トップ犬のしつけ方屋外で必要となるしつけ犬の伏せのしつけ

犬の伏せのしつけ

 伏せとは、犬が床や地面におなかをつけてじっと動かなくなる状態のことです。重力から開放されてリラックスできるという犬の側のメリットのほか、動き出すまでに時間がかかるため突発的な動きを制限できるという飼い主の側のメリットもあります。

犬の伏せのしつけの必要性

 「伏せ」とは犬がおなかを床や地面につけた状態のことです。多くの場合、前足はスフィンクスのような直角になってひじが地面と接し、後ろ足は右が左どちらか一方に投げ出される形になります。
 伏せのしつけは犬を心身ともにリラックスさせる上で重要です。犬が伏せた状態になると、それまで体重を支えていた上半身(前足)の大きな筋肉(三角筋・上腕三頭筋・胸筋)や下半身(後ろ足)の大きな筋肉(大腿四頭筋・内転筋・臀筋)が重力から解放されます。この状態は、人間で言うと立ちっぱなしの仕事から解放されてベットに寝転がった瞬間と同じです。筋肉の収縮が一気になくなったことにより、体全体がほんわかとした心地よさに包まれ気持ちもリラックスします。ですから犬に伏せの姿勢をとらせることには、体を休めて気持ちをゆったりさせるという効果があるのです。 伏せの状態は犬の手足を重力から解放してくれる  伏せが持つもう一つの重要な役割は問題行動の予防です。お座りの姿勢では後ろ足が折りたたまれてしゃがんだ状態にはなっているものの、足の裏が地面と接していますので、その気になればすぐに立ち上がることができます。一方、伏せの姿勢では腹が地面と接していますので、前足が折りたたまれて地面と肘が接しており、後ろ足も折りたたまれて人間で言う「横座り」のような格好になっています。つまり急には動き出せないのです。 足の裏が地面と接していない伏せの姿勢からは急に動き出さない  例えばドアチャイムに興奮して玄関に駆け寄っていくとか、初対面の人に興奮して顔をベロベロなめてしまうといった癖が犬にある場合、伏せをあらかじめマスターしておくと、伏せた姿勢自体が拘束具となり、そうした問題行動を予防してくれるようになります。犬を蹴飛ばすとか投げ飛ばすとか、電気ショックが流れる首輪をするといったことは全く必要ないのです。
 このように伏せのしつけには、犬をリラックスさせると同時に問題行動を予防するという重要な役割を持っています。それでは具体的に犬に伏せをしつけるときの教え方やコツを見ていきましょう。
NEXT:しつけの基本方針

犬の伏せのしつけ・基本方針

 伏せの練習をするに際し、飼い主はまず以下のことを念頭に置きます。
してほしい行動
フセの言葉で犬が地面におなかをつけること
してほしくない行動
フセの言葉をかけても犬が落ち着かずうろうろすること
 してほしい行動と快(ごほうび・強化刺激)、してほしくない行動と不快(おしおき・嫌悪刺激)を結びつけるのがしつけの基本であり、前者を強化、後者を弱化と呼ぶことは犬のしつけの基本理論で述べました。これを踏まえて犬に伏せをしつける場合を考えて見ましょう。
強化
「フセの言葉で犬がおなかを地面につけてじっとしていた」瞬間に快を与える
弱化
「フセの言葉をかけても犬がうろうろした」瞬間に不快を与える
 犬の伏せのしつけに際しては強化の方が効果的です。
 例えばなかなか伏せの姿勢を取らない犬の首根っこをつかみ、強引に寝かしつけたとします。犬は本能的に体の動きを拘束されることを嫌いますので、首をつかんでいる飼い主の手や飼い主の存在自体を嫌いになり、頭をなでようとして伸ばした手に噛み付いてしまうかもしれません。
 2009年にアメリカで行われた調査によると、犬を力ずくで伏せた状態にすると高い確率で飼い主に攻撃的な行動を見せると報告されています。具体的には、リードで強引に犬を引き倒した場合が17%(5/30人)、犬の体を上から力ずくで抑え込むドミナンスダウンを用いた場合が29%(7/24人)、そして犬を仰向けに寝かせて動けなくするアルファロールを用いた場合が31%(11/36人)だったとのこと出典資料:E.Herron, 2009
 このように、犬に不快感を与える形でしつけを行ってしまうと、友好関係が崩壊して高い確率で「うなる」とか「噛む」といった反撃を食らってしまいます。ですから犬に伏せをしつける時は正しい行動に対してごほうびを与えて伸ばしてあげる正の強化が基本方針となります。
NEXT:しつけの実践

