11月30日
600人を超える子供を対象とした調査により、犬を飼っている家庭では、子供の不安障害の度合いが低くなるとの可能性が示されました。調査を行ったのは、ニューヨークのバセット医療センター。18ヶ月の間、小児ケア施設を訪れた合計643人の子供を対象とし、犬の飼育と不安障害との関連性が調査されました。子供たちのプロファイルは以下です。
調査対象となった子供
- 4~10歳で平均6.7歳
- 白人96%
- 女の子45%
- 保険に加入している56%
- 犬を飼っている58%
その結果、犬を飼っている子供とそうでない子供とでBMIや身体活動に差は見られなかったといいます。しかし、犬を飼ってる子供のうち、子供の不安障害の指標である「SCARED-5」において3以上という高い値を示した割合が12%だったのに対し、犬を飼っていない子供では1.75倍に当たる21%だったとのこと。また全体平均で見ると、犬飼育グループが「1.13」だったのに対し、非飼育グループが1.24倍に当たる「1.40」だったとも。
こうしたデータから調査チームは、犬を飼育することが子供の不安障害軽減に役立っているかもしれないとの結論に至りました。ただし調査結果の制限として、「因果関係なのか単なる見せかけの相関関係なのかはまだ断定でない」こと、および調査対象のほとんどが白人であったことから、「多くの民族から成る国民全体に結論を押し広げるのは早計である」ことなどが付随します。 Pet Dogs and Children’s Health: Opportunities for Chronic Disease Prevention?
11月27日
犬の散歩を日常的に行う人では、犬を飼ってない人や散歩を行わない人よりも、一日の運動量が平均7~8%高まることが明らかになりました。調査を行ったのは、アメリカの複数の大学や病院から成る共同チーム。犬の散歩と身体活動の度合いがどのように関連しているかを明確化するため、メリーランド州ボルチモアとワシントン州シアトルに暮らす12~17歳の若者、合計925人を対象とした統計調査を行いました。
その結果、52%の人が犬と一緒に暮らしており、そのうちの62%は週に1回以上犬の散歩行うことが明らかになったと言います。また犬の散歩を行う人は、犬を飼っていない人、および犬は飼っているが散歩は行わない人よりも、一日当たりの運動量が4~5分多かったとも。さらに散歩を行う頻度は、以下に述べるような因子によって高まったそうです。
犬の散歩を促す因子
- 複数世帯が同居している
- 親が大卒
- 交通安全への認識が低い
- 道路の連結性が高い
- 複合開発が少ない
自分のことばかり考えて散歩をしてしまうと、犬の興味を無視してズンズンと進んでしまいがちになります。しかし、犬にとっての散歩の目的を考え合わせると、もう少し立ち止まってあげても良いかもしれません。特に商業施設や住宅などからなる複合開発の近くに暮らしている場合、人間にとっては歩きやすい道路が多い反面、人工物が多すぎて犬が退屈しがちになります。積極的に自然物(草・土・木etc)がある場所を散歩ルートに入れて犬にクンクンさせてあげると、ほどよい刺激になるでしょう。
11月25日
エサを早食いする犬では、「逃走-闘争」反応を引き起こす交感神経系が優位となり、血液が筋肉の方に流れて消化効率が悪くなってしまうという可能性が示されました。当調査を行ったのは、日本の麻生大学獣医学部の研究チーム。21犬種・56頭(メス=27/オス=29)の犬を、「早食い」(19頭)、「のんびり」(24頭)、「ビリっけつ」(13頭)という3つのグループに分け、食事の前後における自律神経系の活性度が測定されました。その結果「早食い」グループにおいては、食後に「逃走-闘争」反応を引き起こす交感神経系が優位となり、副腎からストレスホルモンの一種「ノルアドレナリン」が放出されたのに対し、他の2グループにおいては逆に同ホルモンの低下が認められたといいます。またオートフィーダーによって一気食いができないようにした場合、「早食い」グループのノルアドレナリン濃度が低下し、心拍数の急激な上昇が抑えられたとも。
こうした結果から調査チームは、食後の消化効率を良くするためには、一気食いや早食いを可能な限り避けて交感神経の活性化を抑制し、心拍数の上昇、筋肉への血流量増加、脂肪の異化といった生体反応が起こらないようにすることが重要であるとしています。この観点は、一気食いによる大型犬の胃捻転を避けるという意味でも重要でしょう。 Increased Feeding Speed Is Associated with Higher Subsequent Sympathetic Activity in Dogs
