第一種動物取扱業者
第一種動物取扱業者とは、営利目的で反復・継続的に動物の販売、保管、貸出し、訓練、展示、競りあっせん、譲受飼養を行う業者のことです。代理販売、ペットシッター、出張訓練など、自身が動物を所有していなかったり飼養施設を持たない業者も含まれます。
業務を始めるに当たっては事業所の所在地である都道府県への登録が必要となり、登録後は環境省が定めるさまざまな基準を遵守する義務が生じます。第一種動物取扱業者に関しては、2019年の改正動物愛護法で主に以下のような変更や新設が行われました。
業務を始めるに当たっては事業所の所在地である都道府県への登録が必要となり、登録後は環境省が定めるさまざまな基準を遵守する義務が生じます。第一種動物取扱業者に関しては、2019年の改正動物愛護法で主に以下のような変更や新設が行われました。
登録を拒否する条件
各都道府県の知事が第一種動物取扱業者の登録業務を行う際、ある一定の条件を満たしたものの登録を拒否しなければなりません。2019年改正法によって変わったのは、ある特定の法律に違反してから登録が認められるまでのクールダウン期間です。具体的には以下。
登録取消しを受けたもの
個人であれ法人の役員であれ、一度は第一種動物取扱業者の登録を受けたものの、不適切な業務内容によって登録の取り消しを受けた場合、ある一定の期間をおかないと再登録はできません。旧法では2年だったクールダウン期間が、2019年改正法では5年に延長されました。
第十二条の三および四
禁錮以上の刑に処せられたもの
2019年改正法で新設された項目です。犯罪の内容を問わず禁錮以上の刑に処せられたものは、シャバに出てから5年経過しないと登録を受けることができません。
第十二条の五の二
特定の罰金刑を受けたもの
ある特定の法律に違反し、罰金以上の刑を受けた場合、刑の執行を受けた日から一定期間を経過しないものの登録は拒否されます。旧法では2年だったクールダウン期間が、2019年改正法では5年に延長されました。特定の法律とは以下です。
第十二条の六
暴力団関係者
2019年改正法で新設された部分です。現役の暴力団員であることが確認されるものや、足を洗ってカタギになってから5年を経過していないものの登録は拒否されます。また定義は漠然としているものの「第一種動物取扱業に関し不正又は不誠実な行為をするおそれがあるもの」も拒否されることとなりました。
第十二条の七の一および七の二
基準遵守義務
第二十一条の一の1では第一種動物取扱業者が遵守すべき義務が明記されています。旧法では漠然と「生活環境の保全上の支障が生ずることを防止するため、その取り扱う動物の管理の方法等に関し環境省令で定める基準を遵守しなければならない」とされていましたが、2019年改正法では具体的な項目によって明確化が図られています。特に犬猫等販売業者を想定した第一項に関しては、「できる限り具体的なものでなければならない」とも規定されています。
なお遵守義務に関しては例外的に、公布日である2019年6月19日から2年を超えないタイミングでの施行となります。 第二十一条の一の2および3
なお遵守義務に関しては例外的に、公布日である2019年6月19日から2年を超えないタイミングでの施行となります。 第二十一条の一の2および3
- 一:飼養施設の管理、飼養施設に備える設備の構造及び規模並びに当該設備の管理に関する事項
- 二:動物の飼養又は保管に従事する従業者の員数に関する事項
- 三:動物の飼養又は保管をする環境の管理に関する事項
- 四:動物の疾病等に係る措置に関する事項
- 五:動物の展示又は輸送の方法に関する事項
- 六:動物を繁殖の用に供することができる回数、繁殖の用に供することができる動物の選定その他の動物の繁殖の方法に関する事項
- 七:その他動物の愛護及び適正な飼養に関し必要な事項
販売場所の限定
犬猫を販売するものは原則として、購入を希望するものに対し動物の現在の状態を直接見せるとともに、対面で説明することが義務付けられています。2019年改正法では「事業所において」の文言が加えられました。劣悪な飼育環境で繁殖しているブリーダーが犬猫を購入者に直販しているような場合、繁殖場ごと見せることになりますので多少の抑止力にはなるかもしれません。
第二十一条の四
帳簿の備え付け
