ほうれん草の成分
ほうれん草(spinach)はヒユ科アカザ亜科ホウレンソウ属の野菜。ビタミンAや葉酸のほか、ビタミンK、カロテノイド(ルテイン)、鉄分などを多く含むことで知られています。なお鉄分の含有量は、生の葉100g中に2mg、ゆでた場合は0.9mg程度です。
種類には東洋種や西洋種があります。前者の特徴は葉肉が薄く、葉が細く深い切れ込みがある点、後者の特徴は葉肉が厚く、丸みを帯びている点です。その他、生食用に改良したサラダ専用種などもあります。
ほうれん草は安全?危険?
ほうれん草を犬に与えても大丈夫なのでしょうか?もし大丈夫だとするとどのくらいの量が適切なのでしょうか?以下でご紹介するのはほうれん草に関して報告されている安全性もしくは危険性に関する情報です。
シュウ酸
シュウ酸(oxalate)は1700年代後半、カタバミ (oxalis) から単離されたことで知られる物質。水溶性シュウ酸塩はカタバミ科、アカザ科、タデ科の植物に、そして不溶性シュウ酸塩はサトイモ科の植物に多く含まれています。
アカザ科に属するほうれん草にも高濃度で含まれており、生の可食部(葉茎)100g中にはおよそ0.65mgのシュウ酸が検出されたというデータもあります(:医薬品情報21)。
シュウ酸はカルシウムと結合する性質が強いため、生のまま大量に摂取し続けると利用可能なカルシウム量が減り、血液凝固機能などに悪影響がでることがあります。またシュウ酸とカルシウムが結合して腎臓や尿路内部でシュウ酸カルシウム結石を形成することもあります。
アカザ科に属するほうれん草にも高濃度で含まれており、生の可食部(葉茎)100g中にはおよそ0.65mgのシュウ酸が検出されたというデータもあります(:医薬品情報21)。
シュウ酸はカルシウムと結合する性質が強いため、生のまま大量に摂取し続けると利用可能なカルシウム量が減り、血液凝固機能などに悪影響がでることがあります。またシュウ酸とカルシウムが結合して腎臓や尿路内部でシュウ酸カルシウム結石を形成することもあります。
ベータカロテン
ベータカロテン(βカロチン)は野菜に最も多く含まれている色素の一つ。メロン、マンゴー、カボチャ、パパイヤ、ニンジン、サツマイモなどに豊富に含まれています。また猫を除くほとんどの動物の体内では、ビタミンA(レチノール)を生成する際に用いられます。
ベータカロテンは黄色い野菜に多く含まれるというイメージがありますが、実はほうれん草にも高濃度で含まれており、その量はカボチャを凌ぐほどです。具体的には、西洋カボチャ(生・ゆで)の可食部100g中に含まれるベータカロテンが3,900μgであるのに対し、生のほうれん草100g中に含まれるそれは4,200μg、ゆでたほうれん草に含まれるそれは5,400μgと推計されています。
JECFA(FAO/WHO合同食品添加物専門家会議)基準における一日摂取許容量(ADI)は天然でも人工でも体重1kg当たり0~5mgです。EFSA(欧州食品安全機関)では15mg未満なら問題ないだろうとしています。
人間においては1日300mg以上を摂取すると、皮膚が黄色~オレンジに変色する「柑皮症」(かんぴしょう)になる可能性があります。上で示した含有量から逆算すると、1,000μgが1mgに相当しますので、ほうれん草100gを平らげてようやく4.2~5.4mgという計算になるでしょう。なお着色料としての利用に関しては「ベータカロテン」(着色料)をご参照ください。
ベータカロテンは黄色い野菜に多く含まれるというイメージがありますが、実はほうれん草にも高濃度で含まれており、その量はカボチャを凌ぐほどです。具体的には、西洋カボチャ(生・ゆで)の可食部100g中に含まれるベータカロテンが3,900μgであるのに対し、生のほうれん草100g中に含まれるそれは4,200μg、ゆでたほうれん草に含まれるそれは5,400μgと推計されています。
JECFA(FAO/WHO合同食品添加物専門家会議)基準における一日摂取許容量(ADI)は天然でも人工でも体重1kg当たり0~5mgです。EFSA(欧州食品安全機関)では15mg未満なら問題ないだろうとしています。