11月23日
テントウムシが犬の硬口蓋に張り付くというショッキングな見た目から、ネット上で出回っている写真をフェイクと疑う声もありましたが、これは主にアジアに生息する「ナミテントウ」(Harmonia axyridis)という種による非常に珍しい寄生症例です。 ナミテントウは体長5~8mm、日本全国に分布している極めてありふれた種です。卵から成虫になるまで約3週間程度で、活動期間は3~11月、冬は成虫で過ごします。群生した姿が視覚的に気持ち悪いとか、衣服に体液が付いて悪臭を放つといったことのほか、とりわけ害をなさないため、人医学の分野ではほとんど問題になりません。しかし獣医学の分野では、極めてまれに口内寄生が起こってしまうようです。2008年、学術誌「Toxicon」に掲載された報告をまとめると以下のようになります。体に含まれるタンパク質のほか、体から放出するリンパ液中のアルカロイドによって、様々な症状を引き起こします。 Toxicon 52 (2008) 389-391
ナミテントウによる症状
- 鼻結膜炎
- 強膜・結膜浮腫
- 接触による血管性浮腫
- メトキシピラジンによる化学的熱傷
- ピペリジンによる悪臭
- 大量摂取による中毒死
11月18日
アメリカ・フロリダ州キャッスルベリーにおいて、ペットショップでの動物の小売りに制限を設ける条例が定められました。11月中に即時有効となるこの条例は、劣悪な環境下でペット動物を繁殖させる「パピーミル」や「キトンミル」の撲滅を目指したもの。ペットショップにおける幼齢動物の展示販売は、かねてから劣悪繁殖業者の温床になっており、安直な購入者による怠慢飼育や飼育放棄につながっていると指摘されていました。そこで市は今月、「アメリカ動物愛護協会」(HSUS)などによる現状報告を参照しつつ、全米数十の都市ですでに施行されているペット動物の小売り禁止条例を設けることを決定しました。
「条例・2015-1430」と名付けられた新ルールの具体的な内容は以下です。 ORDINANCE NO. 2015-1430
条例・2015-1430
- 小売店 ペットショップでは以下の行為を行うことを禁ずる。展示、販売、取引、移動、受け渡し、貸与、オークション、無償提供、動物の管理放棄。ただし、パピーミル以外のブリーダーを保護するため、ペットショップを所有するブリーダーによる販売は例外とする。また、養子縁組を目的としている場合はペットショップでの展示も認める。
- 動物の販売 正規の手続きを踏んでフロリダ州に登録を済ませた非営利の動物保護シェルターおよびレスキュー団体はペット動物の販売を行うことができる。
- 出生証明書 動物を販売する場合は、よく見える場所に出生証明書を掲示しなければならない。また購入者に対して証明書のコピーを渡す義務がある。
- 条例の執行権力 法で認められた役人(警官など)や、郡の保護シェルター職員は、何時であっても出生証明書の提出をペットショップに対して求めることができる。
- 違反 証明書を偽造したり添付を怠った場合は、一日につき250ドルの罰金を科す。
11月16日
転移というやっかいな性質によって体中に広がり、老犬の死亡原因のうち高い割合を占める「悪性腫瘍」(ガン)を、なるべく早い段階で検知して早期治療につなげるための、特殊な血液検査方法が検討されています。血液中における悪性腫瘍のバイオマーカー(生体指標)として候補に挙がっているのは、細胞が分裂増殖するときに増加する「チミジンキナーゼ」(Thymidine kinase, TK1)という酵素の一種、および炎症や組織の壊死によって増加する「イヌC反応性タンパク」(cCRP)と呼ばれるタンパク質の一種です。
ミズーリ大学やタフツ大学などを中心に構成された研究チームは、臨床上健康な犬360頭を対象として、最低6ヶ月間に及ぶ追跡調査を行い、上記した2つのバイオマーカーと、犬の悪性腫瘍発症率との間に相関関係があるかどうかを精査しました。その結果、「cCRP」が高い値を示した犬における死亡率は20%だったのに対し、低い値を示した犬ではわずか3%だったと言います。また、「cCRP」と「TK1」の両方を悪性腫瘍の予測指標(NI)に組み入れた時の方が、潜在的な悪性腫瘍を発見する確率が高まったとも。こうした事実から研究チームは、「TK1とcCRPは、転移が起こる前のかなり早い段階で悪性腫瘍を検知するのに役立つだろう」との結論に至りました。