犬の伏せのしつけ・実践

 基本方針を理解したところで、いよいよ実際の訓練に入りましょう。まずはしつけに入る前に「犬のしつけの基本理論」で述べた大原則、「犬をじらせておくこと」「一つの刺激と快不快を混在させないこと」「ごほうびと罰のタイミングを間違えないこと」「しつけ方針に家族全員が一貫性を持たせること」を念頭においてください。まだマスターしていない方は以下のページを読んで「すべきこと」と「すべきでないこと」が何であるかを把握しておきます。 犬のしつけの基本

しつけの準備

 実際に伏せのしつけに入る前に、以下のような準備を終わらせておきましょう。

集中できる環境を作る

 一つのことを覚えるには集中力が大切です。しつけの前には窓を閉じて外からの音を遮断し、テレビやラジオは消しましょう。気が散るようなおもちゃなどは全て片付け、犬の意識が否応なく飼い主の後に向くように無味乾燥なトレーニング環境を作ってしまいます。
 床の居心地が悪いと犬が伏せの姿勢をとることを拒絶することがあります。例えば冷たい、滑る、汚いなどです。犬が不快感を抱かないよう、きれいなカーペットやラグマットなどを敷き、足のスリップを予防してあげましょう。
 犬の集中力は10分~15分ほどです。集中力がなくなってきたらいさぎよく練習を中断してその日の夜や翌日に改めて再開しましょう。飼い主がしつけを焦って犬の感情を無視して強引に行ってしまうと、しつけ自体が犬にとっての苦痛になってしまいます。

ごほうびを用意する

 犬をある特定の行動に対して積極的にさせるためには、何らかの快(強化刺激)を与える必要があります。以下は代表的な犬に対するごほうびです。
犬に対するごほうびいろいろ
  • おやつおやつをごほうびとして使う場合は犬がおいしいと感じるもの+カロリーの低いものを選ぶようにしましょう。与えるときは犬が満腹にならないよう、なるべく少量だけにします。
  • ほめる高い声で「よーし」や「いいこ」や「グッド」などの声をかけてあげます。言葉と同時に軽く一回なでてあげてもかまいません。ただしあまり激しく撫で回してしまうと犬が興奮しすぎて集中力がなくなってしまうため、軽くにとどめておきます。
  • おもちゃおもちゃを選ぶときは、あらかじめ犬に何種類かのおもちゃを与えておいて一番のお気に入りを確かめておきます。ただし一度与えると回収するのが困難になるため、しつけセッションの最後に与えるようにします。

指示語を統一する

 犬をある動作に導く指示語(言葉による合図)を統一しないと犬は混乱してしまいます。一家の中でお父さんは「フセ!」、お母さんは「伏せなさい!」、娘は「ダウン!」だったら犬は大混乱で何をしてよいか分からなくなり、いじけてしまいます。このように指示する際に掛ける言葉は一つに絞ること、つまり「指示語を統一すること」は非常に重要なのです。
 指示語の候補としては、犬が聞き取りやすい「フセ」、「ダウン」、「ライダウン」などがあります。もし「ダウン」という言葉が「シットダウン」など他の動作の指示語に含まれている場合は、混乱を避けるため別のものを用いてください。実際のしつけに入る前に必ず家族会議を開き、どれを用いるの決めておきます。

