犬の骨軟骨症の病態と症状
犬の骨軟骨症とは、骨を縦方向に成長させる骨端軟骨において、軟骨層の増殖は見られるものの、その軟骨がスムーズに骨になってくれない状態のことです。結果として骨の中における軟骨の割合が異常に多くなり、外からの力に対して脆い不完全な骨が出来上がります。
軟骨層が厚くなり過ぎることで栄養供給がアンバランスとなり、細胞の変性と壊死が起こるようになります。その結果、骨の先端を覆う関節軟骨がもろくなったり、骨の中にある骨梁と呼ばれる支柱構造に乱れが生じたりします。外から非常に強い力が加わった時などは、構造的に弱い軟骨層を境にしてずれてしまうこともあります(成長板骨折)。
骨軟骨症の主な症状は以下です。4ヶ月齢~8ヶ月齢という非常に若いころから発症し、通常は体の両側で同時に発生します。好発部位は尺骨(前腕の骨)遠位端、上腕骨(二の腕の骨)の両端、大腿骨(太ももの骨)の下外側、足根骨(足首の骨)などです。
犬の骨軟骨症の主症状
- 足を引きずるように歩く
- 運動を嫌がる
- 関節を曲げると痛がる
- 竹馬に乗ってるような歩き方をする
- 関節に水がたまる
- 節々が太くなる
- 筋肉の萎縮
- 変形性関節症の併発
犬の骨軟骨症の原因
犬の骨軟骨症の原因としては、主に以下のようなものが考えられます。予防できそうなものは飼い主の側であらかじめ原因を取り除いておきましょう。
犬の骨軟骨症の主な原因
- 遺伝(?) 骨軟骨性が発症しやすい犬種がいくつか確認されています。具体的には、グレートデン、ラブラドールレトリバー、ニューファンドランド、ロットワイラー、バーニーズマウンテンドッグ、イングリッシュセター、オールドイングリッシュシープドッグなどです。また肩関節の発症に関してはオスの方が多いとされます。
- 原因不明 骨軟骨症の原因は多くの場合不明です。急激な成長、過剰なカルシウム摂取、ビタミンCの摂取不足、肝臓におけるビタミンCの合成障害、ストレス、食欲不振、感染症、免疫不全などが複雑に絡み合って発症するものと推測されています。
犬の骨軟骨症の治療
犬の骨軟骨症の治療法としては、主に以下のようなものがあります。
犬の骨軟骨症の主な治療法
- 対症療法 骨軟骨性に対する根本的な治療法はありません。ですから出てきた症状に対するその場その場の治療が施されます。具体的には、抗炎症薬や鎮痛剤の投与などです。
- 生活の質を維持する 犬のQOL(生活の質)を維持するために飼い主の側でできることがあります。例えば、 運動後の炎症を抑えるために安静・冷却処置を行う、激しい運動を避ける、筋肉の萎縮を防ぐためある程度の運動はさせる、体重管理を行う、床ずれを予防するなどです。変形性関節症に発展させないことが当面の目標となります。