犬の尿崩症の病態と症状
犬の尿崩症とは、抗利尿ホルモンの異常によって引き起こされる病気のことです。
抗利尿ホルモン(こうりにょうほるもん, バソプレッシンとも)とは、脳内の視床下部(ししょうかぶ)という部位で生成され、脳下垂体(のうかすいたい)という部位を通して分泌されるホルモンの一種で、腎臓に作用することで尿量を調整する働きを持ちます。このホルモンが正常に働かなくなり、尿がとめどなく出るようになった状態が「尿崩症」です。
犬の尿崩症の症状としては以下のようなものが挙げられます。
抗利尿ホルモン(こうりにょうほるもん, バソプレッシンとも)とは、脳内の視床下部(ししょうかぶ)という部位で生成され、脳下垂体(のうかすいたい)という部位を通して分泌されるホルモンの一種で、腎臓に作用することで尿量を調整する働きを持ちます。このホルモンが正常に働かなくなり、尿がとめどなく出るようになった状態が「尿崩症」です。
犬の尿崩症の症状としては以下のようなものが挙げられます。
犬の尿崩症の主症状
- 水を果てしなく飲む(多飲) 与えても与えても際限なく水を飲み続けるようになります。この状態を多飲(たいん)といいますが、体重1キロあたり100ミリリットル以上の飲量が一つの目安と言えます。
- おしっこの回数と量が増える(多尿) 体重1キロあたり50ミリリットル以上の排尿が、多尿(たにょう)の目安とされます。
犬の尿崩症の原因
犬の尿崩症の原因としては、主に以下のようなものが考えられます。予防できそうなものは飼い主の側であらかじめ原因を取り除いておきましょう。
犬の尿崩症の主な原因
- 脳内の変性 抗利尿ホルモンの生成にかかわる視床下部や脳下垂体に炎症が起こったり、傷がついたり、腫瘍ができたりすると、ホルモンの調整がうまくいかず尿崩症を引き起こします。中枢神経である脳の異常に端を発していることから、「中枢性尿崩症」と呼ばれることもあります。
- 腎臓の異常 抗利尿ホルモンの量が適正でも、ホルモンが作用する腎臓の方に異常があると、やはり尿量の調整ができなくなります。腎臓の異常に端を発していることから、「腎性尿崩症」と呼ばれることもあります。原因として多いのは、腎盂腎炎、慢性腎不全、クッシング症候群、子宮蓄膿症、高カリウム血症、低カリウム血症などです。
- 薬の作用 ステロイド、利尿薬、抗けいれん薬などによって尿量の増加が引き起こされることがあります。薬が不調を引き起こすのは、主に腎臓の方です。
犬の尿崩症の治療
犬の尿崩症の治療法としては、主に以下のようなものがあります。
犬の尿崩症の主な治療法
- 基礎疾患の治療 別の疾病によって尿崩症が引き起こされている場合は、まずそれらの基礎疾患への治療が施されます。脳内の腫瘍など、外科的な治療が難しい場合は、人工の抗利尿ホルモンを投与しながらQOL(生活の質)を保つ保存療法が選択されることもあります。
- 投薬の中止 薬の副作用で尿量の増加が引き起こされている場合は、投薬の中止が検討されます。しかし、薬がターゲットとしていた本来の病気との兼ね合いが必要ですので、自己判断ではなく必ず獣医師の診断をあおぐようにします。
- 尿量と飲み水のモニタリング 水を自由に飲ませると胃が拡張して嘔吐などをきたすことがあります。だからといって飲み水に制限をかけると、おしっことして排出した水分を補いきれず、脱水症状に陥ります。飼い主はこの両側面に注意を払いながら、犬の飲み水をモニタリングする必要があるわけです。具体的には、犬が一回のおしっこでどの程度の水分を排出したかをよく観察し、同程度の水を与えるなどです。