トップ愛犬家の基本犬の殺処分の現状

犬の殺処分の現状~原因とゼロ達成のため私たちにできる対策

 毎年何万頭にも及ぶ犬や猫が殺処分(さつしょぶん)され続けています。ペットブームの裏側に潜(ひそ)む暗い話ですが、問題を解決へ導くためには、まずひとりひとりが現実を直視しなければならなりません(🔄最終更新日2024年2月)

犬の殺処分とは何か?

 犬の殺処分(さつしょぶん)とは、保健所や動物愛護センターに収容された犬の命を人間の意志によって断つことです。 犬の殺処分はガス室内への炭酸ガス注入という形で行われるのが主流  飼い主のいない野良犬や野犬の場合は「狂犬病予防法」の規定により行政機関が捕獲しなければなりません。また飼い主のいるペット犬の場合は「動物愛護法」の規定により、所有者から引き取りを求められたときは、これを引き取らなければなりません。
 このようにして行政機関に収容されている犬たちを、多額の税金を投入して生かし続けることは理想です。しかし現実世界ではそのような予算もないですし、「税金は人間の為に使え!」という納税者からの強い反発の声もあるため、上記したようなサンクチュアリは実現できていません。
 必然的にどこかの段階で口減らしをする必要がありますが、それが「殺処分」なのです。
NEXT:犬の年間殺処分数

2024年公開版・犬の年間殺処分数

 2024年初旬、日本国内における犬の殺処分件数統計が環境省によって公開されました。データの集計期間は2022年4月1日から2023年3月31日までで、西暦で言うと「2022年度」、元号で言うと「令和4年度」の統計データということになります。
 最新のデータによると、2022年4月~2023年3月の1年間で、1,985頭の成犬と、449頭の子犬が殺処分されました。この頭数を具体的に「見える化」したものは、「2022年度における犬の殺処分数(別ウィンドウ)に示しましたので、ぜひご覧ください。

都道府県別の殺処分数

 殺処分の件数データは、都道府県、指定都市、中核市において動物に関連した業務を行っている行政機関からの報告によって成り立っています。日本全国では129ヶ所あるため、具体的な件数を知りたい場合は、環境省が公開している「犬・猫の引取り状況(都道府県・指定都市・中核市別)(PDF)というデータシートをご覧ください。
 以下では、都道府県を地域レベルでまとめなおしたデータをインフォグラフ化してあります。地域によって殺処分頭数に大きな開きがあることがおわかりいただけるでしょう。四国(754頭)と九州(535頭)だけで、なんと日本全体の53%を占めていることが一目瞭然です。なお元データは2024年2月に公開された速報値ですので、今後微調整が加わる可能性があります。
地域別に集計した犬殺処分数一覧・2022年度版
2022年度における地域別の犬殺処分数一覧インフォグラフ
  • 北海道【殺処分数合計】=7頭
    【そのうち子犬】=0頭(0%)
  • 東北【殺処分数合計】=168頭
    【そのうち子犬】=10頭(6.0%)
  • 北陸【殺処分数合計】=18頭
    【そのうち子犬】=4頭(22.2%)
  • 関東【殺処分数合計】=301頭
    【そのうち子犬】=53頭(17.6%)
  • 中部【殺処分数合計】=219頭
    【そのうち子犬】=5頭(2.3%)
  • 関西【殺処分数合計】=275頭
    【そのうち子犬】=34頭(12.4%)
  • 中国【殺処分数合計】=138頭
    【そのうち子犬】=52頭(37.7%)
  • 四国【殺処分数合計】=754頭
    【そのうち子犬】=201頭(26.7%)
  • 九州【殺処分数合計】=535頭
    【そのうち子犬】=84頭(15.7%)
  • 沖縄【殺処分数合計】=19頭
    【そのうち子犬】=6頭(31.6%)

殺処分の多い県・ワーストランキング

 都道府県によって大きな開きがある殺処分件数。具体的にどの県が多いのでしょうか?2022年4月1日から2023年3月31日までの集計データを元に見てみましょう。

引き取り数が多い県

 「引き取り数」とは行政機関に収容された犬の合計数です。飼い主のいる犬、いない犬、成犬、子犬のすべてが含まれています。おおむね減少傾向にありますが唯一、茨城県だけが前年度より6%ほど増加しています。
引き取り数ワーストランキング
  • 広島県(県+福山+呉+広島市)=1,547頭
  • 香川県(県+高松市)=1,207頭
  • 愛知県(県+名古屋+豊田+豊橋+岡崎+一宮市)=1,181頭
  • 茨城県(県+水戸市)=1,139頭
  • 山口県(県+下関市)=1,137頭

