10月29日
過去に発生した人間の顔面部に対する犬の噛み付き事故を調査した結果、噛み付きを誘発してしまう人間側の行動パターンが明らかになりました。調査を行ったのはチェコ共和国メンデル大学の動物研究部門。過去に発生した132件に及ぶ顔面への噛み付き事故を解析したところ、犬の噛み付き行動の直前には、人間がある特定の行動パターンを見せていたと言います。具体的には以下。
噛み付き誘発行動
- 犬の上にかがみ込む(76%)
- 犬の口元に顔を近づける(19%)
- 犬の目を近くからじっと見つめる(5%)
こうした事実から研究チームは、 1歳以上の成犬を飼っている家庭において、特に子供は「かがみ込む」、「顔を近づける」、「じっと目を見つめる」といった噛み付きを誘発するような行動を避けるべきである、と忠告しています。
子供と犬がじゃれあっている光景には心がなごみますが、上記したような最低限のルールくらいは、小さい頃から子供たちに教えておいた方がよさそうです。 Human behavior preceding dog bites to the face
10月27日
視線追跡装置を使った調査により、自閉症や注意欠陥多動性障害を抱えた子供たちは、人間よりも犬の顔の方を長く見つめる傾向があることが明らかになりました。調査を行ったのは、ブラジル・サンパウロ大学の研究チーム。「自閉症スペクトラム」(ASD)と「注意欠陥多動性障害」(ADHD)を抱える子供たちに共通して見られる「社会的交流能力の低さ」という側面が、一体何に起因するのかを明らかにするため、見ている対象物を解析する視線追跡装置を用いた調査を行いました。対象となったのは、ASDの子供15人(平均年齢11.6歳)、ADHDの子供15人(平均年齢9.4歳)、通常の子供15人(平均9.5歳)です。この3グループに対し、「正面を向いた無表情の男性と女性の顔」、「正面を向いた無表情の犬の顔」、「非生物である雲と植物」という3タイプの写真を見せてその結果を解析したところ、以下のような傾向が明らかになったといいます。
子供たちの視線の先
- 全てのグループは人間よりも犬の画像を長く見つめた
- 全てのグループは口元よりも目元を長く見つめた
- 「目元を見つめる時間」に限定して比較すると、ASDとADHDグループの方が短かった
- ADHDでは他の2つのグループよりも口元を見つめる時間が長かった
怒り、悲しみ、不快感といったネガティブな感情の読み取り能力が低く、また感情的なやりとりが苦手なASDとADHDの子供たちは、何かと仲間外れにされやすい存在。犬との交流によって少しでもコミュニケーション能力が高まってくれれば、子供たちのQOLが改善されるかもしれません。 frontiers in Psychiatry
10月26日
幼少期に保護者から不適切な養育を受けて育った子供では、脳の報酬系の働きが弱く「ほめて育てる」という黄金基準が通じない可能性が示されました。これは犬の社会化期を理解する上でも重要な発見です。報告を行ったのは、福井大学の友田明美教授を中心とした研究チーム。幼少期に養育者から受けた体罰や暴言によって愛着をうまく形成できなくなる「反応性愛着障害」(RAD)が、脳にどのような影響を及ぼすかを明らかにするため、RADを発症した人と発症していない人を対象とした比較調査を行いました。その結果、RAD患者に以下のような特徴が発見されたと言います。
RADの脳科学的な特徴
- 視覚的な感情処理に関わる「視覚野」の灰白質容積が2割ほど少ない
- やる気や意欲などに関わる「線条体」の活動量が通常の半分以下
10月23日
アメリカ合衆国司法省の機関「COPS Office」は、凶暴な犬を制圧する際、銃を抜く前にまず警察官がとるべき行動に関するマニュアル動画を公開しました。当ビデオ作成したのは、政府機関である「COPS Office」とシカゴに拠点を置くNPO「Safe Humane」の共同チーム。警察が行う発砲の約半数は動物に向けたものであり、発砲を受けた動物の多くは殺されてしまうという事実に対しては、かねてから動物愛護派が強い反発の姿勢を見せていました。例えば10月21日にも、ペンシルバニア州ブラットフォード郡において、「3頭の大型犬が通行人を襲っている」という通報を受けた警察が駆けつけ、うち1頭を射殺するという事件が起こっています。
