正しく計算した統計データは一つもなく、必然的に危険犬種というものは存在しないと結論付けています(→出典)。
 2003年の春、テキサス州のロースクールに教師としての職を得たラリー・カニンガム氏は、早速テキサスに引越し、マイホームを購入しようとしました。ところが、打診した数多くの保険会社から加入を断られたといいます。理由は、保険会社が危険とみなすスタッフォードシャーブルテリアチャウチャウロットワイラーをカニンガム氏が飼っていたことでした。最終的には犬を受け入れてくれる保険会社を見つけることができたものの、同氏はこの体験を機に、保険会社が導入している「犬種差別」には果たして統計学的な根拠があるのかどうかを調べてみようと思い立ちました。 アメリカの保険会社で危険と認定されている犬種もある  カニンガム氏は早速、「アメリカ疾病予防管理センター」(CDC)の調査報告書を始め、アメリカ国内で過去に公表された犬の咬傷事故に関する統計データを一つ一つ精査し直しました。その結果、特定犬種が危険であると断言できるような、説得力のある統計調査はただの一つもなかったといいます。
 こうした事実から同氏は、保険会社が導入している「犬種差別」というシステムは、まったく根拠のない思い込みや、重役連中の何気ない思いつき以上の意味は無いとの結論に至り、行政機関はただちに、このようなシステムを禁止するための法制度を確立するべきであると主張しています(→出典)。

伝説の結論

 2015年の時点で、犬種別に咬傷事故の発生率を検証した統計調査がないため、「大型犬=凶暴」という安易な思い込みを抱くのは誤りと言えそうです。しかし調査の有無にかかわらず確実に言えることは、万が一咬傷事故が起こってしまった場合、小型犬に噛まれた時よりも大型犬に噛まれた時の方が、重大な怪我につながってしまうという点です。犬に接する人間が気を付けるべきことは、根拠があいまいな危険犬種に関する都市伝説に振り回されることではなく、犬に噛まれないよう細心の注意を払い、最善の予防策を講じることと言えるでしょう。 犬の咬傷事故は、飼い主、加害犬、被害者全てにとってマイナス  犬による咬傷事故は、被害者、飼い主、犬の全てにとってマイナスに作用します。被害者は咬傷による怪我のほか、傷口から入ったウイルスや細菌による二次的な感染症に苦しむかもしれません。犬が第三者を噛んでしまった場合、怪我の度合いによっては飼い主が「重過失傷害」で訴えられる可能性もあるでしょう。また、飼い主の管理上の問題から咬傷事故が発生したと行政が判断した場合、犬が保健所に収容されて最終的に殺処分という憂き目に遭うことだってありえます。
 上記したように、犬による咬傷は誰に対しても得になりません。以下では、この不毛な咬傷事故を予防するためのヒントを列挙しますのでご参照ください。

飼い主の側の注意点

 大型犬によって引き起こされた日本国内における過去の咬傷事故を検証してみると、「野犬の群れが突然現れて農民を襲った!」といったドラマチックなものは限りなくゼロに近く、そのほとんどは飼い主による単純な不注意やルール違反が原因であることがわかります。以下はその具体例です。
咬傷事故と飼い主の過失
  • 2003年3月・愛知県散歩中の男性にアメリカンスタッフォードシャーテリアが噛み付き重傷を負わせた →噛み付きの前科があるにもかかわらず飼い主が犬のリードを外した。
  • 2008年3月・愛知県散歩中の主婦がグレートデンに襲われて怪我をした →ドッグランでもないのに飼い主がグラウンドに大型犬6頭を放した。
  • 2009年6月・愛知県興奮したジャーマンシェパードが通りがかった近所の主婦に噛み付いた →外に行った際、飼い主が犬のリードをしっかり握っていなかった。
  • 2012年4月・東京代々木公園のランナーにドーベルマンが噛みついた →係員に注意されたにもかかわらず、飼い主がドッグラン以外の広場で犬を放していた。
  • 2013年10月・東京俳優の反町隆史さん、松嶋菜々子さん夫妻のドーベルマンが自宅マンションの隣人に噛みついた →大型犬の飼育を禁止するマンション規約に違反していた。
  • 2014年8月・山梨県観光で来ていた男性が、近くの施設「県立フラワーセンターハイジの村」で飼われているセントバーナードに噛みつかれた →犬の散歩を担当していた人物が大型犬の力をしっかりコントロールできていなかった。
 上記したように、咬傷事故のほとんど全てに飼い主の監督不行き届きが関わっていることがお分かりいただけるでしょう。裏を返せば、大型犬の飼い主さえ注意を怠らなければ、ほとんど全ての咬傷事故は予防が可能だということでもあります。具体的には以下のような注意点を遵守していれば、ニュースになるような大きな事故は起こらないと思われます。
大型犬飼育上の注意
  • リードを手放さないよう二重に巻いて握る
  • リーダーウォークを完璧にしつける
  • 不測の事態に備えてヘッドカラーを用いる
  • マンションの規約に違反しない
  • 檻の鍵をしっかりチェックする
  • 犬のストレスを溜めない
 最後に挙げた「犬のストレスを溜めない」という項目はとりわけ重要です。2015年9月、飼い主の家を抜け出した紀州犬が近隣の人に噛み付き、最終的に13発の銃弾を受けて射殺された事件は記憶に新しいでしょう。この事件の背景にも、どうやら飼い主の側の落ち度と犬のストレスが関わっているようです。警察の調べに対して飼い主が語った「3~4年前から散歩の量が減り、家族に噛みつくようになった」という発言の中には、多くの教訓が潜んでいます。 リーダーウォークのしつけ 犬の幸せとストレス

