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犬の心を読む練習問題・犬と犬編~写真と動画で学ぶ犬のボディランゲージ

 犬と犬との接触で観察される、声・表情・しっぽの動き・姿勢などから犬の言葉や気持ちを察すための練習問題です。日ごろから犬の発するメッセージを瞬間的に捕らえ、その意味を理解できるようにトレーニングしておくと、犬とのコミュニケーションがぐんとはかどります。

Q1~Q4

 犬からのメッセージがよく表れている状況を集めました。犬の心を読む訓練で学んだ基本的な犬語を元に、犬の言葉や気持ちを推理してみましょう。声、耳の位置や口元の開き具合、しっぽの位置や動き、姿勢や重心などが着眼点です。

Q1

 3頭の犬がいます。左端の犬の気持ちを推理してみましょう。ヒントは、右端の犬との関係です。 3頭の犬~右端の犬が吠え立て、左端の犬がリアクションしています。  左端の犬の耳は後ろに引かれ、恐怖や屈服を表現しています。口は真一文字に閉じられており、緊張感を表しています。しっぽはやや引き気味で後足の間に力なく垂れており、相手に対する恐怖心を表しています。また、右端の犬はしっぽを高々と上げて自信満々の振る舞い。前傾姿勢で耳も立ち、相手に対する優位を誇示しています。
 こうした状況から左端の犬は「すいません・・・」といった感じで右端の犬に対する劣位を受け入れていると考えるのが妥当でしょう。

Q2

 2頭の犬が遊んでいると、にわかに写真のような状態になりました。下になった犬の気持ちを推理してみましょう。ヒントは、上の犬が発しているメッセージです。 上から覗き込むようにしている犬と、横になっておなかを見せている犬  まず、上になっているジャーマンシェパードの耳は直立し、相手に対する攻撃性を見せています。また口は真一文字に閉じられ、緊張感を表しています。しっぽは高々と上がり、やや自分の体に向いていること、また重心がやや前傾していることから、自分の力に対する自信のようなものをうかがわせます。
 一方下になった犬の耳は引かれ、恐怖や服従心を示しています。横になって相手の直視を避け、しっぽも巻き気味です。
 こうした状況から、下になった犬は「ごめんなさい・・・許してください」といった感じで、調子に乗りすぎた自分の行為を謝っていると考えるのが妥当でしょう(⇒Q9と比較)。

Q3

 2頭の犬がドッグランで初対面。そろそろと近づいて写真のようなあいさつを交わしました。右側の犬の気持ちを推理してみましょう。 ずっしりと構えるグレートデンと、及び腰のシーズーミックス  左側のグレートデンは、ずっしりと構えてしっぽも上がり、泰然とした態度で接しています。それに対して右側の小さな犬は、重心をやや後ろに掛けて及び腰です。しっぽは短くて分かりにくいですが、水平方向にピンと張っているように見えます。口は閉じられており、緊張していることがわかります。
 こうした状況から、右側の犬は「なんか怖いんですけど・・・」といった感じで、敵対心は無いものの相手のプレッシャーにやや押され気味と考えるのが妥当でしょう。

Q4

 フェンスの中にいる左側の犬に、シベリアンハスキーがそろそろと近寄ってきて初対面。右側の犬の気持ちを推理してみましょう。 そっぽを向いている犬に対し、そろそろと近づいてきたシベリアンハスキー  耳はややV字に開いており、好奇心と恐怖がない交ぜになった心境を表しています。首筋にはやや逆毛が立ち、興奮気味であることを示しています。垂れ気味のしっぽは不安を表し、体重もやや後ろにかかっています。そして前足をまるでポインターのように上げていますが、これは自分を落ち着かせようとするカーミングシグナルの一種です。
 こうした状況から、右側の犬は「や・・・やぁ・・・君は誰だい?」といった感じで、やや緊張しつつも相手との距離を縮めようとしていると考えるのが妥当でしょう。ちなみに左側の犬がそっぽを向いているのもカーミングシグナルの一種です。

Q5~Q8

 犬からのメッセージがよく表れている状況を集めました。犬の心を読む訓練で学んだ基本的な犬語を元に、犬の言葉や気持ちを推理してみましょう。声、耳の位置や口元の開き具合、しっぽの位置や動き、姿勢や重心などが着眼点です。

Q5

 2頭の犬が遊んでいます。バセットハウンドにボールを奪われてしまった右側の犬の気持ちを推理してみましょう。 ボールを奪ったバセットハウンドと、うらめしそうにそのボールを眺める犬  口元からはやや歯が見えており、あまり快く思っていないという気持ちがうかがえます。耳は引き気味で恐怖や緊張を示し、垂れたしっぽと後傾気味の重心は自信のなさと恐怖心を示しています。
 こうした状況から、右側の犬は「あの~・・返してくれません?」といった感じで、相手に恐縮しつつもボールを奪い返したがっていると考えるのが妥当でしょう。