ちなみに、ガンと発覚する6ヶ月前の段階で、2つのバイオマーカーを含んだ「NI」検査を実施したところ、ガンにかかっていない犬を正しく陰性と判定する確率である「特異度」が82%、ガンにかかっている犬を正しく陽性と判定する確率である「感度」が91%だったといいます。そして特に「感度」の方は、ガン発覚の4ヶ月前の検査では100%にまで高まったといいます。 Serum thymidine kinase 1 and C-reactive protein as biomarkers for screening clinically healthy dogs for occult disease
11月13日
数多くの臨床データを元にして作成された「動物用メタボリックシンドロームの新基準」が、来秋をめどに首都圏の動物病院で実用化されることが明らかになりました。当基準を作ったのは、日本獣医生命科学大学、新井敏郎教授らのチーム。人間界で問題となっている「メタボリックシンドローム」が、犬や猫といったペット動物にも起こりうると考えた教授は、2008年頃から当症候群を早期発見するための指標作りに取りかかっていました。大規模な臨床データを数年かけて精査した結果、メタボリックシンドロームと関連がある数値として、皮下脂肪から肥満の度合いを目視評価する「BCS」のほか、総コレステロール、トリグリセリド、血糖値、アディポネクチンなどが有力候補として残ったと言います。 獣医療分野では世界初の試みとなる当基準値は、来年の秋ごろをめどに東京都獣医師会に加盟するおよそ700の動物病院で活用される予定とのこと。メタボの早期発見を始めとした「予防獣医学」が普及した暁には、以下に示すような誰も損する人がいない理想的な経済循環が出来上がると期待されています。
予防獣医学がもたらす経済効果
- 飼い主→医療費が減る
- ペット動物→病気の早期発見につながり寿命が延びる
- 保険会社→支払い金額が減る
- ペットフード会社→「メタボ予防」を謳った商品が売れる
動物の生命を尊重し、その健康と福祉に指導的な役割を果たすとともに、人の健康と福祉の増進に努める。 獣医師の誓い-95年宣言日本における飼育犬の早期肥満判定基準の策定
11月12日
強いストレスを感じた後に発症する「PTSD」が、兵士と共に戦地に送り出された軍用犬の5~10%で見られるという過酷な現実が明らかになりました。「PTSD」(心的外傷後ストレス症候群)とは、地震、洪水、火事などの天災や、事故、戦争といった人災を経験した後、再生された記憶によって著しい苦痛がもたらされる病気。人医学の分野では早くも、ベトナム戦争の頃から認識されていましたが、獣医学の分野でスポットライトを浴びるようになったのは、2010年頃とつい最近のことです。
「C-PTSD」(※C=Canine)と呼ばれるこの病気では、不安や葛藤を抱えた犬のがよく見せる「カーミングシグナル」と同じような症状が観察されます。具体的には以下です。
C-PTSDの徴候
- しっぽを股に挟む
- 耳をたたむ
- 瞳孔が開く
- 息遣いが荒くなる
- 身をかがめる
- 食べ物がないのに口元を舐める
- 濡れていないのに体を震わせる
- 体をひっかく
- あくびをする
人間をサポートするために訓練され、過酷な戦場に送り出される犬たちですが、その扱いに関しては万全とは言い難いものがあります。現在アメリカの法律では、任務を終えた軍用犬を本国に連れ戻す義務が規定されていません。そのため、現地に置き去りにされる退役犬もかなりいるといいます。こうした不当な扱いを是正するため、現在「全米人道主義協会」(AHA)では、戦地に送り出された犬を本国に連れ戻すことを義務化する規定を「National Defense Authorization Act」(NDAA)に盛り込むよう議会に求めている最中です。中間報告によると、実現する公算が大きいと見られます(※2015年11月25日、NDAA2016が成立し、軍用犬の本国帰還が義務化されました)。 The Guardian
11月11日
