犬の免疫介在性関節炎の病態と症状
犬の免疫介在性関節炎とは、本来、生体を守るべきはずの免疫系が、なぜか自分自身の関節を異物とみなして攻撃してしまう現象のことです。
炎症性細胞、滑膜細胞、軟骨細胞から組織を破壊する酵素が放出され、結果として関節の破壊が起こります。破壊の結果、関節にびらんが生じたものが「びらん性関節炎」、生じていないものが「非びらん性関節炎」です。「びらん」とは、組織の上層部が破壊された状態のことで、関節の場合は関節軟骨や軟骨周辺の骨が虫食い状に破壊された状態を指します。「びらん性」の方がより重症ですが、犬における発症率は1%程度です。 免疫介在性関節炎の主な症状は以下です。こうした症状のうち7つを満たし、なおかつ(※)が付いた項目を2つ以上含んでいる場合は、「びらん性関節炎」と呼ばれます。人間でいうところの「慢性関節リウマチ」(RA)です。
炎症性細胞、滑膜細胞、軟骨細胞から組織を破壊する酵素が放出され、結果として関節の破壊が起こります。破壊の結果、関節にびらんが生じたものが「びらん性関節炎」、生じていないものが「非びらん性関節炎」です。「びらん」とは、組織の上層部が破壊された状態のことで、関節の場合は関節軟骨や軟骨周辺の骨が虫食い状に破壊された状態を指します。「びらん性」の方がより重症ですが、犬における発症率は1%程度です。 免疫介在性関節炎の主な症状は以下です。こうした症状のうち7つを満たし、なおかつ(※)が付いた項目を2つ以上含んでいる場合は、「びらん性関節炎」と呼ばれます。人間でいうところの「慢性関節リウマチ」(RA)です。
免疫介在性関節炎の主症状
- 6週間持続して安静時の関節のこわばりがある
- 6週間持続して1つ以上の関節を動かすときに痛みや不快感がある
- 6週間持続して1つ以上の関節に腫れがある
- 3ヶ月以内に別の関節に1つ腫れを生じる
- 6週間持続して左右対象に関節の腫れがある
- 皮膚の下に結節がある
- 関節リウマチに典型的な皮下結節の病理組織学的所見がある
- 関節リウマチに典型的な滑膜の病理組織学的所見が見られる(※)
- リウマチ因子に血清学的な陽性反応がある(※)
- X線検査で関節のびらん性変化を確認できる(※)
犬の免疫介在性関節炎の原因
犬の免疫介在性関節炎の原因としては、主に以下のようなものが考えられます。予防できそうなものは飼い主の側であらかじめ原因を取り除いておきましょう。
犬の免疫介在性関節炎の主な原因
- びらん性関節炎 びらん性関節炎の原因は、人間における慢性関節リウマチと同様よく分かっていません。発症年齢は8ヶ月齢~8歳と幅があり、小型犬種やトイ犬種で多いとされます。遺伝性が確認されているのは、アメリカとオーストラリアにおけるグレーハウンドだけです。
- 非びらん性関節炎 非びらん性関節炎には、他の基礎疾患が原因となって二次的に発生するものと原因不明のものとがあります。基礎疾患は、全身性エリテマトーデス、多発性筋炎、結節性多発性動脈炎、家族性アミロイドーシス(シャーペイ) 、若年性多発性関節炎(秋田犬)、リンパ球形質細胞性滑膜炎(ジャーマンシェパード)などです。原因がよくわからない場合は「特発性」と呼ばれますが、実はこちらが大半を占めています。
犬の免疫介在性関節炎の治療
犬の免疫介在性関節炎の治療法としては、主に以下のようなものがあります。
犬の免疫介在性関節炎の主な治療法
- 投薬治療 非びらん性関節炎に関しては、炎症や過剰な免疫応答を抑えるためにグルココルチコイドの投与が行われます。2~16週間で症状は治まりますが、治療を中止した場合は30~50%の確率で再発が見られるとも言われています。一方、びらん性関節炎に関しては、症状を完全に無くす事は困難ですが、上記薬物を用いれば病気の進行を遅らせることは可能です。どちらのタイプにしても、薬物の副作用として発生する医原性のクッシング症候群には注意が必要となります。
- 生活の質を維持する 犬のQOL(生活の質)を維持するために飼い主の側でできることがあります。例えば、 激しい運動を避ける、筋肉の萎縮を防ぐためある程度の運動はさせる、体重管理を行う、床ずれを予防するなどです。特にびらん性の場合は、投薬治療を生涯にわたって継続する必要があるため、根気と愛情が重要となるでしょう。