犬に必要なビタミン一覧

 AAFCO(米国飼料検査官協会)が2016年に公表した最新データに基づいた犬におけるビタミンの栄養摂取基準です。
 「最少栄養要求量」の上段はドッグフードの乾燥重量1kg中における含有量や含有率です。下段はドッグフード100kcal中における含有量を示しています。フード1g中に想定されているカロリー(熱量)は4kcalです。単位に「μg」や「IU」が含まれていますので「mg」と混同しないようご注意ください。「1mg=1,000μg」、「IU=International Unit(国際単位)」です。またカッコ内は、成長期や妊娠・授乳期にある犬を対象とした時の数値を示しています。
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ビタミンA

  • 機能ロドプシン・ヨドプシンの生成、上皮細胞の分化、精子の形成、免疫作用、骨の吸収
  • 最少栄養要求量~上限値✓5,000(5,000)IU~25万(25万)IU
    ✓125(125)IU~6,250(6,250)IU
  • 過剰症頸椎脊椎症、歯の欠落、成長の遅延、食欲不振、紅斑、長骨の骨折
  • 欠乏症食欲不振、成長不良、被毛の劣化、虚弱、眼球角化症、髄液の圧力増加、精子の形成不良

ビタミンD

  • 機能カルシウムとリンの恒常性の維持、骨の形成、骨の吸収、インスリン合成、免疫機能
  • 最少栄養要求量~上限値✓500(500)IU~3,000(3,000)IU
    ✓12.5(12.5)IU~75(75)IU
  • 過剰症高カルシウム血症、石灰沈着性、食欲不振、歩行障害
  • 欠乏症くる病、骨軟化症、骨粗しょう症、肋軟骨接合部の肥大

ビタミンE

  • 機能抗酸化作用、フリーラジカル除去
  • 最少栄養要求量✓500(500)IU~上限なし
    ✓1.25(1.25)IU
  • 過剰症血液凝固時間の増加
  • 欠乏症不妊症、皮膚病、免疫力低下、食欲不振、ミオパチー

ビタミンB1(チアミン)

  • 機能チアミンピロリン酸の構成成分、TCAサイクルでの脱炭酸酵素反応の補酵素
  • 最少栄養要求量✓2.25(2.25)mg
    ✓56(56)μg
  • 過剰症血圧の減少、徐脈、呼吸性の不整脈
  • 欠乏症食欲不振、運動機能障害、体重減少、多発性神経炎、心室の異常、不全麻痺、心臓の肥大、徐脈

ビタミンB2(リボフラビン)

  • 機能補酵素、酸化酵素や脱水素酵素の電子輸送
  • 最少栄養要求量✓5.2(5.2)mg
    ✓130(130)μg
  • 過剰症特になし
  • 欠乏症成長不良、運動機能障害、皮膚病、目の化膿性分泌物、嘔吐、結膜炎、昏睡、角膜血管新生、徐脈、脂肪肝

ビタミンB3(ナイアシン)

  • 機能補酵素、エネルギー産生における水素の供与と受容
  • 最少栄養要求量✓13.6(13.6)mg
    ✓340(340)μg
  • 過剰症血便、引きつけ
  • 欠乏症食欲不振、下痢、成長不良、軟口蓋潰瘍、舌の壊死、舌の発赤、舌の潰瘍、口角症、ヨダレを垂れ流す

ビタミンB6(ピリドキシン)

  • 機能神経炎立つ物質の合成、トリプトファンからのナイアシン合成、ヘム・タウリン・カルニチンの合成
  • 最少栄養要求量✓1.5(1.5)mg
    ✓38(38)μg
  • 過剰症食欲不振、運動障害
  • 欠乏症食欲不振、成長不良、体重減少、小赤血球低色素性貧血、痙攣、尿細管の萎縮、オキザロカルシウム結晶の生成

ビタミン12(コバラミン)

  • 機能プロピオン酸の代謝における補酵素、ロイシンの合成と分解
  • 最少栄養要求量✓28(28)μg
    ✓0.7(0.7)μg
  • 過剰症反射の変化
  • 欠乏症成長の停止、メチルマロン酸尿症、貧血

ビタミンC

  • 機能水酸化酵素反応の補因子、コラーゲンとカルニチンの合成、鉄の吸収促進、フリーラジカルの除去、抗酸化作用
  • 最少栄養要求量犬猫は体内で合成可能
  • 過剰症特になし
  • 欠乏症特になし

パントテン酸

  • 機能補酵素の前駆体、TCAカイロにおける脂質・炭水化物・タンパク質の代謝、コレステロールの合成、トリグリセリドの合成
  • 最少栄養要求量✓12(12)mg
    ✓300(300)μg
  • 過剰症特になし
  • 欠乏症体重減少、脂肪肝、成長不良、血清コレステロールと脂質の減少、昏睡

ビタミンM(葉酸)

  • 機能ホモシスチンからメチオニンの合成、プリン合成、DNA産生
  • 最少栄養要求量✓216(216)μg
    ✓5.4(5.4)μg
  • 過剰症特になし
  • 欠乏症食欲不振、体重減少、舌炎、白血球減少、低色素性貧血、血液凝固時間の増加、血清鉄の増加、巨赤芽球性貧血、腹腔内での硫酸塩の合成阻害、抗癌薬との拮抗作用

コリン

  • 機能膜に存在するホスファチジールコリンの構成成分、神経伝達性アセチルコリンの構成成分
  • 最少栄養要求量✓1,360(1,360)mg
    ✓34(34)mg
  • 過剰症特になし
  • 欠乏症脂肪肝、プロトロンビン時間の延長、胸腺の委縮、成長の遅延、食欲不振、肝小葉周辺の浸潤