近畿と四国の4県で原虫の感染率を調査したところ、一見健康に見える犬でも7%近くがトキソプラズマに感染していることが明らかになりました。調査を行ったのは、帯広畜産大学原虫病研究センターを中心とした調査チーム。2014年3~8月、大阪湾を囲む奈良、兵庫、和歌山、香川県の動物病院(それぞれ1、5、2、1ヶ所)を訪れた犬のうち、外見上何ら症状を呈していない1,979頭を無作為に選び、原虫の一種である「トキソプラズマ」(T. gondii)および「ネオスポラ」(N. caninum)の感染率を調査しました。その結果、トキソプラズマに対する陽性率が7.0%、ネオスポラ陽性率が4.2%、両原虫同時陽性率が1.2%という結果になったといいます。その他の特記事項は以下。
トキソプラズマ
- 犬を中間宿主とする
- 免疫力低下で顕在化
- 人間への感染確率は低い
- 1歳未満の陽性例は0%
- 1歳以降、加齢と共に陽性率が上昇
- 6歳以下の陽性率は3.1%
- 7歳以上の陽性率は10.4%
- 雑種の陽性率が高い
- 屋外飼育の陽性率が高い
ネオスポラ
- 犬を中間もしくは終宿主とする
- 若齢・高齢犬で重症化傾向
- 人間への感染確率はほぼ0
- 6歳以下の陽性率は2.9%
- 7歳以上の陽性率は5.5%
- 1歳以降、加齢と共に陽性率が上昇
- 飼育環境や品種による差はみられない
当調査は近畿と四国の一部に限られているため、数値を日本全国に押し広げることはできませんが、原虫感染予防のために飼い主に出来ることが「犬の食糞や拾い食いをやめさせる」、「生肉給餌を控える」ことである点は変わらないでしょう。 近畿及び四国の一部地域の臨床上健康な家庭犬におけるトキソプラズマとネオスポラに対する抗体保有状況
11月9日
フィンランドで行われた犬の飼い主に対する大規模なアンケート調査により、犬の恐怖症、騒音感受性、分離不安の発症に、ある特定の因子が関わっている可能性が明らかになりました。調査を行ったのはヘルシンキ大学の獣医科学研究チーム。犬の性格と環境因子の関係性を明確化するため、フィンランド国内に暮らす犬の飼い主3,264人を対象として35の質問から成るアンケート調査を行いました。質問の内容は「犬の入手先」、「母犬から引き離された時期」、「社会化期における生育環境」、「現在の生活環境」など細々としたものです。その結果、見知らぬ物や人を恐れる「恐怖症」、大きな物音にたじろぎやすい「騒音感受性」、そして保護者と離れたときにストレスを感じる「分離不安」という、犬で頻繁にみられる3つの項目に関し、ある特定の環境因子が関わっていることが明らかになったといいます。具体的には以下です。
犬の性格と環境因子
- 恐怖症↑8~12週齢に母犬によるしっかりとしたケア受けていなかった
- 騒音感受性↑日々の運動が少ない
- 分離不安↑日々の運動が少ない
運動とストレス耐性
- 2001年 有酸素運動を長期にわたって継続すると、人に対して抗うつ効果や抗不安効果を示した(→こちら)。
- 2008年 飼い主と遊ぶ機会が多い犬では驚愕刺激に対する恐怖心が減少し、見知らぬ人に対する友好性が向上した。散歩時間が短い犬では環境刺激に対する恐怖心が強く、集中力や訓練性が低かった(→こちら)。
- 2010年 身体運動は、人間の大人に対して抗うつ効果を示す(→こちら)。
11月6日
韓国で行われた調査により、犬で頻繁に見られる問題行動の種類と、その増悪因子の対応関係が明らかになりました。調査を行ったのは中部大学校の動物科学チーム。韓国内に暮らす犬の飼い主174人に対し、自身のライフスタイルと飼い犬が見せる問題行動に関するアンケート調査を行いました。その結果、84.5%の飼い主が最低1つの問題行動を報告したといいます。具体的な内訳は以下(複数回答あり)。
犬の問題行動
- 無駄吠え=47.1%
- 不適切な排泄=40.8%
- 攻撃行動=35.6%
- 何かを恐れる=29.9%
- 分離不安=27.6%
問題行動の増悪因子
- 不妊手術を終えている無駄吠え↑・攻撃行動↑・過剰な活動性↑
- 1歳以上の成犬恐怖心↑・分離不安↑
- 1歳未満の子犬破壊行動↑
- 週一回の服従トレーニング不適切な排泄↓
- 服従トレーニングなし恐怖心↑
- 少ない散歩回数無駄吠え↑
- 一日3~6時間の留守番 無駄吠え↑・不適切な排泄↑・破壊行動↑
11月5日