帳簿の備え付けに関し旧法では「犬猫販売業者」だけが対象でしたが、2019年改正法では販売、貸出し、展示に関わる「動物販売業者等」全般に義務が適用されることとなりました。また特に取り扱っている動物の数に関しては、登録を行った都道府県の知事に定期的に届け出ることも併せて義務付けられました。具体的には以下のような項目です。
第二十一条の五の1および2
- 入手した日
- 販売した日
- 引き渡した日
- 死亡した日
販売日齢の例外撤去
第二十二条の五ではそもそも、販売を目的とした犬猫の展示や引き渡しは生後56日を過ぎてからと規定されています。しかし「56日」の部分は「動物愛護法の一部を改正する法律」と称する例外ルールがあったため、2013年9月1日~2016年8月31日までは「45日齢」、2016年9月1日から別に法律で定める日までは49日齢と読み替えられてきました。
今回の法改正により「2019年改正法の公布日(=2019年6月19日)から2年を超えない」タイミングで生後56日未満の子犬や子猫を販売目的で展示したり業者に引き渡すことはできなくなります。要するにようやく本来のルールに戻ったということです。 第二十二条の五 ただしこの56日(8週齢)ルールは「附則抄」によって一部の例外が設けられています。具体的には文化財保護法によって天然記念物として指定された柴犬、紀州犬、四国犬、甲斐犬、北海道犬、秋田犬です。これらの犬を繁殖する業者は特に「指定犬繁殖販売業者」と呼ばれ、例外的に49日齢での展示・販売が許可されることとなりました。 附則抄の2
今回の法改正により「2019年改正法の公布日(=2019年6月19日)から2年を超えない」タイミングで生後56日未満の子犬や子猫を販売目的で展示したり業者に引き渡すことはできなくなります。要するにようやく本来のルールに戻ったということです。 第二十二条の五 ただしこの56日(8週齢)ルールは「附則抄」によって一部の例外が設けられています。具体的には文化財保護法によって天然記念物として指定された柴犬、紀州犬、四国犬、甲斐犬、北海道犬、秋田犬です。これらの犬を繁殖する業者は特に「指定犬繁殖販売業者」と呼ばれ、例外的に49日齢での展示・販売が許可されることとなりました。 附則抄の2
行政による勧告や命令
2019年改正法で新設された部分です。第一種動物取扱業者に対して登録先の都道府県知事が勧告を行った後、期限である3ヶ月以内に業者が従わなかった場合は社会的制裁として名前を公表することができます。「営業妨害だ!」という反論は通じません。
第二十三条の3
また第一種動物取扱業者が何らかの事情で登録抹消された場合、残された動物たちの健康や福祉が脅かされたり、動物たちの保管施設自体が近隣への迷惑(鳴き声・糞尿臭 etc)になることが想定されます。こうした事態に対応できるよう、業者に勧告する権限が2年間というリミット付きで都道府県知事に与えられました。また同時に、業者に経過を報告させたり、施設へ立入検査する権限も与えられました。
第二十四条の二の1~4
第二種動物取扱業者
第二種動物取扱業者とは、営利を目的とせず動物の譲渡、保管、貸出し、訓練、展示を反復・継続的な業として行う者のことを指します。具体的には動物シェルターや公園内にあるミニ動物園などです。業務を始めるに当たっては、あらかじめ所在地の都道府県知事または政令市の長に届け出を済ませておかなければなりません。2019年改正法により以下のような変更・新設が行われました。
帳簿の備え付け
2019年改正法で新設された部分です。犬や猫の譲渡を行う保護団体にも、第一種動物取扱業者と同様の帳簿記載義務が課されることとなりました。この背景にあるのは、全国で散発している保護シェルターによる多頭飼育崩壊事件です。身の丈をわきまえず次から次へと動物を収容し続けることは、保護を通り超えてホーディングという動物虐待になります。こうした事態を防ぐため、第二種と言えども管理している動物の頭数や死亡日を記録として残しておかなければなりません。
準用規定を条文通りに読み替えると以下のようになります。
譲渡事業者は環境省令で定めるところにより、帳簿を備え、その所有する動物について、その所有した日、その譲渡しをした日又は死亡した日その他の環境省令で定める事項を記載し、これを保存しなければならない 第二十四条の四の2
動物の飼養者全般
第四節と第五節では動物の飼養者全般に関する規定が盛り込まれています。主な目的は、動物が発生する騒音、悪臭、毛の飛散などによって周辺の生活環境が損なわれないよう介入することです。「飼養者」には第一種動物取扱業者、第二種動物取扱業者のほか一般の飼い主までが含まれます。2019年改正法では以下のような変更・新設が行われました。
