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犬の肘関節形成不全(肘異形成)~症状・原因から治療法まで筋骨格系の病気を知る

 犬の肘関節形成不全(ひじかんせつけいせいふぜん)について病態、症状、原因、治療法別に解説します。病気を自己診断するためではなく、あくまでも獣医さんに飼い犬の症状を説明するときの参考としてお読みください。なお当サイト内の医療情報は各種の医学書を元にしています。出典一覧はこちら

犬の肘関節形成不全の病態と症状

 犬の肘関節形成不全とは、前腕部と上腕部を連結する肘関節に異常が発生した状態のことです。
 肘関節は、上腕部を形成する「上腕骨」と、前腕部を形成する「橈骨」(とうこつ)、「尺骨」(しゃっこつ)という3本の骨がうまくかみ合わさることで構成されています。しかし、こうした構造のどこか1ヶ所にでも異常があると関節がうまく噛み合わなくなり、痛みや運動障害を引き起こしてしまいます。この状態が「肘関節形成不全」です。 犬の肘関節形成不全(肘異形成)~肘突起癒合不全・内側鉤状突起離断・離断性骨軟骨炎  肘関節形成不全の好発部位は、肘の内側に集中しています。具体的には、尺骨の上端にあり、 フックのように上腕骨と連結する「肘頭骨端」(ちゅうとうこったん, 肘突起とも)の癒合不全や、肘の内側に当たる「内側鉤状突起」(ないそくこうじょうとっき)、「内側上顆」(ないそくじょうか)の離断といった病変が代表格です。
 肘関節形成不全の症状には以下のようなものがあります。発症するのは、骨が活発に成長する4ヶ月齢~10ヶ月齢の間で、約半数が両側性です。
肘関節形成不全の主症状
  • 歩き方がおかしい
  • 運動を嫌がる
  • 前脚の形がおかしい
  • 関節に水が溜まる
  • 変形性関節症の併発

犬の肘関節形成不全の原因

 犬の肘関節形成不全の原因としては、主に以下のようなものが考えられます。予防できそうなものは飼い主の側であらかじめ原因を取り除いておきましょう。
犬の肘関節形成不全の主な原因

犬の肘関節形成不全の治療

 犬の肘関節形成不全の治療法としては、主に以下のようなものがあります。
犬の肘関節形成不全の主な治療法
  • 外科手術 肘突起の癒合不全に対しては、スクリューによる固定や骨切り術、内側鉤状突起や内側上顆の離断性骨軟骨炎に対しては、関節鏡や関節切開による骨片や軟骨片の除去が行われます。
  • 安静療法 症状が落ち着くまで激しい運動を避け、極力安静を心がけるようにします。また体重制限をすることも重要です。
  • 投薬治療 痛みが激しく日常生活に支障をきたしているような場合は、抗炎症薬や鎮痛剤が投与されることもあります。