伏せの姿勢でごほうび

 まずは伏せの姿勢をとるとごほうびがもらえるということを犬に覚え込ませましょう。犬を伏せの体勢に誘導する方法にはいくつかの方法があります。飼い主は立った状態でもできますが、座った状態もしくは立ち膝の状態で行うと腕を下げるときの腰への負担が少なくなるでしょう。

立った状態からの伏せ

 四つ足で立った状態の犬を伏せさせる場合は、まず指先におやつを持ち、犬の意識を集中させます。リードにつなぐ必要はありません。そのまま指を下に下げていくと犬もつられて鼻先を下げますので、自然と伏せの姿勢を取るようになります。犬の腹が床に接した瞬間、「いいこ」とほめて持っていたおやつを与えましょう。 【画像の元動画】How to Teach Your Dog to Lie Down _ Dog Training 犬の鼻さきをおやつで床に誘導することによって伏せの姿勢をとらせる  ただ単におやつを真下に下げただけでは、後ろ足を踏ん張ってなかなか伏せの姿勢を取ってくれない犬もいます。そういう場合は真下ではなく斜め後方に向かって下げるようにしてみましょう。おやつを食べるためには後ろ足をたたまなければなりませんので自然に伏せの姿勢を取りやすくなります。 【画像の元動画】The BEST and FASTEST way to teach STAY - Dog training Obedience Positions 犬の鼻さきを斜め後方に誘導すると、後ろ足がたたまれやすくなる

お座りからの伏せ

 まずは犬にオスワリをしつけておき、おすわりの体勢をとらせます。犬が座ったらその瞬間「いいこ」とほめてなでてあげましょう。おやつはまだ見せません。
 2秒ほど経過したら指先で持ったおやつで犬の鼻先を床に誘導し、前足と後ろ足をたたませます。犬の腹が床についた瞬間「いいこ」とほめてごほうびを与えましょう。 【画像の元動画】How To Teach_ Down Using A Clickerお座りの姿勢からだと前足をたたませるだけで伏せの姿勢になる  お座りの姿勢をとった瞬間、ほめ言葉で正しい行動を取ったことを教えてあげないと、犬が「新しい動きを付け加えないとごほうびがもらえないのでは?」と誤解し、せっかく行った「お座り」のしつけが崩れてしまう危険性があります。ですから犬がお座りの状態になったら必ず1度ほめ、2秒ほど時間を空けて伏せの姿勢に誘導してください。

バリアを設けての伏せ

 お座りの状態から誘導するにしても、立った状態から誘導するにしても、口は下げてくれるけれどもなかなか腹をくっつけてくれない犬がいます。そういう犬の場合は物理的な障壁を設けてあるとうまくいくことがあります。例えば腕や足をリンボーダンスのバーに見立ててその下をくぐらせるなどです。 【画像の元動画】Training Small Dogs to Lay Down腕や足を障壁として犬の体の上に設けることにより強引に伏せの姿勢に誘導する  こうした手法は伏せの姿勢に導きやすいというメリットはありますが、「バリアをくぐることがごほうびの合図である」と誤解されてしまうというデメリットもあります。腹が付いた瞬間にごほうびを与えるというタイミングが非常に重要になりますので、しつける側はしっかりと犬の動きを見ておかなければなりません。

シェイピングによる伏せ

 「シェイピング」(段階的接近法)とは目標とする行動に似た行動からスタートし、徐々に変化を加えて最終的に目的とする行動に到達する手法のことです。
 例えば目標とする行動が「伏せ」の場合、「お座りの状態から頭を10cm下げる→20cm下げる→30cm下げる→床の高さからおやつを食べさせる→床の高さにおやつをホールドし、犬が疲れて自発的に伏せの姿勢になった瞬間におやつを食べさせる」などです。 【画像の元動画】Teach a Dog to Lay Down - 5 Alternate Methods for All Dogs伏せの姿勢が苦手な犬の場合、目標とする動作を細かくステップ目標に分けて段階的にアプローチする  犬がなかなか伏せの姿勢をとってくれない場合、いきなり床に腹をつけさせるのではなく、細かなステップに分けて段階的に行動を強化していくとうまくいくことがあります。

