緑茶抽出物とは何か?
緑茶抽出物とは多くの場合、水溶性の多価ポリフェノールであるカテキンを示しています。カテキンにはさらにエピガロカテキンガレート (epigallocatechin gallate:EGCG) 、エピカテキン (epicatechin) 、エピカテキンガレート (epicatechin gallate) 、カテキン (catechin) などが含まれます。
成分の分類上は「酸化防止剤」に属し、食品が酸素と結合して品質が低下することを防ぐ作用を持っています。
緑茶抽出物の安全性情報・概要
- 厚生労働省=既存添加物
- IARC=発がん性なし
- EFSA=使用基準800mg/人/日
- JECFA=使用基準未設定
- ペットフード=LD50はマウスで4,647mg/kg
日本での安全性情報
緑茶抽出物は日本では厚生労働省によって既存添加物(チャ抽出物)として認可されています。食品添加物リストによる定義は「ツバキ科チャの葉から作った茶を水やお湯に浸して抽出された成分」です。使用基準は特に設定されていません。
海外での安全性情報
緑茶抽出物はIARC(国際がん研究機関)によって発がん性は確認されていません。
JECFA(FAO/WHO合同食品添加物専門家会議)における一日摂取許容量(ADI)は未設定ですが、EFSA(欧州食品安全機関)ではカテキン800mg/日以上を摂取すると健康被害の懸念があるとしています。
なお人間の児童(平均11.1±0.5歳)を対象とした試験では、カテキン576mg/日を含む緑茶を24週間摂取させても、悪影響はみられなかったと報告されています。またラットを対象とした試験では、茶抽出物を1,000mg/kgの割合で6ヶ月間反復投与しても悪影響は見られなかったとのこと。マウスにおける半数致死量(LD50)は4,647mg/kgと推計されています。
JECFA(FAO/WHO合同食品添加物専門家会議)における一日摂取許容量(ADI)は未設定ですが、EFSA(欧州食品安全機関)ではカテキン800mg/日以上を摂取すると健康被害の懸念があるとしています。
なお人間の児童(平均11.1±0.5歳)を対象とした試験では、カテキン576mg/日を含む緑茶を24週間摂取させても、悪影響はみられなかったと報告されています。またラットを対象とした試験では、茶抽出物を1,000mg/kgの割合で6ヶ月間反復投与しても悪影響は見られなかったとのこと。マウスにおける半数致死量(LD50)は4,647mg/kgと推計されています。
ドッグフードに入れると危険?
日本人にとって馴染み深く日常的に口にする緑茶抽出物ですが、実は犬に対してはメリットとデメリットの両方が確認されています。
緑茶抽出物のメリット
変形性関節症を自然発症した犬に対し、3ヶ月にわたって クルクミノイド抽出物、水酸化コラーゲン、緑茶抽出物の混合成分を給餌しました。その結果、荷重不全、触診時の痛み、関節可動性に関しては格差が見られなかったものの、寝そべった状態から立ち上がる時の痛みの度合いが、飼い主の主観評価ベースで改善したと報告されています(:Comblain, 2017)。
また歯周病を発症した犬を対象とし、緑茶抽出物を0.8mg/mlの割合で含んだ特製ドッグフードを2ヶ月間にわたって給餌しました。その結果、口臭と歯垢の中に含まれる歯周病菌(Porphyromonas)の 割合が減ったと言います(:Isogai, 2009)。
さらに中国・安徽農業大学の調査チームは16頭(平均体重12.09kg)の犬たちをランダムで4頭ずつからなる4つのグループに分け、フード内容に「基準食」「高脂肪食」「ポリフェノールを体重1kg当たり250mg」「ポリフェノールを体重1kg当たり500mg」という違いを設けて12週間におよぶ給餌試験を行いました。その結果、ポリフェノール摂取グループでは腫瘍壊死因子α、インターロイキン-1β、インターロイキン-6のmRNA発現量が減少したといいます。またCOX-2(炎症反応に関わるプロスタグランジンの生成を促す)とiNOS(L-アルギニンから一酸化窒素を合成する酵素)遺伝子の発現量減少も確認されたとも。 こうしたデータから調査チームは、お茶由来のポリフェノールが犬の肥満を抑制すると同時に、肝臓内の炎症反応や脂肪の劣化を減少させる効果があるとの結論に至りました。なお当調査で用いられたポリフェノールの具体的な内訳は以下です。数値は1g中に含まれる成分の量を示しています(:Rahman, 2020)。
