トップ犬の食事ドッグフード成分・大辞典酸化防止剤トコフェロール(ビタミンE)

トコフェロール(ビタミンE)~意味や目的から安全性まで

 ドッグフードのラベルに記された「トコフェロール」(ビタミンE)。この成分の意味・目的から安全性までを詳しく解説します。何のために含まれ、犬の健康にどのような作用があるのでしょうか?
成分含有製品 ドッグフードにどのような成分が含まれているかを具体的に知りたい場合は「ドッグフード製品・大辞典」をご覧ください。原材料と添加物を一覧リスト化してまとめてあります。

トコフェロール(ビタミンE)とは何か?

 トコフェロール(tocopherol)とはビタミンEのことです。頭に「ミックス」が付いた場合は植物油脂から得られた「d-α-トコフェロール」「d-β-トコフェロール」「d-γ-トコフェロール」「d-δ-トコフェロール」を主成分としたものを指すのが一般的です。それぞれの化学構造式を以下に示します。 ミックストコフェロールの分子構造一覧図  成分の分類上は「酸化防止剤」に属し、食品が酸素と結合して品質が低下することを防ぐ作用を持っています。また特に「α-トコフェロール」は体内に入ってから過酸化脂質の生成を抑制する効果をもっています。
トコフェロールの安全性情報・概要
  • 厚生労働省=指定添加物
  • IARC=発がん性なし
  • EFSA=使用基準1日300mgまで
  • JECFA=使用基準0~2mg/体重1kg/日
  • ペットフード=ビタミンE摂取量に準じる

日本での安全性情報

 日本では厚生労働省によって「d-α-トコフェロール」が指定添加物(酸化防止剤)として認可されています。トコフェロールは必須栄養素であり、通常の食品から摂取する推定最大量から考えても過剰症を引き起こすことはないことから、一日摂取許容量(ADI)は特に設定されていません。

海外での安全性情報

 トコフェロールはIARC(国際がん研究機関)によって発がん性や遺伝毒性は確認されていません。JECFA(FAO/WHO合同食品添加物専門家会議)における一日摂取許容量(ADI)は体重1kg当たり0~2mg、EFSA(欧州食品安全機関)におけるビタミンEの成人の上限摂取量はトータルで1日300mgとされています。

ドッグフードに入れると危険?

 ドッグフードに含まれていても犬の健康に対して危険性はないと考えられています。ただし摂取量は「ビタミンE摂取量」に準じます。AAFCO(米国飼料検査官協会)の基準では、フード100kcal中の最低量が12.5IUです(※IU=国際単位)。
過剰に摂取すると血液凝固時間の増加、逆に欠乏すると不妊症、皮膚病、免疫力低下、食欲不振、ミオパチーなどが引き起こされると考えられています。