殺処分数が多い県

 「殺処分数」とは行政機関によって人為的に命を絶たれたり事故や病気で命を落とした犬の数です。前年度は香川県が「殺処分ワースト1」からようやく抜け出しましたが、今年度は再び不名誉な1位を獲得しました。四国に属する香川県(320頭)、徳島県(248頭)、愛媛県(178頭)の3県だけで日本全国における殺処分数の30.6%を占めるという異常事態は続いています。
殺処分数ワーストランキング
  • 香川県(県+高松市)=320頭
  • 徳島県=248頭
  • 長崎県(県+長崎+佐世保市)=217頭
  • 愛媛県(県+松山市)=178頭
  • 愛知県(県+名古屋+豊田+豊橋+岡崎+一宮市)=169頭

殺処分率が高い県

 「殺処分率」とは収容した犬たちのうち、殺処分という憂き目に遭った犬たちの比率のことです。この率が高いということは、元の飼い主に対する返還や新しい飼い主に対する譲渡がうまくいっていないことを意味しています。50%を超える都道府県がようやくなくなり、すべて35%未満に収まりました。
殺処分率ワーストランキング
  • 愛媛県(県+松山市)=34.8%
  • 長崎県(県+長崎+佐世保市)=34.5%
  • 秋田県(県+秋田市)=33.7%
  • 徳島県=32.6%
  • 兵庫県(県+神戸+姫路+西宮+尼崎+明石市)=31%

殺処分数の推移

 全国の合計数で見ると殺処分件数は年々減少傾向にあります。例えば以下は過去10年間における犬の「引き取り数」「殺処分数」「譲渡・返還数」の推移を表したグラフです。
過去10年間の殺処分推移
日本国内における過去10年間の犬の引き取り数、譲渡返還数、殺処分数の推移(2013年~2022年)
  • 引き取り数2013年・60,811頭→2022年・22,392頭
  • 譲渡・返還数2013年・32,092頭→2022年・19,658頭
  • 殺処分数2013年・28,570頭→2022年・2,434頭
  • 殺処分率2013年・47.0%→2022年・10.9%
NEXT:殺処分数減少の背景

殺処分数減少の背景

 2013年には60,811頭だった引き取り頭数が、2022年には22,392頭にまで減っています。また2013年には28,570頭だった殺処分数が、2022年には2,434頭にまで減っています。こうした減少の背景には何があるのでしょうか?

引き取りの拒否

 行政機関に対して犬の引き取り依頼があったとき、断ってもよいという新たなルールが定められました。このルールによって殺処分数が減ったという側面があります。
 2012年に改正された「動物愛護法(35条1項)により、保健所や動物愛護センターは犬の販売業者(ブリーダーやペットショップ)や民間人から引き取り要請があっても、場合によっては断ることができるようになりました。また「動物愛護法施行規則(21条2項)により、拒否できるときの事由が明記されました。具体的には以下です。
引き取り拒否事由
  • 販売業者から引き取りを求められた
  • 引き取りを繰り返し求められた
  • 繁殖制限措置に関する都道府県等からの指示に従っていない
  • 老齢や疾病を理由として引き取りを求められた
  • 飼養が困難であると認められない
  • 譲渡先を見つけるための取組を事前に行っていない
 上記したような拒否事由が具体的に明記されたことにより、悪質な繁殖業者が年老いた繁殖犬や疾患を抱えた子犬を行政機関に丸投げすることができなくなりました。また一般市民の引取依頼も断られるケースが増えました。この変化が殺処分数の減少に一役買ったと考えられます。

民間ボランティアの助力

 本来行政機関が行うべき犬の保管、飼養、譲渡業務を民間のボランティア団体に委託することにより殺処分数の減少が実現しています。
 民間の動物愛護団体に引き出された割合は全国平均で犬が46.5%、猫が43.8%。団体譲渡を行う90自治体と行わない25自治体では、殺処分率に10~17%の格差が出ることが確認されています(2018年度)
 殺処分数減少の背景にあるのは、縁の下の力持ちとでも言うべき民間ボランティアの存在です。