Q6

 河川敷で2頭の犬がばったり出会いました。右側の犬の気持ちを推理してみましょう。 河川敷で初対面の2頭の犬  左側のアイリッシュウルフハウンドは、しっぽをやや下げて不安な心境を表明しています。頭を下げて口元を緩めていることから、相手に対する敵対心は無いようです。一方、右側のダルメシアンは、口を閉じてやや緊張気味です。しっぽもピンと張ってやや上に向いていることから、あわよくば相手に対して優位な立場を築こうと狙っています。
 こうした状況から、右側の犬は「見ない顔だな?誰だお前は?」といった感じで、やや強気に接して自分の優位性を保とうとしていると考えるのが妥当でしょう。

Q7

 2頭の犬が遊んでいると、だんだんとヒートアップ!すると両者は一端離れ、写真のような姿勢を見せました。左側の犬の気持ちを推理してみましょう。 しっぽを挙げて凄みを利かせる犬と、しっぽを下げて頭を下げる犬  口元がやや開き、口角が引き締まっていることから、ゴキゲン斜めであることがわかります。しっぽは自分の背中に向けて反り返り、相手に対する優位を誇示しており、さらにやや腰を落とすことで今すぐにでも飛びかかれる体勢を整えています。
 こうした状況から、「なんだこのやろう!」といった感じで、相手に対して露骨に敵対心を示していると考えるのが妥当でしょう。ちなみに右側のワイマラナーは頭を下げて耳を引き、しっぽを下げて自分の劣位を認めることで、相手の怒りを鎮めようとしていますが、これは賢明なリアクションといえます。

Q8

 2頭の犬のうち、一方がうなり声を上げて写真のような表情を見せました。この犬の気持ちを推理してみましょう。 鼻の上にしわを寄せて犬歯を見せる犬  犬の耳は直立し、やや前方に傾いていることから、相手に対して怒っていることが見て取れます。また上唇を挙げて犬歯をのぞかせ、鼻の上にしわを寄せています。よくみると微妙に首筋の毛が逆立っているような気もします。
 こうした状況から、左側の犬は「調子に乗るんじゃねぇ!」といった感じで相手を脅しつけていると考えるのが妥当でしょう。相手の気迫に飲み込まれたのか、右側の犬は耳を引いて降参の姿勢を示しています。

Q9~Q11

 犬からのメッセージがよく表れている状況を集めました。犬の心を読む訓練で学んだ基本的な犬語を元に、犬の言葉や気持ちを推理してみましょう。声、耳の位置や口元の開き具合、しっぽの位置や動き、姿勢や重心などが着眼点です。

Q9

 2頭の犬が遊んでいると、一方の犬がゴローンと地面に寝転がりました。このときの下になった犬の気持ちを推理してみましょう。 横になって腹を見せるダックスフントと上からそれを見下ろすシベリアンハスキー  ミニチュアダックスフントが寝転がっておなかを相手に見せていることから、「服従の姿勢だな」と一瞬思いますが、犬の口元を見てみると、口角が長く引かれて全く緊張しないことがうかがえます。そして上から見下ろしているシベリアンハスキーはというと、こちらもやはり口角が引かれて舌を出し、リラックスムードです。
 こうした状況から、下の犬は「あはは・・・楽しいねぇ!」といった感じで、遊びを心から楽しんでいると考えるのが妥当でしょう(⇒Q2と比較)。

Q10

 2頭の犬が道端でご挨拶。ミニチュアダックスフントの子犬が後足で立ち上がり、相手の犬に鼻を近づけていきました。このときの子犬の気持ちを推理してみましょう。 下から鼻をすり寄せて挨拶する子犬と、その挨拶を受け止める成犬  まず、上になっている小型犬は、しっぽを高々と上げて「なめられてたまるか!」といった気概を見せています。重心はどっしりとしており、立ち姿は立派ですが、耳がやや引かれていることから、若干強がりな性格も見て取れます。一方ミニチュアダックスフントの子犬は、前足を挙げてパピーリフトを見せ、耳を引くことで、まるで母犬に示すような服従の姿勢を見せています。さらに鼻を下からすり寄せるという動作は、子犬が成犬に甘えるときに見せる動作であることからも、子犬が目上の犬に対して目いっぱいの敬意を表していることがうかがえます。
 こうした状況から、「初めまして!今後ともよろしくお願いします!」といった感じで、相手を敬いつつ礼儀正しく挨拶していると考えるのが妥当でしょう。

Q11

 生まれて初めて鏡をのぞいた子犬が、そこに映る自分の姿を見て吠え始めました。このときの子犬の気持ちを推理してみましょう。
初めての鏡
元動画は→こちら
 耳は前を向いてピンと立ち、相手に対する好奇心を示しています。しっぽに関しては、大きく振ることで相手に対する興味示すと同時に、後足の間に垂らすことで、若干の居心地の悪さも表明しています。間に休みをおきながら、3~4回中程度の音程で吠え続けるという吠え方は、典型的な警戒心の表れであり、時々さしはさまれる軽いうなり声によってもその心理がうかがえます。
 こうした状況から、「ねえねえ!なんか変なのがいるよ!・・・お友達なの?!」といった感じで、好奇心と警戒心とが同居している複雑な心境と考えるのが妥当でしょう。