2月27日
スウェーデンで行われた最新の研究により、犬の短期記憶はせいぜい1分半くらいで消えてしまうという可能性が示されました。研究を行ったのはスウェーデン・ストックホルム大学のヨハン・リンド氏が率いるチーム。同氏らは、過去に行われた記憶力に関する膨大な情報を分析し、25種類の動物が持つ短期記憶の長さを比較検討しました。短期記憶とは、自分の生存に有利でも不利でもない中立的なエピソードを短期的に保持する能力のことです。
その結果、ミツバチは2.4秒、チンパンジーは20秒、犬は71秒で、動物全体の平均が27秒だったといいます。人間の近縁種であるチンパンジーの記憶力が犬よりも悪いことに関し研究者らは、「48時間以上記憶を保持していられる人間とチンパンジーを同等視すること自体が早計である」としています。およそ600万年前、チンパンジーと人間が分岐した後、記憶力を劇的に増強したのは人間の方であり、チンパンジーの記憶力がとりわけ悪いわけでもなければ、逆に犬の記憶力がとりわけよいわけでもないとのこと。
かねてより、留守番中に部屋を散らかした犬を怒鳴りつけたり、3分前に粗相(そそう)をした場所に犬の鼻を押し付けたりすることには、ほとんどしつけとしての意味がないと言われてきました。今回の研究では、「犬をほめたり叱ったりするには行動の直後」という大原則が、あらためて実証された形になります。 Many Animals May Have Horrible Short-Term Memories
2月25日
「犬にだけ聞こえる音」や「ピタゴラスイッチ風のからくり」を用いたCMで話題となったドッグフード「Beneful」(ベネフル)が、このたび3000名を超える人々から集団訴訟を起こされました。当訴訟が起こされたのは2月5日、カリフォルニア州の地方裁判所です。およそ500万ドルの賠償金を要求している原告団によると、「Beneful®」の8商品(日本では流通なし)には自動車の不凍液として有名なプロピレングリコールのほか、カビ毒として有名なマイコトキシンが含まれており、これを食べた犬に下痢、腸管出血、肝不全、嘔吐、脱水、体重減少、発作、鼓腸、腎不全といった症状を引き起こすとしています。
こうした訴えに対し、ブランドを展開する「Nestle Purina Petcare」のスポークスマンは、「根拠のない言いがかり」と真っ向から反論。商品の品質に問題は無く、マスコミなどを通して得た間違った情報を鵜呑みにしているだけだとしています。なお当ブランドは、過去に2度集団訴訟を起こされた経緯がありますが、いずれも棄却されています。 Source---Fox6Now.com
2月23日
アメリカ・マサチューセッツ州において、チャリティイベントの座興として、犬が冷たい池の中に沈められるという出来事がありました。この出来事が起こったのは、2月14日(土)、スペクタブル池のほとりで開催された「ポーラープランジ」(Polar Plunge)と呼ばれるチャリティイベント。運動選手に対して募金をした人が、池の中に飛び込むという半分お祭りのような企画です。当日は100人以上の参加者がいましたが、その中の1人がノリで「自分が飼っている犬を池に飛び込ませたい」と申し出ました。通常であれば断られるはずですが、現場を取り仕切っていたウィルブラハム警察はなぜかこれを承認。衆人環視の中、犬が0℃近い池の中に入らされる事態となりました。
この出来事を後で知ったのが、イベントを企画している「Special Olympics Massachusetts」という親団体。「到底容認できる行為では無い」と怒り心頭の様子で、早速真相の究明に乗り出しました。ウィルブラハム警察は当初、Facebook上で「虐待や不当な扱いはなかった」と弁明していましたが、イベント主催者の不興を買ったことや、一般市民からの「動物虐待だ!」という非難もあり、先週の水曜日にはとうとうアカウントの削除に追い込まれています。 Source---Q13 FOX.com
2月18日
犬の嗅覚を生かした風変わりな仕事としては、「ガン探知犬」や「低血糖探知犬」などがありますが、アメリカでは「アレルゲン探知犬」が登場して話題を集めています。アレルゲンとは人にアレルギー症状を引き起こす原因物質のこと。様々な種類がありますが、特に食物として摂取した場合は、「アナフィラキシーショック」というメカニズムを通して命に関わることもあるため、大変危険とされています。
アメリカ疾病管理予防センター(CDCP)によると、米国における食物アレルギーを持つ人の割合は人口の約5.6%に達しており、特に子供世代における増加率が顕著とのこと。食物アレルギーを持つ親は、外出するたびにアレルゲンがないかどうかに常に気を配っていなければならないため、気が休まることがないといいます。
「アレルゲン探知犬」の利点は、危機意識の薄い乳幼児が偶発的にアレルゲンと接触する前に、犬が親にアラートを出すこと。結果として、子供の行動範囲が広がると同時に、親が日常的に抱えている不安が軽減されるといいます。アメリカ・アラバマ州オーバーン大学でイヌ科の探知能力を研究している科学者ポール・ワゴナー氏は、「(他の微量分子を検知できるのに)アレルゲンの場合はうまくいかないわけがない」と語り、アレルゲン探知犬が持つ可能性に期待を寄せています。一方、犬の訓練には数ヶ月の訓練と、訓練後の継続的な強化が必要となるため、「数週間で済むと言う人には気をつけたほうがいい」とも。 Source---The Wall Street Journal
2月16日
