犬の低血糖症の病態と症状
犬の低血糖症とは、血液中の糖分(グルコース)が少なくなることで細胞への栄養補給が不完全になった状態を言います。
血液中のグルコース濃度、すなわち「血糖値」(けっとうち)は、体内における複数の器官によって一定に保たれています。具体的には脳の視床下部(血糖値のモニター)、膵臓(グルカゴンの分泌)、肝臓(糖新生)、副腎(アドレナリンの分泌)などです。このうちのどれか一つに致命的な欠陥が生じると、濃度調整機能が破綻し、低血糖を招いてしまいます。また、たとえ血糖値をコントロールする能力は正常でも、グルコースの元となる食事の量が少なかったり、グルコースを消費する運動の量が多い場合にも発症します。
犬の低血糖症の症状としては以下のようなものが挙げられます。
血液中のグルコース濃度、すなわち「血糖値」(けっとうち)は、体内における複数の器官によって一定に保たれています。具体的には脳の視床下部(血糖値のモニター)、膵臓(グルカゴンの分泌)、肝臓(糖新生)、副腎(アドレナリンの分泌)などです。このうちのどれか一つに致命的な欠陥が生じると、濃度調整機能が破綻し、低血糖を招いてしまいます。また、たとえ血糖値をコントロールする能力は正常でも、グルコースの元となる食事の量が少なかったり、グルコースを消費する運動の量が多い場合にも発症します。
犬の低血糖症の症状としては以下のようなものが挙げられます。
犬の低血糖症の主症状
- ぐったりする
- けいれんを起こす
- 下半身が動かなくなる
- 意識を失う
- 失明(数日~恒久的)
犬の低血糖症の原因
犬の低血糖症の原因としては、主に以下のようなものが考えられます。予防できそうなものは飼い主の側であらかじめ原因を取り除いておきましょう。
犬の低血糖症の主な原因
- 子犬の場合 生後3ヶ月までの子犬が低血糖に陥った場合、体の冷え、空腹、内臓障害による栄養吸収の悪化などが原因として考えられます。性格的に神経質な犬がかかりやすいとも言われています。生後間もない子犬は肝臓における糖新生機能(足りないグルコースを補う)が弱いため、たった6~12時間程度の絶食でも、容易に低血糖を起こしてしまいますので要注意です。
- 成犬の場合 5歳以上の犬によく見られ、空腹、興奮、過度の運動などが原因になることが多いです。犬種ではアイリッシュセッター、ゴールデンレトリバー、ボクサー、スタンダードプードル、ジャーマンシェパードなどの大型犬に発症しやすいといわれています。
- 老犬の場合 7歳以降の老犬に低血糖が発生した場合、インスリンを生成している膵臓(すいぞう)の腫瘍が原因となることがあります。糖尿病とは逆で、インスリンの過剰生成が起こり、必要以上に血糖を細胞内に取り込んでしまうために起こります。また、血中にグルコースを放出する「糖新生」を担っている肝臓の障害でも発症します。
- 糖尿病を抱えた犬の場合 糖尿病を抱えており、インスリン療法を行っている犬が低血糖に陥った場合、注射量の間違いが原因として挙げられます。インスリンは血液中の糖分を細胞内に誘導しますが、その量が多すぎると血糖が不足してしまい、低血糖症を発症します。
犬の低血糖症の治療
犬の低血糖症の治療法としては、主に以下のようなものがあります。
犬の低血糖症の主な治療法
- 糖分補給
子犬の場合はブドウ糖溶液、成犬の場合は消化吸収されやすい食事を与えることで血糖値を正常に戻します。ただし、人間と同じようにチョコレートは絶対に与えないでください。
また意識を失っているような場合は、取り急ぎガムシロップを頬の内側に塗りつけ、すぐに獣医さんに相談します。誤飲が起こってしまいますので、一気に大量に流し込まないよう注意してください。 - 基礎疾患の治療 膵臓腫瘍、肝臓の障害など別の疾病によって低血糖症が引き起こされている場合は、まずそれらの基礎疾患への治療が施されます。ただし一般的に、膵臓の腫瘍は発見が難しいとされています。
- 再発予防 低血糖症を発症しやすい状況を極力作らないようにします。子犬であれば常に暖かくしておくとか、成犬であれば空腹時に運動をさせないなどの配慮が必要です。