伏せる動作と指示語をリンク

 犬が「伏せの姿勢をとるとごほうびをもらえる」と学習したら、今度は行動と指示語(言葉による合図)とを結びつけていきます。
 おやつで犬を伏せの姿勢に誘導し、腹が床につく寸前「フセ」など、事前に決めておいた指示語を1度だけはっきりと発音します。犬の腹が床についたらごほうびを与えてほめてあげましょう。指示語のタイミングが行動の後にならないよう注意してください。 【画像の元動画】How to Teach Your Dog to Lie Down _ Dog Training 犬が出伏せの姿勢をとる寸前に指示語を1度だけ聞かせる

指示語だけで伏せ

 行動の直前に指示語を聞かせるというトレーニングを10回ほど繰り返したら、犬がちゃんと指示語を覚えているかどうかをテストしてみましょう。犬の姿勢をリセットし、おやつを見せない状態ではっきりと1度だけ「フセ」と発音します。 【画像の元動画】How to Train a dog to Lie down犬は指示語を聞いただけで伏せの姿勢をとらなければならない  犬が練習通りに伏せの姿勢になってくれたら成功です。指示語と行動とが頭の中で結びついていることを意味しています。ほめてごほうびを与えましょう。もし犬がキョトンとしているようならまだ練習が足りません。もう一度ひとつ前のステップに戻り、腹が床につ直前に指示語を聞かせるというトレーニングを繰り返します。

ハンドシグナルを教える

 犬の耳が不自由な場合、言葉による指示語は通じませんので動作によるハンドシグナル(ハンドサイン, ジェスチャー)を教えておく必要があります。またたとえ耳が不自由でなくても、非常にうるさい交通騒音の中で犬に一定の行動をとってほしいことがあります。そういう状況でもハンドシグナルが必要になるでしょう。

犬の耳が不自由な場合

 先天的な疾患や老化などで犬の耳が不自由な場合、伏せるという動作と何らかの視覚的なジェスチャーをリンクさせなければなりません。ここでは「直角に曲げた腕を床に向けて伸ばす」という動作を例に取ります。
 犬を伏せの姿勢に誘導し、床に腹がついた瞬間ごほうびを与えるというプロセスまでは耳が聞こえる犬に対するものと同じです。次のステップでは指示語の代わりにハンドシグナルを教えていきます。
 人差指と中指でおやつを挟み、犬の目の前に手のひらを掲げて注意を惹き付けましょう。犬の意識が指先に向いたらそのままゆっくりと腕を伸ばしていき、鼻先を床まで誘導します。犬が伏せの姿勢になったらごほうびを与えてなでてあげましょう。終わったらいったん犬の体勢をリセットし、再び同じ練習を繰り返します。こうすることで犬の中では「直角に曲げた腕を床に向けて伸ばす」というハンドシグナルと「伏せる」という動作とが自然に結びついていきます。 【画像の元動画】How to Teach Your Dog to Lie Down _ Dog Training 伏せのハンドシグナルは直角に曲げた腕を床に向かって伸ばすこと  10回ほど練習したら、おやつを手に持たない状態でハンドシグナルを出してみましょう。犬が伏せの姿勢になってくれたら成功です。ハンドシグナルという視覚的ジェスチャーと行動とが結びついていることを意味しています。空いてるほうの手でおやつを与えほめてあげましょう。もし犬がキョトンとしているようならまだトレーニングが足りません。もう一度おやつを手に持ち、ゆっくりと下げながら伏せの姿勢を取らせ、両者の結びつきを強めます。