数字のからくり

 「殺処分」という言葉の定義を行政機関が勝手に書き換えることによって数字上は殺処分が減ったように見えることがあります。
 例えば2018年度から殺処分に3つの区分が設けられ、各自治体は定義に沿って分類するよう義務付けられました。環境省がおおまかなガイドラインを示しているものの、最終的な判断は現場に任されているため、自治体によって命の線引きが異なるという事も起こりえます。具体的には以下の3区分です。 動物愛護管理行政事務提要の「殺処分数」の分類
殺処分の区分法
  • 譲渡が適切ではない獣医師が動物愛護管理法の趣旨に照らして譲渡することが適切ではないと判断したときに行われる殺処分です。具体的には以下。
    治癒の見込みが無い怪我や重度の認知症 | 動物衛生又は公衆衛生上問題となる感染症等に罹患(パルボウイルス感染症・狂犬病 etc) | 重篤な病気に罹患(毛包虫症による皮膚炎等難治性の重篤な疾病や著しい奇形 etc) | 人や他の動物に危害を及ぼす恐れが高い(飼い主等を再々咬んだ履歴を持つ etc) | 闘犬として使用又は訓練された犬(土佐犬 etc)
  • 家庭で飼養できる愛玩動物や伴侶動物として一般家庭に譲渡できるにも関わらず行われる殺処分です。具体的には以下。
    適切な譲渡先が見つからない(軽度の疾病・怪我・先天性疾患、高齢、人に馴染まない etc) | 収容スペースが足りない(施設の大きさや犬の大きさ) | つきっきりの世話ができない(幼齢や病気 etc)
  • 引取り後の死亡人為的な操作以外で収容動物が命を落としたときの区分です。厳密な意味で殺処分ではありません。具体的には以下。
    病気 | 老衰 | 事故 | 闘争 | 幼齢 | 輸送
NEXT:殺処分の方法は?

犬の殺処分はどのように行われるのか?

炭酸ガスによる窒息死です。

 都道府県によってまちまちですが、専用機械の中に捨て犬や捨て猫を入れ、炭酸ガスによって5~20分かけて窒息死させます。収容・保護された犬の9割は、炭酸ガスによって窒息死させられている。一昔前はバットによる撲殺(ぼくさつ=脳天をバットで叩き割ること)、また劇薬(げきやく=硝酸ストリキニーネ)を用いた毒殺が主流でした。しかし現在はコストや職員の安全性を考慮し、ほとんどの自治体において炭酸ガスによる窒息死(ちっそくし)が採用されています。
 捨て犬や捨て猫を窒息死させる装置や設備は通称「ドリームボックス」などと呼称されています。これは「眠るように安らかに旅立てる」という意味合いのようですが、あたかも炭酸ガスを吸っている動物が全く苦しんでいないかのような誤解を生んでしまう、危険な表現と言えます。
殺処分と安楽死の違いは?  環境省が公開している「犬・猫の引取り等の業務(別ウィンドウ・PDF)の中には、各都道府県における殺処分の方法が記載されています。「致死方法」という項目を見ると、「炭酸ガス」や「ペントバルビタール」という文字が目に入ってきますが、前者を一般的に苦痛を伴う「殺処分」、後者を苦痛が比較的少ない「安楽死」と呼びます。年々麻酔薬剤注射へシフトしている自治体が増えているようですが、依然としてやり方の主流は炭酸ガスです。
 以下でご紹介するのは愛媛県動物愛護センターにおける犬猫殺処分業務の動画です。愛媛県では「センターがやっていることを隠すから現実が伝わらない。隠さなければ県民が現実を知り、変わってくれるはず」という信念の元、情報公開を徹底しています(📖:今西乃子著「犬たちをおくる日」)
【閲覧注意】犬の殺処分動画
 ここでご紹介(しょうかい)する映像(えいぞう)の中には残酷(ざんこく)なシーンが含まれています。現実(げんじつ)を直視(ちょくし)する覚悟(かくご)を決めた人だけご覧下さい。
殺処分の現実(前半)→こちら 殺処分の現実(後半)→こちら 行政機関における犬猫の炭酸ガス殺処分機械は、ときとして「ドリームボックス」と呼ばれている
NEXT:殺処分の理由は?