こうした安易な殺傷兵器の使用を極力減らし、「殺す」以外の方法で動物を制圧することを推奨しているのが今回作成された動画です。動画を作成するにあたり気づいたのは、凶暴な犬に対処する際の系統だった訓練が、警察学校においても行われていないという事実だったといいます。これは「警察が行う発砲の約半数は動物に向けたもの」という事実と考え合わせると驚くべき片手落ちです。
以下で動画をご紹介します。日本の警察も学ぶべき部分がたくさんあるでしょう。
犬との接触マニュアル
- 状況を把握する 警察が通報を受けてから犬と接触するまでのマニュアルです。気が立っている犬の目を直視したり、いきなり正面から近づいて触ろうとするなど、警察の動き自体が犬の攻撃性を誘発する危険性がある点にも言及しています。Police and Dog Encounters
- 犬とのコミュニケーション 犬の微妙なボディランゲージから恐怖のサインを読み取り、なるべく不安を与えないよう「カーミングシグナル」を用いてコミュニケーションするためのマニュアルです。Communicating with Dogs
- 戦術の吟味 犬が室内にとどまっていて屋外に逃げ出す可能性が低い場合は、動物捕獲に習熟した職員を呼ぶなど。Tactical Considerations
- 兵器を使用するとき 使用する必要がない状況において銃を用い、訴えられた警察官の事例が紹介されています。犬の口元に噛み付きやすいものを近づけて意識をそらす、テイザーガンを用いるなど、殺傷兵器を用いる前にすべきことがある場合は、まずそちらを優先することが推奨されています。Use of Force Considerations
- 法律的考慮 安易に犬を射殺した結果、犬の飼い主に訴えられるというケースがアメリカ国内では多発しています。こうした事態を避けるためにも、兵器の使用が許容される状況とそうでない状況に関するある程度の基準が必要となります。Legal Considerations
10月22日
「人医学に役立てるため」という名目の下、中国の研究チームが遺伝子操作を用い、先天的な疾患を抱えた犬を人為的に作り出しました。実験を行ったのは広東省広州市にあるバイオ医学研究所。実験動物として多用されているビーグルの遺伝子に対し、「CRISPR/Cas9」と呼ばれるテクニックを用いて特定部位をカットし、筋肉の過剰な発達を妨げる「ミオスタチン」タンパクを作れない個体を生み出しました。
その結果、オスの「ヘラクレス」においては不完全だったものの、メスの「ティンガウ」においては「遺伝子不全」が完全に機能し、通常の2倍の筋肉量を持った犬に成長したといいます。
研究チームが表向き掲げているのは「人医学に役立てるため」という看板で、今回作り出した「ミオスタチン欠損症」以外にも、「パーキンソン病」や「筋ジストロフィー」といった、犬にも人間にも共通する遺伝疾患を抱えた実験犬を作り出していく予定だといいます。
中国においては今年の9月にも、ペットとして販売することを目的に「マイクロピッグ」と呼ばれる小型のブタを遺伝子操作で作り出したばかり。生命倫理に関する議論が十分になされないまま、見切り発車的に行われている遺伝子操作を、果たして中国は制御しきれるのでしょうか。 MIT Technology Review
10月21日
ノーベル生理学・医学賞を受賞した大村智教授が誕生に関わったことで話題になったフィラリア治療薬「イベルメクチン」ですが、コリー系の犬では中毒を起こすことがありますのでご注意ください。「イベルメクチン」は、フィラリア(犬糸状虫)を始めとする寄生虫予防薬として世界的に用いられている薬。犬に対しては「フィラリア予防」(6μg/kg)、「ミクロフィラリア殺虫」(50μg/kg)、「外部寄生虫駆除」(200~300μg/kg)、「内部寄生虫駆除」(200~400μg/kg)などに適用され、数多くの命を救ってきました。
しかし、コリー系に属する特定犬種においては、先天的な遺伝子変異により、イベルメクチンが脳の「血液-脳関門」を通過して中毒症状を引き起こしてしまうことがありますので要注意です。具体的な犬種は以下です。
イベルメクチン不耐性犬種
これらの犬種の中には「MDR1」という遺伝子に変異が見られる個体が多く、通常であれば薬剤をせき止めるはずの「血液-脳関門」が機能を失い、薬効成分が直接脳に働きかけて神経毒症状を引き起こしてしまいます。具体的な症状は以下です。
イベルメクチン中毒症状
- 元気がなくなる
- 瞳孔が開く
- よだれをたらす
- 運動失調
- 頭部押しつけ行動
- 視力の低下
- 昏睡
- 最悪の場合は死亡
MDR1検査機関