行政の立ち入り権限
2019年改正法で新設された部分です。動物の管理に問題があると判断される家庭や施設に対し、都道府県知事が立入検査できるという権限が明記されました。家主や施設長は「不法侵入です!」と言い張って立ち入りを拒むことはできません。
第二十五条の一の5
特定動物の飼養原則禁止
国(環境省)が定める特定動物に関し、旧法では許可さえ受ければ誰でも飼えるかのような文面でしたが、2019年改正法では「動物園またはそれに類する施設が許可を受けた場合のみ」飼えることが明記され、愛玩目的での飼育が禁止されました。ここで言う「特定動物」とは人の生命、身体又は財産に害を加えるおそれがある動物のことで、ハイブリッド種(交雑種)も含まれます。
第二十五条の二および第二十六条
都道府県等の措置
第四章(第三十五条~第三十七条)では主として犬や猫の引き取り業務を行う都道府県に関する規定が盛り込まれています。第三十五条により、犬猫等販売業者以外の一般市民が犬や猫の引き取りを求めた場合、基本的に都道府県は引き取らなければなりません。2019年改正法では以下のような変更・新設が行われました。
一般市民からの引き取り拒否
2019年改正法では「周辺の生活環境が損なわれる事態が生ずるおそれがない」と判断される場合は引き取りを拒否できる旨が明記されました。たとえば自治体が管理している地域猫を捕まえて「引き取ってくれ」と言ってきた場合などです。地域猫はそもそも生活環境が損なわれないよう管理されているはずですので、行政機関が引き取る理由にはなりません。準用規定を条文通りに読み替えると以下のようになります。
所有者の判明しない犬猫を連れてきた拾得者から引取りを求められた場合、周辺の生活環境が損なわれる事態が生ずるおそれがないと認められるとか、その他の引取りを求める相当の事由がないと認められるなら、その引取りを拒否することができる。 第三十五条の3
繁殖制限の義務化
都道府県ではなく飼い主の務めですが、過剰な繁殖をしないよう不妊手術を施すことが努力義務から義務に格上げとなりました。たった1行の違いなのでわかりにくいですが、旧法「努めなければならない=努力義務」→2019年改正法「講じなければならない=義務」に変更されています。
第三十七条の1
動物愛護管理センター
2019年改正法では第四章の二「動物愛護管理センター等」という条文がまるごと新設されました。動物の収容や保管を行う施設は都道府県によって呼び方がまちまちで、「保健所」「保護センター」「抑留所」などかなりわかりにくい部分がありました。国が「動物愛護管理センター」という言葉とその役割を明確化したことにより、地域ごとの混乱がいくらか緩和されると期待されます。また「殺処分を行う施設」というイメージから、「保護と譲渡を行う施設」というイメージに転換したいのかもしれません。
第三十七条の二の1および2
動物愛護管理担当職員
旧法で第三章の第六節に盛り込まれていた「動物愛護担当職員」という項目は、2019年改正法では第四章の二に引っ越し、「動物愛護管理担当職員」という呼び方に変更されました。ただし選定条件は変わらず「地方公共団体の職員であつて獣医師等動物の適正な飼養及び保管に関し専門的な知識を有するもの」のままです。また旧法の「置くことができる」という放任的な表現から、2019年改正法では「置くよう務めるものとする」という努力義務に格上げされています。
第三十七条の三の1~3
犬及び猫の登録
第四章の三「犬及び猫の登録」は2019年改正法でまるごと新設された部分です。犬猫等販売業者によるマイクロチップ装着義務、および犬や猫の飼い主による装着の努力義務が明記されています。施行日は例外的に2019年改正法の公布日(=2019年6月19日)から3年を超えないタイミングです。
登録はブリーダー自身が行う場合とペットショップが行う場合があります。基本的な流れは「販売業者が獣医師に依頼してマイクロチップを装着→獣医師が装着証明書を発行→販売業者が30日以内に申請書に証明書を添えて環境省へ提出→環境省が登録証明書を発行」という流れです。申請書には氏名、住所、電話番号などが記載されます。
すでにマイクロチップを装着された犬猫を入手した場合、販売業者だろうと一般購入者だろうと、取得した日から30日以内に登録内容の変更をしなければなりません。こちらは努力義務ではなく義務です。