犬の殺処分はなぜ行われるのか?

犬を捨てる飼い主や、迷子にしたまま探そうとしない飼い主がいるからです。

 環境省が発表した最新の統計データ「犬・猫の引取り及び負傷動物の収容状況(2022年度)を調べると、迷子になった末殺処分される犬のほか、飼い主が行政機関に持ち込むことによって殺処分される犬が、かなりの数に上ることがわかります。
 まず2022年度(令和4年度)、行政に引き取られた犬がどのような運命をたどったかを見てみましょう。 2022年度(令和4年度)における引き取り犬の運命内訳
  • 殺処分「殺処分」(さつしょぶん)とは文字通り炭酸ガスなどで人為的に犬を殺すことで、2,434頭(11%)です。
  • 譲渡「譲渡」(じょうと)とは新しい飼い主に引き取られることで、11,711頭(53%)です。
  • 返還「返還」(へんかん)とは迷子犬が飼い主の元へ戻ることで7,947頭(36%)です。
 このように2022年度の1年間で2,434頭の犬が殺処分されたことがわかります。

飼育放棄された犬の殺処分

 殺処分される犬の中には、飼い主がペットとして飼っていた犬を動物愛護センターや保健所に飼育放棄したものが含まれています。では全体のうち「飼い主の飼育放棄」が原因の殺処分は一体どのくらいの割合を占めるのでしょうか?同じく環境省が発表した「犬・猫の引取り及び負傷動物の収容状況」を見てみると、以下のようなデータを拾うことができます。 飼い主からの引取り犬数と所有者不明の引き取り犬数の割合グラフ2022年度(令和4年度)
 2022年度(令和4年度)に引き取られた犬22,392頭のうち、2,392頭が飼い主からの引き取り、すなわち「飼育放棄」による引取りと言うことになります。これは全体の10.7%に相当する数字です。
 この10.7%という持ち込みの割合を、先ほど見た同年度の殺処分数2,434頭に当てはめて単純計算してみましょう。すると、飼い主の飼育放棄による殺処分数が260頭ということになります。この数字は必ずしも正確ではありませんが、飼い主の無責任さが原因で殺された犬の数が概数で260頭に達するということはイメージできるでしょう。  冒頭で「犬の殺処分はなぜ行われるのか?」という問いに対し、「犬を捨てる飼い主がいるから」と答えました。上で示したように具体的な数字と共に考察していくと、やはりそう言わざるを得ない現状が見えてきます。ではどうして飼い主たちは、家族の一員であるはずの犬をいとも簡単に捨ててしまうのでしょうか?
飼い主が犬を捨てる理由
  • 引越し先がペット禁止なので
  • 犬が大きくなって可愛くなくなったから
  • 予定外の出産で、たくさん子犬が産まれてしまったから
  • 面白半分で繁殖したけど、子犬のもらい手がいないから
  • 言うことを聞かず、うるさいだけだから
  • 経済的に余裕がないから
  • 老犬の介護がしんどくて
  • ブリーダーをやめたので、犬たちが用済みになったから
  • 夏休みで長期の旅行に行くから
  • 思っていたより臭いから
  • 飼い主が他界して面倒を見る人がいないから
などがよくある理由ですが、どの理由をとっても、飼い主の側に知識や予測さえあれば防げるものばかりです。つまり犬や猫を捨てることに元来理由などなく、捨て犬・捨て猫とは飼い主の無責任と無知の代償を、犬や猫に押し付ける行為なのです。
 特に高齢者の健康問題に伴う飼育放棄、不妊手術を怠った飼い主による多頭飼育崩壊、そしてブリーダーや引き取り屋の廃業に伴う一斉放棄は、もはや社会問題化していると言っても過言ではありません。こうした行為が殺処分数を増やしています。

