トップ犬の心を知る犬の言葉・気持ち犬がお尻のにおいを嗅ぐ

犬がお尻のにおいを嗅ぐ~このしぐさの意味は?

 犬の言葉や気持ちをクイズ形式でまとめました。問いにある写真を見て犬が何と言っているのか当ててみてください。下にスクロールすると答えが出てきます。サンプル動画や写真もあわせてご紹介しますので、楽しみながら犬の言葉を学びましょう!
 なお、犬のカーミングシグナル犬の心を読む訓練もあわせてご覧ください。

犬がお尻のにおいを嗅ぐ状況

 犬がクンクンとお互いのお尻のにおいをかいでいます。人間には理解不能ですが、この時の犬の気持ちは? 「犬がお尻のにおいを嗅ぐ」・設問写真

お尻のにおいを嗅ぐときの気持ち解説

「犬がお尻のにおいを嗅ぐ」・解答と解説  犬は嗅覚(きゅうかく=においを嗅ぐ能力)の動物ですので、初対面の相手を知るにはまず臭いをかぎます。お尻の周辺には肛門腺(こうもんせん)という分泌組織があり、その犬特有のにおいを発しているといわれています。嗅覚の鋭い犬はこの臭いをかぐことで相手の情報を収集しているのです。言うなれば、「個人データを嗅ぎ込んでいる」という訳ですね。
 散歩の途中で出会った見知らぬ犬同士や、ドッグランで犬同士が交流する際は必ずといっていいほどこの「尻の臭いを嗅ぐ」という犬流のあいさつが見られるでしょう。尻のほかには鼻先や耳の臭いを嗅ぐというバージョンもあります。 犬の鼻・嗅覚 犬における肛門嚢の位置  ちなみに2021年に行われた最新の調査では、犬の肛門嚢には豊富なタンパク質が含まれており、匂い物質結合タンパク質(OBP)の豊富さに関しては「ミックス(血統不明)>クロス(血統が判明している混血)/純血種」という勾配が見られたと報告されています。またOBP遺伝子がX染色体(性別を決める性染色体)内に含まれていることから、「オス特有の匂い」や「メス特有の匂い」といったものがある可能性も併せて示されました。 犬の肛門嚢には豊富なタンパク質が含まれている

犬がお尻のにおいを嗅ぐ動画

 以下でご紹介するのは、犬同士がお尻のにおいを嗅いで相手の情報を読み取ろうとしている瞬間を捉えた動画です。犬の肛門腺からは一頭一頭個性的なにおいが発せられており、そのにおいをかぐことで相手の体調などがわかるとも言われています。人間が相手の「表情」を読んで、機嫌や体調を推し量るのと似ていますね。「人間-表情」=「犬-尻のにおい」といったところでしょう。
 ちなみにこの行動は若いオスのオオカミでも見られ、自信のあるものはしっぽを直立させたままじっと動かず、堂々と相手ににおいを嗅がせるといいます。 犬の肛門の病気
お尻のにおいをかぐ犬たち
 ドッグパークで初めて顔を合わせたロットワイラージャーマンシェパード。ジャーマンシェパードの方がこっそりとロットワイラーの背後に回り込み、ちゃっかりお尻のにおいを嗅ぎ取っています。その直後、ロットワイラーもにおいを嗅ごうと鼻を近づけますが、体勢を変えて拒否されてしまいました。ちょっとずるいですね。 元動画は→こちら
 小型犬から大型犬までさまざまな犬種がドッグランに遊びに来ました!ほとんどの犬がまず最初にやるのは、やはり「お尻くんくん」のようです。お尻嗅ぎに夢中になった犬たちがきれいに一列に並び、まるでチューチュートレイン(汽車ぽっぽ)のような状態になることもあります。またごくまれに、、風車のようにグルグル回りながらお尻を嗅ぎ回る犬たちの姿が見られることも。 元動画は→こちら

犬がお尻のにおいを嗅ぐ写真

 メス犬の大半とオス犬の一部は、直接お尻に行かず、まずは相手の頭の臭いをかぐという行動がよく見られます。理由は定かではありませんが、この行動はオオカミでも見られるそうです。またお尻のかわりに「耳のにおいを嗅ぐ」というバージョンもあります。耳からどのような臭いが発しているのかは分かりませんが、耳やお尻に不調や病気があると、人間でも分かるような悪臭を放ちますので、日頃からのケアは大事にしたいものですね。 犬の耳の手入れ 犬の肛門の手入れ 「犬がお尻のにおいを嗅ぐ」・サンプル写真 犬同士が行う鼻タッチには、食べ物のありかを伝える情報交換としての役割がある
 なお2009年に行われた実験では、犬同士が行う「鼻タッチ」には、食べ物に関する情報交換という役割があるようです。実験ではまず、犬が4つの間仕切りに入り、そのうちの1つだけで不定期にエサが与えられるという状況が作られました。その後、その様子を観察していた別の犬と自由にコンタクトを取らせ、今度は観察していた側の犬を間仕切りに出入りできるようにしました。その結果、最初の犬がエサをゲットできたときに限り、どういうわけか間仕切りに向かう傾向が強かったといいます。そしてこの傾向は、犬が鼻と鼻を近づける「鼻タッチ」をした後に顕著だったとも。
 こうした事実から研究者は、犬同士の「鼻タッチ」には、食べ物の存在を伝えるための情報交換としての役割があると推論しました。人間でいうと、全身からニンニクのにおいを発散している人と出会った後、その人からお店の場所を聞き、自分もギョーザを食べに行く状況に近いのかもしれません。 Dogs find hidden food by observing and interacting with a conspecific