先週の土曜、アメリカ・アイオワ州で、入院中の飼い主に会うために家を抜け出し、病院に忍び込んだ犬の姿が防犯カメラで捕らえられました。この脱走劇を繰り広げたのは、「シッシィ」という名の10歳になるミニチュアシュナウザー。14日(土)、アイオワ州のシーダーラピッズにある自宅から抜け出し、約3.2km離れた場所にある「マーシーメディカルセンター」に姿を現しました。犬の姿を発見したセキュリティは、首輪に取り付けられていた迷子札から主人であるデール・フランク氏に連絡。どうやら、ガンの手術で入院中だった妻のナンシーさんに会いに来たらしいことが判明しました。なおシッシィは一度も病院に来たことがないため、一体どうやって居所を突き止めたかに関しては謎だといいます。 Source---KWWL.com
2月13日
顔写真を用いた実験により、犬は人間の顔半分を見ただけで、怒っているのか笑っているのかを見分けることができることが明らかとなりました。実験を行ったのは、オーストリア・ウィーンの獣医大学に所属する研究チーム。犬を2つのグループに分け、一方には人間の「笑った顔」に対して報酬を与え、他方には「怒った顔」に対して報酬を与えました。ただし犬に見せる顔写真は、どれも鼻の高さで真っ二つに切ったものです。分かった結果は以下。
犬の顔認知能力
- どちらのグループも、顔半分を見ただけで「笑」と「怒」を見分けることができる
- 顔の上半分でも下半分でも見分けは可能
- 写真を全くの別人の顔に変えても見分けることができる
- ただし、怒り顔グループの学習には、笑顔グループの3倍の時間がかかった
いずれにしても、犬がじっと飼い主の顔を見るのは、微妙な表情の変化を読み取ろうとしているからなのかもしれません。 Dogs Can Discriminate Emotional Expressions of Human Faces
2月9日
最新の3D復元技術を用いた結果、これまで犬のものと思われてきた太古のイヌ科動物の骨が、実はオオカミのものであったことが判明しました。新事実を公表したのは、アメリカ・ニューヨークのスキッドモア大学に務める生物学者、アビー・ドレイクさんのチーム。これまで犬のものであると考えられてきた、ベルギー・ゴイエット洞窟の骨(約31,680年前)と、ロシア・エリシーヴィチの骨(約13,905年前)を、最新の3D復元技術を用いて再調査したところ、それらは犬ではなく、むしろオオカミに近いという事実に突き当たったといいます。従来の判定法に比べて最新の測定法では、頭蓋骨が三次元的に再現されているため、96%の正確性で動物種を弁別できるようになったとのこと。
DNAを用いた調査により、犬とオオカミが分岐した時期は、7千~3万年前のどこかであると予測されています。こうした遺伝学からのアプローチと、今回用いられた形態学的なアプローチを組み合わせれば、オオカミがイヌになったより正確な時代を突き止めることができるかもしれません。ちなみに以下は、世界中で発見された「イヌ科動物」のものとされている骨のリストです。
イヌ科動物の骨が発見された代表的な遺跡
- シリア・ドゥアラ洞窟約3万5千年前
- シベリア・アルタイ山脈約3万3千年前
- ベルギー・ゴイェット洞穴約3万1700年前
- ウクライナ・メジン遺跡約3万年前
- チェコ・プレドモスティ約2万6千年前
- ロシア・ウラル山脈のアフォンドバ遺跡約2万年前
- アラスカ・ユーコン地方約2万年以上前
- ドイツ・ボンオーバーカッセル遺跡約1万4千年前
- イスラエルのアイン・マラッハ遺跡約1万2千年前
- イスラエルのハヨニム洞窟遺跡約1万2千年前
- イラク・パレガウラ洞窟遺跡約1万2千年前
- アメリカユタ州・デンジャー洞穴約1万1千年前
- アラスカ・フェアーバンクス約1万年前
- 中国・賈湖遺跡約7800~9000年前
- スウェーデン・スケイトホルム約7250~5700年
2月4日
福島第一原発事故で避難指示区域となった福島県大熊町で保護された犬「ふく」が、聴導犬としての訓練を終え、利用者の募集を開始しました。「ふく」は今年で3歳になるオス犬。2011年10月、原発事故で町民が避難した大熊町の山林にいるところを保護され、その後縁あって「聴導犬育成の会」に引き取られました。非常に人懐こい性格と音に動じない度胸を見込まれたふくは、聴導犬になるべく訓練を開始し、今年になってようやく一通りのカリキュラムを修了したといいます。
現在の体重は14kgで、聴導犬としてはやや大きいため、利用者は体力のある男性か若者が望ましいとのこと。利用者との合同訓練を行った後、認定試験を受けて、晴れて聴導犬デビューとなります。 Source---YOMIURI ONLINE
2月2日
徳島県は2日、県の動物愛護管理センターに収容された保護犬を、災害救助犬として訓練するプロジェクトを始めると発表しました。県によると、1匹当たり約30万円かかるとされる訓練費用は、全て企業などからの寄付金で賄う方針とのこと。すでに1社が60万円の寄付を申し出ているため、まずは2匹からのスタートとなりました。プロジェクトの流れは、いったん保護犬を一般の飼い主に譲渡した後、南海トラフ巨大地震といった大規模災害を想定し、県内で訓練するというものです。災害への対応と動物の殺処分減少を連動させるという狙いもあり、飯泉嘉門知事は「救助犬は多ければ多いほどいい。まずは2匹で成功事例を作っていきたい」と語っています。
なお、保護犬を災害救助犬にする試みは、広島県の民間団体「ピースワンコジャパン」が育成した「夢之丞」において先例がありますが、公共の機関としては全国初ということです。 Source---産経WEST