野良犬や野犬の殺処分

 保健所や動物愛護センターに収容される犬のうち、およそ9割は所有者不明の犬です。この中には人間に餌をもらうなどしている「野良犬」や、人間とは全く接点を持たず森や林の中で生きている「野犬」などが含まれます。
 例えば以下は殺処分数の中において幼齢個体、すなわち離乳も終わっていないものも含めた1歳未満の子犬が占める割合の一覧グラフです。青い棒グラフが殺処分の総数、赤い文字が子犬の占める割合です。中国(37.7%)、四国(26.7%)、沖縄(31.6%)が他の地域に比べて異常に高い値を示していることがわかります。 犬の殺処分数の中に占める子犬(離乳前の幼齢個体)の割合一覧グラフ(2022年度)  こうしたデータが示しているのは、飼育者のいない野良犬や野犬が屋外で繁殖を繰り返し、産まれたばかりの子犬もろとも捕獲されて殺処分されているという流れです。さらにこうした犬たちがどこから来たのかをたどっていくと、飼い主が首輪を外して屋外に遺棄(※飼育放棄とは違う犯罪行為)した犬、迷子になったまま家に戻れなかった犬、猟期の終了とともに山の中に置き去りにされた猟犬など、人間が関わっていることも少なくありません。
 野犬の問題は特に、日本全国の殺処分数の大部分を占める四国と九州地方において早急に解決しなければならない優先事項です。

迷子犬の殺処分

 殺処分される犬の中には、迷子犬として収容された後、飼い主が見つからないまま収容期間が過ぎてしまったものも含まれています。
 例えば以下は、地域別に見た返還数の比較グラフです。飼い主に「返還」されたということは、そもそも迷子犬として保護されたことを意味しています。 地域別に見た迷子犬の返還数一覧グラフ(2022年度)  日本全国で8,000頭近いこれらの数字はあくまでも、「飼い主が無事に見つかって家に帰れた犬の数」です。迷子犬の中には残念ながら、飼い主が見つからないまま殺処分されてしまうものが多数います。TwitterなどのSNSでよく見かけるのが、リードやハーネスをつけたまま路上をうろついている犬の画像です。  多くの場合、外飼いされている犬の係留チェーンが破損し、そのまま迷子になっているものと推測されます。外飼いにはさまざまなデメリットがあるため室内飼いを徹底し、また万が一迷子になってしまったときは早急に探すのが飼い主の義務です。しかしどういうわけか最寄りの警察にも保健所にも迷子の届け出をしない飼い主がいるようです。こうした一部の無責任な人間が殺処分数を増やしています。
NEXT:殺処分の場所は?

犬の殺処分はどこで行われるのか?

各都道府県の動物愛護センター、及び保健所です。

語感とは裏腹に、動物愛護センターでは動物を処分することが主要な仕事になっています。  「動物愛護センター」と聞くと、捨てられた犬や猫を保護して愛護してくれる施設だと思いがちです。しかし実際は動物愛護センターとは一定期間捨て犬や捨て猫を保護した後、殺処分する施設という側面を持っているのが現実です。
 保護された犬や猫は、原則として3日以内に飼い主から返還要求が出されない限り殺処分されます。具体的な猶予日数は自治体によってまちまちですが、「犬の引取り等の業務(令和2年版)」内の「保管期間」という項目を見れば分かります。捨て犬や捨て猫を殺すための設備、死体を焼却するための燃料費、及び殺処分に要する人件費は全て税金でまかなわれます。私たちが一生懸命働いて稼いだお金が、一部の自己中心的な飼い主のために浪費されているとのが現状です。
🐕シューという不快な音がすると、犬たちの目玉は大きくひんむかれ、苦しげに口を開け閉めし始める。犬たちが一斉にあばれ出したとたん、白い犬はどうと横倒しになり、玲の視界からけし飛んだ。
🐈殺処分するとき。通常は一匹ずつ猫室から手でつまみ出し、鉄カゴに移し替えている。収容数が多いときは一匹ずつ移し替える作業が面倒だ、との理由でそのまま鉄カゴに入れっぱなし。殺処分の開始と同時に処分機の中へ運び入れてしまう。 犬房女子(大月書店)
NEXT:殺処分の減らし方

犬の殺処分はどうしたら減らせるのか?

