犬の骨粗しょう症の病態と症状
犬の骨粗しょう症とは、骨の密度が病的に低くなってしまった状態を言います。
骨が多孔質(たこうしつ=穴がたくさんある状態)に変質するため、骨折などの危険性が高まります。犬の大きさや犬種にもよりますが、一般的に犬が7歳を超え、老境に入ったタイミングで、本症の可能性を考慮するようにするのが無難です。 犬の骨粗しょう症の症状としては以下のようなものが挙げられます。
骨が多孔質(たこうしつ=穴がたくさんある状態)に変質するため、骨折などの危険性が高まります。犬の大きさや犬種にもよりますが、一般的に犬が7歳を超え、老境に入ったタイミングで、本症の可能性を考慮するようにするのが無難です。 犬の骨粗しょう症の症状としては以下のようなものが挙げられます。
犬の骨粗しょう症の主症状
- 動きがのろい
- 運動を嫌がる
- 動きが固い
- 関節痛
- O脚(生後6~8週ごろの若年性骨粗しょう症)
犬の骨粗しょう症の原因
犬の骨粗しょう症の原因としては、主に以下のようなものが考えられます。予防できそうなものは飼い主の側であらかじめ原因を取り除いておきましょう。
犬の骨粗しょう症の主な原因
- 加齢 加齢によって全身の新陳代謝が落ちると、骨を新たに作るよりも骨を分解する速度の方が速くなり、徐々に骨が削られていくという現象が起こります。
- 副甲状腺機能亢進症 副甲状腺機能亢進症などによってホルモンの一種であるパラトルモン(副甲状腺ホルモン)が過剰分泌されると、骨格中のカルシウムを分解して血中カルシウム濃度を過度に高めてしまいます。その結果、骨密度の低下が起こり、骨粗しょう症へとつながります。
- 運動不足 骨は刺激を受ければ受けるほど硬く太く形成されるという性質を持っています。ですからあまりにも運動不足だと骨格全体に対する刺激が足りず、骨粗しょう症つながることがあります。
- 栄養不足
骨はタンパク質で構成される骨梁(こつりょう)と呼ばれる土台の上にカルシウムなどが沈着することで出来上がります。ですからタンパク質、カルシウム、およびカルシウムが腸管から吸収されるのを手助けするビタミンDなどが不足すると、骨粗しょう症にかかる危険性が高まります。
また、生後6~8週ごろに発症する若年性骨粗しょう症は、一般的に大型犬に多いとされます。これは、体が大きい分たくさんの栄養を必要としているため、食事中のカルシウムなどがすぐ不足してしまうことが原因と考えられます。
犬の骨粗しょう症の治療
犬の骨粗しょう症の治療法としては、主に以下のようなものがあります。
犬の骨粗しょう症の主な治療法
- 基礎疾患の治療 別の疾病によって骨粗しょう症が引き起こされている場合は、まずそれらの基礎疾患への治療が施されます。たとえば副甲状腺機能亢進症が原因の場合はそちらの治療が優先されます。
- 運動療法 加齢現象を止めることはできませんが、運動によって骨に刺激を加えると、骨芽細胞(こつがさいぼう=骨の再生を助ける)が活性化され、結果として骨の分解が抑制されます。また筋肉の維持にも効果的です。
- 食事療法 骨の形成に関与するタンパク質、ビタミンD、ビタミンK、カルシウムなどが極端に不足している場合は、それらを補った食事に切り替えます。ただし脂溶性ビタミンであるビタミンDにはまれに過剰症がありますので、適性量を守りながらの食事療法となります。具体的には獣医さんと相談した上でメニューを決めたほうがよいでしょう。