原文に関してはボリュームがありますので環境省の資料をご参照ください。第四章の三「犬及び猫の登録」というセクションです。またマイクロチップの基本情報に関しては「犬と猫のマイクロチップ・完全ガイド」というページにまとめてあります。 第四章の三「犬及び猫の登録」
登録はブリーダー自身が行う場合とペットショップが行う場合があります。基本的な流れは「販売業者が獣医師に依頼してマイクロチップを装着→獣医師が装着証明書を発行→販売業者が30日以内に申請書に証明書を添えて環境省へ提出→環境省が登録証明書を発行」という流れです。申請書には氏名、住所、電話番号などが記載されます。
すでにマイクロチップを装着された犬猫を入手した場合、販売業者だろうと一般購入者だろうと、取得した日から30日以内に登録内容の変更をしなければなりません。こちらは努力義務ではなく義務です。
原文に関してはボリュームがありますので環境省の資料をご参照ください。第四章の三「犬及び猫の登録」というセクションです。またマイクロチップの基本情報に関しては「犬と猫のマイクロチップ・完全ガイド」というページにまとめてあります。 第四章の三「犬及び猫の登録」
雑則
第五章「雑則」では動物の扱いに関する諸々のルールが定められています。2019年改正法で変更・新設された項目は以下です。
安楽死を努力義務に
第四十条では、動物を殺さなければならない場合には、できる限りその動物に苦痛を与えない方法によってしなければならないと規定されています。2019年改正法ではここに「国際的動向に十分配慮する」ことが努力義務として追記されました。要するに「炭酸ガスによる大量殺処分から、薬剤による安楽殺にシフトせよ」ということです。
第四十条の3
獣医師による通報の義務化
2019年改正法で変更された部分です。獣医師が虐待を受けたと思われる動物を診察した場合、旧法では通報が努力義務止まりでしたが、2019年改正法で義務に格上げとなりました。
第四十一条の二
国による地方への財政援助
2019年改正法で新設された部分です。国から地方公共団体への財政的な支援が努力義務として記載されました。
第四十一条の五
罰則
第六章「罰則」では動物愛護法に違反した際の罰則が規定されています。2019年改正法で変更・新設された項目は以下です。
動物虐待の厳罰化
動物を意図的に傷つけたり殺したりしたものに対する懲役刑の限度が2年から5年、罰金額が200万円から500万円へと引き上げられました。外猫を対象としたひどい虐待事件と、それに引き続く署名活動が国を動かしたのでしょうか。
第四十四条の一の1
動物虐待の細分化
2019年改正法では動物虐待の内容が具体化されました。新たに書き加えられたのは「身体に外傷が生ずるおそれのある暴行を加え、又はそのおそれのある行為をさせること」および「飼養密度が著しく適正を欠いた状態で愛護動物を飼養し若しくは保管することにより衰弱させること」です。前者は動物に対する積極的な虐待、後者はネグレクトやホーディングという消極的な虐待の代表格と言ってよいでしょう。
第四十四条の一の2
遺棄犯罪への懲役刑追加
動物を遺棄した場合の罰則に関し、従来の百万円のほか「1年以下の懲役」が新たに加えられました。
第四十四条の一の3
立ち入り拒否への罰則
2019年改正法で新設された部分です。動物を不適切に飼育しているものが都道府県からの命令を無視して報告を怠ったり、嘘をついたり、立入検査を拒んだ場合の罰則が定められました。具体的には20万円以下の罰金刑です。
第四十七条の三
関連条文一覧
以下は2019年の改正動物愛護法において変更や新設があった部分の抜粋です。詳しい内容は環境省が公開している以下のページなどもご参照ください。
動物愛護法・新旧対照表
2019年改正動物愛護法の原文
第一種動物取扱業者関連
第十二条の三
第十九条第一項の規定により登録を取り消され、その処分のあつた日から五年を経過しない者
第十二条の四
第十条第一項の登録を受けた者(以下「第一種動物取扱業者」という)で法人であるものが第十九条第一項の規定により登録を取り消された場合において、その処分のあつた日前三十日以内にその第一種動物取扱業者の役員であつた者でその処分のあつた日から五年を経過しないもの
第十二条の五の二
禁錮以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなつた日から五年を経過しない者