10月20日
ここ数十年に渡って繰り広げられている「犬の家畜化はどこで起こったのか?」という議論が、少しずつ終結に向かっています。調査を行ったのは、アメリカ・コーネル大学とイェール大学の共同チーム。犬の遺伝子の中にあらかじめ185,805ヶ所の目印をつけ、純血種に属する161犬種・4,676頭、および38の国に散在する純血種ではない「村落犬」(Village Dog)・549頭から遺伝子を採取し、常染色体、ミトコンドリアDNA、Y染色体を精査しました。その結果、世界のある地域(新熱帯区や南太平洋地区)においては純血種の影響が大きく見られた一方、別の地域(ベトナム、インド、エジプトなど)では純血種よりも土着犬の影響が大きく見られたと言います。その中で最も注目すべきは、中央アジアを頂点とした遺伝子多様性の勾配が見られたという発見です。
この事実から調査チームは、「犬の家畜化が起こったのは現在のネパールやモンゴルに近い中央アジアである強力な証拠を発見した」との結論に至りました。数十年に渡って繰り広げられているこの種の議論は、「中国南部起源説」、「中東起源説」、「シベリア-ヨーロッパ起源説」など様々な説が乱立していてすっきりしません。そろそろ明確な答えを出してほしいものです。 Genetic structure in village dogs reveals a Central Asian domestication origin
10月19日
人医学の分野である程度の効果が確認されているガン治療法の一種「モノクローナル抗体療法」が、犬に対して適用される日が来るかもしれません。「モノクローナル抗体」とは、体内の異物を除去する免疫B細胞が作り出す抗体のうち、ある特定の異物だけをターゲットにするよう操作を加えられた人工の抗体。人医学の領域においては、従来の化学療法と組み合わせる形で用いられることが多く、「びまん性大細胞型B細胞リンパ腫」、「濾胞性リンパ腫」、「慢性リンパ性白血病」といったガン細胞に特異的に結合する「CD20抗体」を用いたモノクローナル抗体療法が効果をあげています。
次世代の治療法として注目を集めているこの療法が、近い将来獣医学の領域に輸入されるかもしれません。現在、犬用に微調整されたモノクローナル抗体を用い、主にリンパ肉腫(悪性リンパ腫)に対する効果が検証されています。
犬のモノクローナル抗体療法
- イヌCD52抗体療法 「CD52」はT細胞とB細胞によって生成される糖タンパクの一種で、重度のT細胞リンパ腫に対する効果が現在検証されています。2014年、米国農務省(USDA)から暫定ライセンスを取得しました。
- イヌCD20抗体療法 「CD20」は成熟B細胞によって生成される糖タンパクの一種で、B細胞リンパ腫に対する効果が現在検証されています。2015年1月、米国農務省(USDA)から完全な認可を取得しました。
10月15日
2011年から現在までの間、アメリカ国内で少なくとも619頭の警察犬が命を落とし、そのうちの46頭は予防が可能な「熱中症」が死因であると言う事実が明らかになりました。調査を行ったのは「Connecticut Police Work Dog Association」と「Officer Down Memorial Page」。2011年以降、メディアで報道された警察犬の死亡事例を元に統計をとったところ、合計数は619頭に及び、そのうち熱中症による死亡例は、「銃撃」、「刺傷」、「交通事故」よりも頻度が高い46頭だったと言います。さらに46頭のうち19頭は、空調設備の故障が原因だったとも。直近の例では8月12日、ウィスコンシン州ブラウン郡の保安官事務所に勤める爆弾探知犬が車の中で待機中、エアコンの故障による熱中症が原因で命を落としています。
現在のアメリカでは、法的に警察犬の死亡数を報告する義務はないため、実数はよくわかっていません。しかし、2014年に行われた調査では、2002年から2012年における警察犬の死亡事例867件のうち、熱中症による死は自動車による外傷に続いて死因の2番目を占めていたといいます。今回発表されたデータと考え合わせても、十分に予防可能な「熱中症」が死因のトップに踊り出てくるという状況は、異常としか言いようがないでしょう。
ベテランのハンドラーや動物保護家は、「空調設備のチェックを定期的に行う」、「パトカーの窓を締め切らない」、「長時間犬を放置しない」といった当たり前の対策のほか、法改正を含めた万全の予防策を講じることが急務であると主張しています。 Press-Gazette