一人ひとりが意識を持つことです。

 犬猫殺処分数の約1割を占める飼育放棄に関しては、一人ひとりの自覚を高めることで、今すぐにでも減らすことができるはずです。また迷子予防や繁殖制限など、飼い主の側でできる実際的かつ効果的な方法はたくさんあります。具体的には以下のような対策です。
殺処分減少の対策・目次

まずは現実を知ること

 毛皮産業の実態を知ることで毛皮に対する見方が変わるのと同じように、殺処分の実態を知ることで「ペットを飼う」ということに対する見方が変わるはずです。まずは目をそむけず、殺される動物たちの現実を知ることが最初のステップになります。
🔔今すぐできる対策

命あるものを衝動買いしない

犬や猫は衝動買いの対象になるような”物”じゃない  平成20年6月に公正取引委員会事務総局が公表した「ペット(犬・猫)の取引における表示に関する実態調査報告書」によると、ペットと出会って24時間の内に衝動的に購入してしまう人の割合は、およそ13.5%と推計されています。しかし、こういう衝動買いをした人の一部には、「鳴き声がうるさくて…」とか「うんちをトイレにしてくれない…」とか「赤ちゃんが生まれたので…」など、言い訳にもならないようなことを理由にして、飼育放棄してしまう人がいます。
 飼う際に必要な様々な条件、飼育費用、犬の問題行動、老化などの現実的な負担を、たった1日で全てシミュレーションしきることなどできません。自分がペットを飼うにしても、友人知人が飼うにしても、まずは条件が整うまで飼わないという自制心が重要です。
🔔今すぐできる対策

ペット流通業に加担しない

 犬を野菜か何かのように売りさばくペットの流通システム自体が、殺処分の裏に隠れた「流通死」の原因になっています。
 2019年11月に発売された『「奴隷」になった犬、そして猫(📖:朝日新聞社)の中では、繁殖から小売に至るまでの間に命を落とす犬の総数が試算されています。元データとなったのは、2013年9月に施行された改正動物愛護法により、ペット関連業者に提出が義務付けられた「犬猫等販売業者定期報告届出書」。この届出書の内容を年度ごとに独自集計したところ、以下のような実態が明らかになったと言います。
犬の流通死数と殺処分数の比較
繁殖から小売までの間に死ぬ犬の流通死数・年次統計
  • 2014年度=18,517頭
  • 2015年度=19,866頭
  • 2016年度=18,687頭
  • 2017年度=18,792頭
 「犬猫等販売業者定期報告届出書」に死因については報告義務がないため、2万頭弱の犬たちが一体どのような理由で死に至ったのかはわかりません。しかし書籍内で推計されている死亡数の多さは、同年度の殺処分数と比べても到底無視できるものではないでしょう。殺処分数が年々減っているのに対し、流通死数は2015年度からは殺処分数を上回り、2017年度では2倍以上という恐ろしい数字になっています。
 こうした死亡数を押し上げている原因は、オークションを経由して、まるで野菜のように次から次へとペットショップに子犬を送り出している日本のペット産業です。ショーケースの中で無邪気に戯れる子犬の背後では、少なからぬ犠牲が払われているという事実は知っておかなければなりません。知っていれば、安易なペット購入に歯止めがかかり、結果として流通死する犬たちの数を減らすことができます。
🔔今すぐできる対策

迎え入れるなら保護施設から

 ペットを飼いたいと思ったとき、まず真っ先に「ペットショップ」が思い浮かんでしまうのが現状だと思います。ショップの代わりに「動物愛護センター」や「保健所」が真っ先に来るようにしなければ殺処分数はなかなか減らないでしょう。
ドイツ・ベルリンにある犬猫の終生保護施設「ティアハイム」(tierheim)  「ドイツの犬はなぜ吠えない」(📖:平凡社新書)によると、ドイツの「西ドイツ放送協会」では、犬の里親を探すテレビ番組があり、ドイツ全国に推定500~700あるといわれるティアハイム(tierheim直訳すれば動物の家)では、保護された犬が終生飼養され、随時里親を受付中だといいます。そして国民の多くも、当たり前のようにこうした保護施設に真っ先に足を運び、当たり前のように寄付をするというスタイルができあがっているそうです。
 日本の動物愛護センターも、独自のホームページを開設したり動物愛護週間(9月20日~26日)などを設けて告知に努めていますが、まだまだ認知度が足りません。2023年度の「全国犬猫飼育実態調査」によると、保護施設やシェルターの存在を知らない人の割合に関し、犬だけを飼っている人では51.7%に達すると推計されています。要するに過半数近い人たちがそもそも施設の存在を知らないということです。
 犬や猫を飼いたいと思ったら、まずは保護施設から引き取るという選択肢を思い浮かべ、またこれからペットを飼おうとしている友人知人にも、こうした施設の存在を告知してあげることが、殺処分数を減らすことにつながるでしょう。
🔔今すぐできる対策