また歯周病を発症した犬を対象とし、緑茶抽出物を0.8mg/mlの割合で含んだ特製ドッグフードを2ヶ月間にわたって給餌しました。その結果、口臭と歯垢の中に含まれる歯周病菌(Porphyromonas)の 割合が減ったと言います(:Isogai, 2009)。
さらに中国・安徽農業大学の調査チームは16頭(平均体重12.09kg)の犬たちをランダムで4頭ずつからなる4つのグループに分け、フード内容に「基準食」「高脂肪食」「ポリフェノールを体重1kg当たり250mg」「ポリフェノールを体重1kg当たり500mg」という違いを設けて12週間におよぶ給餌試験を行いました。その結果、ポリフェノール摂取グループでは腫瘍壊死因子α、インターロイキン-1β、インターロイキン-6のmRNA発現量が減少したといいます。またCOX-2(炎症反応に関わるプロスタグランジンの生成を促す)とiNOS(L-アルギニンから一酸化窒素を合成する酵素)遺伝子の発現量減少も確認されたとも。 こうしたデータから調査チームは、お茶由来のポリフェノールが犬の肥満を抑制すると同時に、肝臓内の炎症反応や脂肪の劣化を減少させる効果があるとの結論に至りました。なお当調査で用いられたポリフェノールの具体的な内訳は以下です。数値は1g中に含まれる成分の量を示しています(:Rahman, 2020)。
お茶ポリフェノール(mg)
- 没食子酸=0.16
- ガロカテコール=0.32
- 没食子酸エピガロカテキン=13.21
- カテキン=0.54
- テトラヒドロフラン=0.74
- エピカテキン=4.51
- 没食子酸エピガロカテキン=42.4
- ガロカテキンガレート=1.12
- エピカテキンガレート=6.18
- カフェイン=1.26
緑茶抽出物のデメリット
未知のメカニズムにより、緑茶抽出成分が死亡を含む副作用をもたらし得る危険性が示されています。
空腹時の方がカテキンの生物学的利用能が高まるという知見をもとに、空腹状態の犬に対して様々な濃度(0, 200, 500, 1000 mg/kg/日)で緑茶抽出物を含んだカプセルを9ヶ月間に渡って与えるという安全性試験が行われました。ところが調査チームが全く予期していなかった副作用が現れ始め、開始から6ヶ月半の時点で早々に調査を切り上げるはめになったと言います(:Kapetanovic, 2009)。
具体的には肝細胞・消化管上皮細胞・ 腎臓の尿細管の壊死、生殖器の萎縮、造血組織の萎縮と壊死などが確認され、中には死亡する犬もいたといいます。抽出物に含まれていたポリフェノールカテキンが毒性を発揮したものと推測されていますが、確かなことはいまだにわかっていません。具体的には56~72%の割合で含まれていたエピガロカテキンガレート(EGCG)が怪しいのではないかと考えられています(:Wu, 2010)。
ちなみに奇妙なことに、緑茶抽出物による毒性は空腹時の犬にだけ現れる現象であり、満腹状態の犬では確認されていません。
空腹時の方がカテキンの生物学的利用能が高まるという知見をもとに、空腹状態の犬に対して様々な濃度(0, 200, 500, 1000 mg/kg/日)で緑茶抽出物を含んだカプセルを9ヶ月間に渡って与えるという安全性試験が行われました。ところが調査チームが全く予期していなかった副作用が現れ始め、開始から6ヶ月半の時点で早々に調査を切り上げるはめになったと言います(:Kapetanovic, 2009)。
具体的には肝細胞・消化管上皮細胞・ 腎臓の尿細管の壊死、生殖器の萎縮、造血組織の萎縮と壊死などが確認され、中には死亡する犬もいたといいます。抽出物に含まれていたポリフェノールカテキンが毒性を発揮したものと推測されていますが、確かなことはいまだにわかっていません。具体的には56~72%の割合で含まれていたエピガロカテキンガレート(EGCG)が怪しいのではないかと考えられています(:Wu, 2010)。
ちなみに奇妙なことに、緑茶抽出物による毒性は空腹時の犬にだけ現れる現象であり、満腹状態の犬では確認されていません。
緑茶抽出物が犬の内臓に対して毒性を発揮するメカニズムは解明されていません。心配な場合はこの成分を含んでいないフードを選んでください。また犬に緑茶を飲ませないよう気をつけてください。特に空腹時が要注意です。