10月14日
ある作業をこなすため、必要な情報を一時的に記憶としてとどめる「作業記憶能力」に関する調査を行った結果、被験者の近くに犬がいる場合、成績に変化が現れることが明らかになりました。調査を行ったのは、アメリカ・ニューヨーク大学とメリーランド大学の共同チーム。18歳から23歳までの大学生31人を対象とし、5つの状況における作業記憶の成績が、犬や人によってどのような影響を受けるかが観察されました。「5つの状況」の具体的な内容は以下です。
5つの試験状況
- 犬に触れている
- 犬はいるが触れてはいない
- 人に触れている
- 人はいるが触れてはいない
- 被験者のみ
観察を行った結果、最も成績が良かったのは「犬や人がそばにいるけれども触れてはいない」(11.3点と11.1点)という状況で、逆に最も成績が悪かったのは「犬に触れている」(9.2点)という状況だったと言います。またボーダーコリー(11.3点)よりもプードル(9.2点)といた時の方が成績が悪くなるとも。
こうした事実から研究チームは、「犬の存在で作業記憶が関わるパフォーマンスを向上させたいときは、必ずしも体の接触は必要なく、むしろない方がよい」という可能性を見出しました。犬や人が近くで見ているという状況が成績を向上させる背景には、心理学で言うところの「観客効果」が関わっているものと推測されています。逆に犬や人に触れているという状況が成績を悪化させた原因として考えられるのは、「作業以外に考えることが多くなった」 、「犬が動いて気が散った」、「手の汗ばみが気になった」といった単純なことです。オフィスに愛玩動物を導入するときのヒントになるのではないでしょうか? Does Physical Contact with a Dog or Person Affect Performance of a Working Memory Task?
10月12日
盲導犬候補の子犬に対して行われる刺激テストは、将来その犬が盲導犬に合格するかどうかを予測する際の重要な指標になることが明らかになりました。調査を行ったのはイギリスノッティンガム大学の獣医学チーム。メス犬52頭とオス犬41頭からなる盲導犬候補を対象とし、生後5ヶ月齢時(4.78±0.73)と8ヶ月齢時(7.98±0.78)の2段階において、11の項目からなる刺激テストを行いました。内容は「見知らぬ人に出会う」、「服従指示を出す」、「触られる事への敏感さ」、「渉猟傾向」、「動物や人間を前にした時の集中力」など、盲導犬としての適性を推し量ることを目的として考案されたものです。
その結果、両方のテストに共通して見られた行動は 「ジャンプ」、「吠える」、「体を低くして挨拶する」などで、逆に両テスト間で違いが生じた行動は、「服従指示に対する反応」、「唇を舐める」、「体を震わせる」、「体を掻く」などだったと言います。さらに、5ヶ月齢時のテストでは7つの行動指標が、そして8ヶ月齢時のテストでは5つの行動指標が、その後の盲導犬としての合格不合格と強く連動していたことが明らかになったとのこと。
こうしたデータから研究チームは「特定の刺激に対して子犬が見せる行動の一部は、将来その犬が盲導犬に合格するかどうかを予測する際の重要な指標になる」との結論に至りました。この知見は、盲導犬の合格率をアップさせるために応用される予定です。 Test retest reliability and predictive validity of a juvenile guide dog behavior test 上記テストは、子犬がある程度大きくなってから行われるものですが、現在日本で実用化が期待されている方法は、生後すぐの遺伝子検査によって盲導犬としての適性を予測するというものです。犬の性格形成に関連していると考えられている21個の遺伝子上に、合計14ヶ所の「盲導犬適性因子」があり、これらの有無を検査すれば、理論上72%という高い確率で盲導犬の合否を推定できるとのこと。このシステムが実用化すれば、盲導犬の数は将来的に現在の2倍にまで増やせるのと期待されています。 盲導犬の効率的育成と普及向上
10月9日
病院で言い渡された診断名の正しさを確かめるために行われる「セカンドオピニョン」は、獣医学の分野でも必要になってくるかもしれません。調査を行ったのはアメリカ・コーネル大学の獣医科学部。最初に診察を受けた病院で「ガン」と診察された犬や猫合計52匹を対象とし、別の病院で診察を受けたときの診断が、最初の診断とどの程度合致するかを追跡調査しました。結果は以下。