古くから日本国内に存在している秋田犬と柴犬を対象とした遺伝子解析により、両犬種間にはデンプンの分解能に差があることが明らかになりました。調査を行ったのは、複数の大学や機関からなる日本の研究チーム。日本の古来種と考えられている秋田犬と柴犬のDNAを解析し、アミラーゼの生成に関わる「AMY2B」という遺伝子を、オオカミやヨーロッパ原産種と比較しました。「アミラーゼ」とは、炭水化物の一種であるデンプンを分解する消化酵素のことです。
比較解析の結果、デンプンの分解能力に関し「ヨーロッパ原産種・柴犬 >秋田犬・縄文柴 >オオカミ」という順になったといいます。こうした事実から研究者は「犬種間で見られるデンプン分解能力の差は、それぞれの犬種が発祥した土地における、稲作の導入時期の時間差を反映しているのではないか」と推測しています。
犬が持つデンプン消化能力は、犬と人間がともに進化してきたとする「共進化説」を説明するときによく用いられる理論です。この理論が正しく、また柴犬にヨーロッパ原産種の血統が全く混じっていないと仮定すると、柴犬は他の犬種に比べ、いち早く人間から「おこぼれ」(残飯)もらっていたという可能性が高まります。 Copy number variations in the amylase gene (AMY2B) in Japanese native dog breeds
11月3日
100万人以上の子供を対象とした大規模な統計調査により、 1歳になるまでに犬と暮らしたことがある子供では、 6歳時における喘息への罹患率が低下することが明らかになりました。調査を行ったのは、スウェーデン・ウプサラ大学の医学研究チーム。2001年1月1日から2010年12月31日の間に生まれた子供、合計101万1,051人を対象とし、幼少期における犬の飼育がその後の喘息発症率にどのような影響を及ぼすかを統計的に精査しました。学童期に入った子供(27万6,298人)に関しては、6歳になった時点ですでに喘息を発症していた子供の数を統計の対象とし、学童期に入る前の子供(37万6,638人)に関しては、1歳から5歳までの間に喘息を発症した子供の数が統計の対象となりました。結果は以下です。なお数字はすべて、「犬と一緒に暮らしたことがない子供における喘息のかかりやすさ」を「1」としたときの、「1歳になるまでに犬と暮らしていたことがある子供における喘息のかかりやすさ」を表しています。つまり「1」より大きければ「喘息にかかりやすい」、「1」より小さければ「喘息にかかりにくい」という意味です(※OR=オッズ比/HR=ハザード比)。
犬との暮らしと喘息へのかかりやすさ
- 学童期の子供→0.87(OR)
- 学童期に入る前の3歳以上の子供→0.90(HR)
- 学童期に入る前の3歳未満の子供→1.03(HR)
11月2日
カナダのブリティッシュコロンビア州において、犬の耳に対して行われる整形手術の一種「断耳」が禁止され、今後は動物虐待とみなされることとなりました。「断耳」(Ear Cropping)とは、耳の一部を意図的に切除してピンと立たせる整形手術の一種。カナダ国内ではすでに、マニトバ、ニューブランズウィック、ニューファンドランド、ノヴァスコシア、プリンスエドワードアイランド、サスカチュワンの各州で禁止されています。10月の下旬、ブリティッシュコロンビア州の獣医大学がこの手技を禁止する法案を可決したため、同州内で施術することが禁止されると同時に、違反した者は動物虐待の罪で処罰を受けることとなりました。
この法案に対し「カナダ犬種協会」(CKC)は「伝統的に断耳を施されてきた犬種のブリーダーは、断耳を行うかどうかを自らの意志で決定する権利がある」と主張し、反対の姿勢を明らかにしています。また、カナダで最も多くの人口を抱えるオンタリオ州では、依然としてボクサー、ドーベルマン、グレートデンといった純血種に対して、断耳手術を行うことが許容されたままです。
地元の動物虐待防止協会「BCSPCA」は、「イギリス犬種協会」(KC)が、断耳した犬のドッグショー参加を禁止していることを例に挙げ、カナダや北米の犬種協会もこの動きにならってほしいと語っています。 CBS NEWS 日本において「断耳」は禁止されておらず、ミニチュアピンシャー、ドーベルマン、グレートデンといった犬種でよく見かけます。しかしこの手技に関しては、行動やコミュニケーション能力に悪影響を及ぼす事は証明されていても、健康を促進するという証拠は無いのが現状。日本の犬種クラブである「JKC」や一般の飼い主も、断耳が一体誰のための手術で、何のための手術なのかを、動物愛護の観点から真剣に見直すべきでしょう。