犬の耳が不自由でない場合

 犬の耳が不自由でない場合は、まず「指示語だけで伏せ」までの各ステップをマスターさせておきます。犬の中ではすでに「フセ」という指示語と「伏せる」という動作が結びついていますので、後は「ハンドシグナル」という視覚的なジェスチャーと「フセ」という聴覚的なコマンドを結びつけるだけです。
 具体的には、「フセ」と指示語を出す直前に事前に決めておいたハンドシグナルを見せてあげます。例えば「直角に曲げた腕を床に向けて伸ばす」などです。出すタイミングは犬の学習が最も早くなるよう、指示語と同時ではなく「ハンドシグナル(手)→フセ(言葉)」という順序で行って下さい。犬が伏せの姿勢を取ったらごほうびを与えてほめてあげます。 【画像の元動画】How to Teach Your Dog to Lie Down _ Dog Training 犬に伏せのハンドシグナルを見せるタイミングは指示語の直前  犬が慣れてきたら、指示語を出す時の声のボリュームを少しずつ下げていきましょう。いきなりささやき声にしてしまうと犬が何をしていいのかわからなくなりますので、あくまでも少しずつ声量を下げてください。最終的な目標は、指示語を出さなくてもハンドシグナルを見ただけで犬が伏せの姿勢を取ってくれることです。 【画像の元動画】Teach Your Dog to Lie Down犬はハンドシグナルを見ただけで伏せの姿勢をとらなければならない  こうした練習を事前に積んでおくと、ひどい騒音で飼い主の声が全く聞こえないような状況においても、ハンドシグナルを見せることで犬の注意を自分に向け、伏せの姿勢をとらせることができるようになります。

ごほうびを徐々に減らす

 犬に伏せの姿勢をとらせるという行為は、犬との暮らしの中で数千回も行うものです。そのたびごとにおやつを与えていたら、犬が肥満に陥って不健康になってしまいます。ですから飼い主は「おやつ」というごほうびから「ほめる」というごほうびに緩やかにシフトしていかなければなりません。
 トレーニングしている最中は、犬がうまく出来るごとにおやつ与えて構いません。犬が伏せを覚え、飼い主からの指示に従って確実に伏せてくれるようになったら、おやつを与える回数を「2回に1回→ 3回に1回→ 4回に1回・・・」といった具合に徐々に減らしていきます。最終的には「いいこ」などのほめ言葉だけで済ませるようにしましょう。ただし間欠強化の原理で犬の行動を強化するため、犬の大好きなとっておきのおやつをたまにランダムで与えるようにします。そうすることで犬は、まるで万馬券を当てた人のようにその行為に病み付きになり、いい意味でやめられなくなります。

気が散る環境で伏せ

 犬が指示語とハンドシグナルの両方をマスターしたら、少しずつ気が散る環境でも練習を行っていきます。
✅指示を出す時の飼い主の姿勢が座位や立ち膝の状態だった場合は、立った状態で出してみましょう。微妙な角度の違いによりハンドシグナルを別物と認識してしまうかもしれません。犬がハンドシグナルに反応しなくなった場合は、座った状態からいきなり立った状態で行うのではなく、「かがんだ状態」など両者の中間にある体勢でシグナルを出してみます。
今までとは別の部屋でもやってみましょう。練習で使っていたしつけエリアを飛び出し、家の中にある廊下、キッチン、リビング、玄関など様々なエリアで伏せの指示を出してみます。周囲の景色や匂いが微妙に変わっても、犬は確実に伏せの姿勢を取らなければなりません。
✅外でも飼い主の指示に応じて伏せの姿勢を取れることが理想ですが、屋外の環境は床や地面が汚れていることがありますので、事前によくチェックしてから指示を出すようにしてください。被毛にガムや人の吐いたツバが付いてしまっては気持ちが悪いですよね。