第十二条の六
この法律の規定、化製場等に関する法律(昭和二十三年法律第百四十号)第十条第二号(同法第九条第五項において準用する同法第七条に係る部分に限る)若しくは第三号の規定、外国為替及び外国貿易法(昭和二十四年法律第二百二十八号)第六十九条の七第一項第四号(動物に係るものに限る。以下この号において同じ)若しくは第五号(動物に係るものに限る。以下この号において同じ)、第七十条第一項第三十六号(同法第四十八条第三項又は第五十二条の規定に基づく命令の規定による承認(動物の輸出又は輸入に係るものに限る)に係る部分に限る。以下この号において同じ)若しくは第七十二条第一項第三号(同法第六十九条の七第一項第四号及び第五号に係る部分に限る)若しくは第五号(同法第七十条第一項第三十六号に係る部分に限る)の規定、狂犬病予防法(昭和二十五年法律第二百四十七号)第二十七条第一号若しくは第二号の規定、絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律(平成四年法律第七十五号)の規定、鳥獣の保護及び管理並びに狩猟の適正化に関する法律(平成十四年法律第八十八号)の規定又は特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律(平成十六年法律第七十八号)の規定により罰金以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなつた日から五年を経過しない者
第十二条の七の一
暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律(平成三年法律第七十七号)第二条第六号に規定する暴力団員又は同号に規定する暴力団員でなくなつた日から五年を経過しない者
第十二条の七の二
第一種動物取扱業に関し不正又は不誠実な行為をするおそれがあると認めるに足りる相当の理由がある者として環境省令で定める者
第二十一条の一の2(新設)
前項の基準は、動物の愛護及び適正な飼養の観点を踏まえつつ、動物の種類、習性、出生後経過した期間等を考慮して、次に掲げる事項について定めるものとする。
- 一:飼養施設の管理、飼養施設に備える設備の構造及び規模並びに当該設備の管理に関する事項
- 二:動物の飼養又は保管に従事する従業者の員数に関する事項
- 三:動物の飼養又は保管をする環境の管理に関する事項
- 四:動物の疾病等に係る措置に関する事項
- 五:動物の展示又は輸送の方法に関する事項
- 六:動物を繁殖の用に供することができる回数、繁殖の用に供することができる動物の選定その他の動物の繁殖の方法に関する事項
- 七:その他動物の愛護及び適正な飼養に関し必要な事項
- 当該期間が開始した日に所有し、又は占有していた動物の種類ごとの数
- 当該期間中に新たに所有し、又は占有した動物の種類ごとの数
- 当該期間中に販売若しくは引渡し又は死亡の事実が生じた動物の当該事実の区分ごと及び種類ごとの数
- 当該期間が終了した日に所有し、又は占有していた動物の種類ごとの数
- その他環境省令で定める事項
第二種動物取扱業者関連
第二十四条の四の2
前項に規定するもののほか、犬猫等の譲渡しを業として行う第二種動物取扱業者については、第二十一条の五第一項の規定を準用する。この場合において、同項中「所有し、又は占有する」とあるのは「所有する」と、「所有し、若しくは占有した」とあるのは「所有した」と、「販売若しくは引渡し」とあるのは「譲渡し」と読み替えるものとする
動物の飼養者関連
第二十五条の一の5(新設)
都道府県知事は、前三項の規定の施行に必要な限度において、動物の飼養又は保管をしている者に対し、飼養若しくは保管の状況その他必要な事項に関し報告を求め、又はその職員に、当該動物の飼養若しくは保管をしている者の動物の飼養若しくは保管に関係のある場所に立ち入り、飼養施設その他の物件を検査させることができる。
第二十五条の二(新設)
人の生命、身体又は財産に害を加えるおそれがある動物として政令で定める動物(その動物が交雑することにより生じた動物を含む。以下「特定動物」という)は、飼養又は保管をしてはならない。ただし、次条第一項の許可(第二十八条第一項の規定による変更の許可があつたときは、その変更後のもの)を受けてその許可に係る飼養又は保管をする場合、診療施設(獣医療法(平成四年法律第四十六号)第二条第二項に規定する診療施設をいう)において獣医師が診療のために特定動物の飼養又は保管をする場合その他の環境省令で定める場合はこの限りでない