セカンドオピニョン合致率
- 完全に合致=52%
- 部分的に不一致=29%
- 完全に不一致=19%
10月6日
フィンランドで10年以上かけて行われた追跡調査により、ダックスフントの椎間板障害には遺伝が関わっており、繁殖犬の適切な選別さえ行えば、犬種内での発症率をかなり低下させることができると判明しました。調査を行ったのはフィンランド・ダックスフント犬種クラブとヘルシンキ大学の共同チーム。犬種内における椎間板障害(IDD)の発症率が19%~36%と高いことを懸念したチームは、「椎間板障害の発症には、胴長という体型以外にも”椎間板の石灰化(IDC)”という遺伝的な要因が関わっている」という仮説を検証するため、10年以上に渡る追跡調査を行いました。チームはまず純血種登録された9ヶ月齢~2歳の子犬に対してレントゲン検査を行い、石灰化の度合いを0から3までの4つのグレードに区分しました。そして評価したダックスフントのうち10歳を超えるまで長生きした193頭を対象とし、一体どの程度の割合で椎間板障害を発症したのかをデータ化しました。結果は以下です。
IDCとIDDの関連性
- グレード1石灰化が1~2個の椎間板に見られる「グレード1」の犬では、石灰化が見られない「グレード0」の犬に比べ、椎間板障害の発症率が3.3倍になる。
- グレード2石灰化が3~4個の椎間板に見られる「グレード2」の犬では、「グレード0」の犬に比べ、椎間板障害の発症率が5.3倍になる。
- グレード3石灰化が5個以上の椎間板に見られる「グレード3」の犬では、「グレード0」の犬に比べ、椎間板障害の発症率が17.9倍になる。
10月2日
選択繁殖によってマズルが極端に短くなった短頭種では、角膜潰瘍にかかる危険性が20倍に高まるという事実が判明しました。調査を行ったのは、イギリス・ロンドン大学 が中心となったチーム。国内にある小動物専門病院を訪れた700頭の犬の中から角膜潰瘍にかかっている犬、もしくは過去にかかったことがある犬を選別し、そこに共通項があるかどうかを精査しました。31頭の罹患犬から得られた結果は以下です。
角膜潰瘍の危険因子
- オス犬が71%
- ほとんどが小型犬(11.4±1.1kg)
- 最も多い犬種はパグ
- 鼻にシワがあると5倍かかりやすい
- 眼裂が10%広がり、白目が見えていると3倍かかりやすい
- 「マズルの長さ/頭の縦の長さ<0.5」(=鼻ペチャ)だと20倍かかりやすい
10月1日
人間的に成長するためには、「自分探しの旅」に出る前に、まず身近にいる犬と「自然流」のトレーニング法で交流した方が良いかもしれません。調査行ったのは、ミシガン州アンドリュー大学のエイミー・ジャクソングロスブラットさん。「自然流」のトレーニング法を用いた犬との交流が、人間の心理にどのような変化を及ぼすかを調べるため、犬と生活を共にする3人の女性を追跡調査しました。ここで言う「自然流」とは、獣医師兼臨床行動学者であるパトリシア・マッコーネル女史が提唱する訓練法のことで、「犬の習性を理解する」、「犬の行動から心理を読み取る」、「ごほうびによる強化を基本とする」など、動物中心的な考え方を特徴としています。
調査の結果、犬との交流を通じて3人の被験者に以下のような変化が現れたと言います。
自然流がもたらす変化
- 自己認識が高まる
- 動物に対する配慮が生まれる
- 他人との接し方が変わる
- 人間的に成長できる
- 幸福度が高まる
人生の意義を見出したり幸福度を高めたいときは、まず身近にいる犬との接し方を改めることが近道なのかもしれません。 The Therapeutic Effects Upon Dog Owners Who Interact With Their Dogs in a Mindful Way 論文の筆者は、お金や家財を増やしたり溜めたりすることに重きを置く「物質主義」が、必ずしも人間の幸福にはつながっていないのではないか、という仮説を研究のスタート地点に据えています。この仮説は、以下のような研究によっても支持されているようです。
物質主義と幸福度
- 物質を消費したり所有することは必ずしも幸福につながらない(Fromm, 1997)
- 自己の存在理由と物質主義を結びつけて考えていると、世間からの疎外感につながる(Fisher, 2009)
- 900万円以上の年収を得ても、幸福度は上がらない(Kahneman, 2010)