シットダウンゲーム

 伏せのコマンドはお座りと同様、非常に使用頻度が高いものです。この2つのコマンドをスムーズに使い分けることができるよう日ごろからゲームを通じて練習しておきましょう。ゲームの前にオスワリのしつけを終えておきます。
 まずは指示語の練習です。四つ足で立った状態の犬に対し「オスワリ」と指示語を出します。犬が座った状態になったら「フセ」と指示語を出してみましょう。犬が伏せの状態になったら、再び「オスワリ」と指示を出し、犬がお座りの姿勢に戻ったら「いいこ」とほめてごほうびをあげます。 【画像の元動画】How to Train a dog to Lie downフセとオスワリの指示語やハンドシグナルに素早く反応できるようにするシットダウンゲーム  ハンドシグナルの練習も併せて行います。四つ足で立った状態の犬に対しお座りのハンドシグナルを出します。犬が座った状態になったら伏せのハンドシグナルを出してみましょう。犬が伏せの状態になったら、再びお座りのハンドシグナルを出し、犬がお座りの姿勢に戻ったら「いいこ」とほめてごほうびをあげます。
 お座りと伏せは連続して行われることが多い動作です。日ごろから2つの動作をスムーズにこなせようゲーム感覚でトレーニングしておくと、犬も楽しみながらマスターできるでしょう。
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犬の伏せQ & A

 以下は犬の伏せについてよく聞かれる疑問や質問の一覧リストです。思い当たるものがあったら読んでみてください。何かしら解決のヒントがあるはずです。

伏せの訓練はいつから始める?

散歩デビューする前までに終わらせておきます。

 子犬のワクチン接種が終了して外に出られるようになるのは生後14週目以降ですので、伏せの訓練は生後2~3ヶ月齢くらいか始めるようにします。犬をペットショップから迎えた場合(=生後50日齢以降)はすぐに始めるということになります。
 「お座り」の練習が終わり次第、伏せの練習に入ったほうがスムーズに覚えてくれるでしょう。これらのしつけは、屋外において犬の突発的な動きを制御する時に重要です。犬がすでに成犬の場合はいつから始めても構いません。お座りのしつけ

伏せの仕方が変です!

足の短い犬や太った犬は後ろ足をカエルのように伸ばすことがあります。

 通常の伏せの姿勢では、両方の後ろ足を折りたたんでしゃがんだ状態になります。しかし犬の後ろ足が短い場合、足を完全に折りたたむ前におしりが地面についてしまい、しゃがんだ姿勢を取ることができません。また犬が太っている場合も、お腹の脂肪が邪魔でしゃがんだ姿勢が窮屈(きゅうくつ)になります。
 こうした犬たちの多くは、後ろ足を左右どちらか一方に投げ出し、ちょうど「横座り」(おねえ座り)のような姿勢を取ることで対応しますが、中には足をカエルのように伸ばした方が楽な犬がいるようです。 足の短い犬や肥満犬は伏せの時後ろ足をカエルのように伸ばす  ダックスフント、ブルドッグ、フレンチブルドッグ、ウェルシュコーギーといった犬種は、足が短い骨格上の制限がありますので、おかしな伏せ方をしていても大目に見てあげましょう。
 一方、肥満が原因の場合はダイエットによって解決が可能ですので、飼い主が責任持って摂取カロリーのコントロールをしてあげます。 犬のダイエットの基本

急に伏せをしなくなりました

体のどこかに痛みを抱えている可能性があります。

 今までできていたのに突然伏せをしなくなったという場合は、病気や怪我によって体のどこかに痛みを抱えている可能性を考慮しましょう。
 直前にジャンプや全力疾走を伴うような激しい運動はしませんでしたか?片方の足を引きずっていませんか?歩く時のリズムが変じゃありませんか?後ろ足を触ると痛がる素振りを見せませんか?
 その他にもたくさんの可能性がありますので筋骨格系の病気リストを見ながら思い当たる節がないかどうかを確認しましょう。大型犬では十字靭帯の断裂、小型犬では膝蓋骨脱臼、足の短い胴長の犬種では椎間板ヘルニアなどが考えられます。犬の筋骨格系の病気
犬の「伏せ」は問題行動を予防する上でとても重要になります。「お座り」とともに繰り返しトレーニングし、いつでもどこでもできるようにしておきましょう。