第二十六条
動物園その他これに類する施設における展示その他の環境省令で定める目的で特定動物の飼養又は保管を行おうとする者は、環境省令で定めるところにより、特定動物の種類ごとに、特定動物の飼養又は保管のための施設(以下この節において「特定飼養施設」という)の所在地を管轄する都道府県知事の許可を受けなければならない。
都道府県等の措置関連
第三十五条の3
前二項の規定は、都道府県等が所有者の判明しない犬又は猫の引取りをその拾得者その他の者から求められた場合に準用する。この場合において、第一項ただし書中「犬猫等販売業者から引取りを求められた場合その他の第七条第四項の規定の趣旨に照らして」とあるのは、「周辺の生活環境が損なわれる事態が生ずるおそれがないと認められる場合その他の」と読み替えるものとする。
第三十七条の1
犬又は猫の所有者は、これらの動物がみだりに繁殖してこれに適正な飼養を受ける機会を与えることが困難となるようなおそれがあると認める場合には、その繁殖を防止するため、生殖を不能にする手術その他の措置を講じなければならない。
動物愛護管理センター関連
第三十七条の二の1
都道府県等は、動物の愛護及び管理に関する事務を所掌する部局又は当該都道府県等が設置する施設において、当該部局又は施設が動物愛護管理センターとしての機能を果たすようにするものとする。
第三十七条の二の2
動物愛護管理センターは、次に掲げる業務(中核市及び第三十五条第一項の政令で定める市にあつては、第四号から第六号までに掲げる業務に限る)を行うものとする。
- 第一種動物取扱業の登録、第二種動物取扱業の届出並びに第一種動物取扱業及び第二種動物取扱業の監督に関すること
- 動物の飼養又は保管をする者に対する指導、助言、勧告、命令、報告の徴収及び立入検査に関すること
- 特定動物の飼養又は保管の許可及び監督に関すること
- 犬及び猫の引取り、譲渡し等に関すること
- 動物の愛護及び管理に関する広報その他の啓発活動を行うこと
- その他動物の愛護及び適正な飼養のために必要な業務を行うこと
雑則関連
第四十条の3(新設)
前項の必要な事項を定めるに当たつては、第一項の方法についての国際的動向に十分配慮するよう努めなければならない。
第四十一条の二
獣医師は、その業務を行うに当たり、みだりに殺されたと思われる動の死体又はみだりに傷つけられ、若しくは虐待を受けたと思われる動物を発見したときは、遅滞なく、都道府県知事その他の関係機関に通報しなければならない。
第四十一条の五
国は、第三十五条第八項に定めるもののほか、地方公共団体が動物の愛護及び適正な飼養の推進に関する施策を策定し、及び実施するための費用について、必要な財政上の措置その他の措置を講ずるよう努めるものとする。
罰則関連
第四十四条の一の1
愛護動物をみだりに殺し、又は傷つけた者は、五年以下の懲役又は五百万円以下の罰金に処する。
第四十四条の一の2
愛護動物に対し、みだりに、その身体に外傷が生ずるおそれのある暴行を加え、又はそのおそれのある行為をさせること、みだりに、給餌若しくは給水をやめ、酷使し、その健康及び安全を保持することが困難な場所に拘束し、又は飼養密度が著しく適正を欠いた状態で愛護動物を飼養し若しくは保管することにより衰弱させること、自己の飼養し、又は保管する愛護動物であつて疾病にかかり、又は負傷したものの適切な保護を行わないこと、排せつ物の堆積した施設又は他の愛護動物の死体が放置された施設であつて自己の管理するものにおいて飼養し、又は保管することその他の虐待を行つた者は、一年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。
第四十四条の一の3
愛護動物を遺棄した者は、一年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。
第四十七条の三
第二十五条第五項の規定による報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、又は同項の規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避した者は、二十万円以下の罰金に処する。