犬と接する人の注意点

 犬を飼っていようといまいと、咬傷事故に遭遇する危険性は常にあるといえます。具体的には「犬を散歩中よその犬とすれ違う」、「ドッグランで他の犬と交流する」、「道端で大型犬とすれ違う」、「コンビニの前に繋がれている犬を撫でようとする」などです。しかしちょっとした注意点さえ心がけておけば、多くの咬傷事故は予防が可能だと思われます。以下でご紹介するのは代表的な予防策です。

万人向けの対策

 「アメリカ疾病予防管理センター」(CDC)では、犬の咬傷事故を防ぐための一般的な予防法をネット上で公開しています。また「全米郵便局」(USPS)は郵便配達人に対し、「人類最良の友にだって機嫌の悪い日はある」と題された啓蒙書を配布して咬傷事故に対する注意を呼びかけています。以下では「CDC」と「USPS」の対策マニュアルの中から共通部分を抜粋してご紹介します。これらは性別や年齢に関わりなく重要な項目です。 アメリカ疾病予防管理センター(CDC) 全米郵便局(USPS)
すべきでないこと
  • 見知らぬ犬に近づく
  • 犬から走って逃げる
  • 係留されていたり檻に入れられている犬にむやみに近づく
  • パニックに陥って大きな音を出す
  • 睡眠中、食事中、育児中の犬にちょっかいを出す
  • 犬に挨拶する前になでなようとする
  • 犬と激しい遊びに興ずる
  • 大人がいない場所で子供と犬を2人きりにする
見知らぬ犬が近づいてきた時
  • 黙ってじっと静かにする
  • 目を直接見ない
  • 体の脇を犬に向ける
  • 犬が見えなくなるまで静かにしておく
犬に噛まれそうなときは
  • 攻撃してきたら大きな音を出す
  • 攻撃してきたら低く大きな声で「No!」という
  • カバンやジャケットで攻撃を防ぐ
  • 体の前に障害物を置く
  • 倒されたらボールのように丸くなり、両手で耳と首を隠す
  • すぐに病院で手当てを受ける

子供のための対策

 「アメリカ疾病予防管理センター」(CDC)のデータによると、被害に遭いやすいのは5歳から9歳の子供、男性で、咬傷事故の半分以上は家庭内で起こり、2頭の犬を飼っている人では噛まれる確率が5倍になるとのことです。大人に比べて体力のない10歳未満の子供が襲われてしまった場合、重大な怪我につながる危険性が高いため、若い年代における咬傷事故予防はとりわけ重要だと考えられます。
 2015年に行われた調査によると、犬の攻撃性には多くの場合、前提として恐怖という感情があったと言います(→出典)。また2006年に行われた調査によると、大人に比べて子供では犬のボディランゲージから恐怖の感情を読みとることが下手であるとのこと(→出典)。こうした事実を考え合わせると、子供に対して犬の感情を読み取る特別な教育をし、むやみに近づかせないことが咬傷事故予防には不可欠だと思われます。 大人と子供の視点には違いがあり、これが「怖がっている犬」に対する認識の差を生み出している  幸い2015年に行われた調査では、学童期に入る前の幼い子供でも、犬の感情を読みとる特殊なトレーニングを受けておくと、それなりにボディランゲージを解釈できるようになったという結果が出ていますので、やる価値は大いにあるでしょう(→出典)。犬の出すサインから感情を読み取る方法については以下のセクションにまとめてありますのでご参照ください。 犬の心を読む訓練