人間においては1日300mg以上を摂取すると、皮膚が黄色~オレンジに変色する「柑皮症」(かんぴしょう)になる可能性があります。上で示した含有量から逆算すると、1,000μgが1mgに相当しますので、ほうれん草100gを平らげてようやく4.2~5.4mgという計算になるでしょう。なお着色料としての利用に関しては「ベータカロテン」(着色料)をご参照ください。
クロロフィル
クロロフィル(chlorophyll)は植物の中で光合成を行う物質。葉緑素(ようりょくそ)とも呼ばれます。
クロロフィルは人間の体内でほとんど消化吸収されず、代謝産物であるクロロフィリンが生成されることはありません。安全性や危険性に関する科学的なデータは十分でないものの、野菜などを通じて日常的に摂取しているという事実から、JECFA(FAO/WHO合同食品添加物専門家会議)でもEFSA(欧州食品安全機関)でも一日摂取許容量(ADI)や使用基準は設定されていません。また国際がん研究機関(IARC)によって発がん性は確認されていません。 ただし食品や医薬品の着色料として用いられる「銅クロロフィリン」に関しては体内で吸収されるため、ある一定の使用基準があります。例えばEFSAでは吸収、代謝、排出、遺伝毒性、慢性毒性、発がん性、生殖・発達毒性に関する科学的なデータが欠落していることから、ADIの設定はできないとして態度を保留しています。またJECFAでは体重1kg当たり1日0~15mgまでという使用基準を提示しています。
「クロロフィル」と「銅クロロフィリン」は別物として扱われますのでご注意ください。なお日本では厚生労働省によって指定添加物の「着色料」として認可されており、使用基準が細かく定められています。
犬の体内においてもクロロフィルはほとんど代謝・吸収されないようです。犬に対してほうれん草を含んだフードを10日間に渡って給餌したところ、クロロフィルおよびその代謝産物の見かけ上の吸収率が2.5~4.0%、平均で3.4%だったといいます。また10%の割合で乾燥ほうれん草を含んだフードを給餌したところ、末梢血液中からクロロフィルの代謝産物が検出されたのは150分を経過してからだったとも(:Fernandes, 2007)。
クロロフィルは人間の体内でほとんど消化吸収されず、代謝産物であるクロロフィリンが生成されることはありません。安全性や危険性に関する科学的なデータは十分でないものの、野菜などを通じて日常的に摂取しているという事実から、JECFA(FAO/WHO合同食品添加物専門家会議)でもEFSA(欧州食品安全機関)でも一日摂取許容量(ADI)や使用基準は設定されていません。また国際がん研究機関(IARC)によって発がん性は確認されていません。 ただし食品や医薬品の着色料として用いられる「銅クロロフィリン」に関しては体内で吸収されるため、ある一定の使用基準があります。例えばEFSAでは吸収、代謝、排出、遺伝毒性、慢性毒性、発がん性、生殖・発達毒性に関する科学的なデータが欠落していることから、ADIの設定はできないとして態度を保留しています。またJECFAでは体重1kg当たり1日0~15mgまでという使用基準を提示しています。
「クロロフィル」と「銅クロロフィリン」は別物として扱われますのでご注意ください。なお日本では厚生労働省によって指定添加物の「着色料」として認可されており、使用基準が細かく定められています。
犬の体内においてもクロロフィルはほとんど代謝・吸収されないようです。犬に対してほうれん草を含んだフードを10日間に渡って給餌したところ、クロロフィルおよびその代謝産物の見かけ上の吸収率が2.5~4.0%、平均で3.4%だったといいます。また10%の割合で乾燥ほうれん草を含んだフードを給餌したところ、末梢血液中からクロロフィルの代謝産物が検出されたのは150分を経過してからだったとも(:Fernandes, 2007)。
「クロレラ」のページでも解説したとおり、クロロフィルが酵素によって分解されて生成される成分に可視光線が当たると、クロロフィル性日光過敏症(クロレラ皮膚炎)を引き起こすことがあります。人間用のサプリメントは与えないようご注意ください。