飼ったら迷子にしない

 返還数データから察するに、毎年全国では少なくとも8千頭近い犬たちが迷子犬として保護されています。犬が迷子になる理由としては、雷や花火に驚いて逃げ出した、散歩や旅行先でいなくなった、ドアや門の隙間から逃げ出したなどのほか、放し飼いにしていたらいなくなった、という悪質なものもあります。
 まずは迷子にしないことが重要ですが、万が一犬が迷子になったときに備え、迷子札やマイクロチップなどを装着しておくことも同じくらい重要です。迷子で収容された犬の多くは、収容期間内に飼い主と再会することができません。こうした迷子犬の数を減らすことが、殺処分数を減らすことにつながるでしょう。 犬と猫の迷子予防のための迷子札やマイクロチップ
🔔今すぐできる対策

飼ったら捨てない

 一度飼うことを決めた犬猫を捨ててしまうには、幾つかの理由があると思われます。迎え入れる前のシミュレーション不足、飽き、犬の問題行動、うまくいかないしつけから感じられる自分自身の無力感、費用、介護、犬アレルギーなど色々です。また近年は高齢者による飼育放棄が増加し、東京都福祉保健局が急遽「ペットと暮らすシニア世代の方へ」というパンフレットを作成・公開するという事態にまで発展しています。詳しくは「東京都が高齢者によるペット飼育放棄に歯止め」というページにまとめてありますのでご参照ください。
 欲しいときに欲しい情報がすぐに手に入るという状況が、飼育放棄に歯止めを掛けてくれるのなら、以下のページがいくらか役に立つでしょう。
🔔今すぐできる対策

安易に増やさない

 犬の殺処分を減らすためには、そもそも飼育される見込みのない子犬や子猫を増やさないことが重要です。
飼い主による飼育放棄数の内、約7%は子犬が占めている  環境省が公開している最新の統計データ「犬・猫の引取り及び負傷動物の収容状況によると、2022年度における犬の飼育放棄数(飼い主からの引き取り数)は、全国合計で2,576頭となっています。そしてその内の7.1%に相当する184頭までもが離乳前~1歳未満の子犬だといいます。各自治体が譲渡会などで里親を探してはいるものの、こうした子犬の全てに貰い手がつくはずもなく、多くが殺処分という憂き目に遭うのが現状です。
 行政に引き取られる子犬の数を減らし、殺処分に歯止めを掛けるためには、まず飼い犬に不妊手術を施しておくことが重要です。これだけで確実に不測の妊娠を予防することができます。またバックヤードブリーダーに対し法律による規制をかけることも重要でしょう。「バックヤードブリーダー」とは、生まれてくる全ての子犬や子猫の飼育を保証できないにもかかわらず、暇つぶしや興味本位で繁殖に手を染める人のことです。
 日本各地で散発している「多頭飼育崩壊」を防ぐためには、国家レベルの法律(動物愛護法)や都道府県レベルの動物愛護条例でルールを定め、無責任な素人繁殖家に介入できる法的な後押しがなければなりません。
🔔今すぐできる対策

ボランティア・寄付をする

 「ボランティア」という形で労働力を提供したり、「寄付」という形で金銭や物品を提供することで、犬や猫の殺処分数を減らすことができます。
 近年は「認定NPO法人制度」や「ふるさと納税制度」といった新しいシステムが誕生したことにより、犬や猫の保護活動を行っている団体に寄付をすることで、自分自身の節税にもなるという新たな流れができあがりました。ボランティアという形で保護活動の前線に行くことも、寄付という形で後方支援することも、犬や猫の殺処分低下のためには重要な要素です。詳細は姉妹サイト「子猫のへや」内にある以下のページにまとめてありますのでご参照ください。
🔔今すぐできる対策
NEXT:殺処分の現状と今後

犬の殺処分の現状と今後

 環境省が公開している最新の統計データ「犬・猫の引取り及び負傷動物の収容状況」内の引き取り数、殺処分数、譲渡数データを見てみると、少しずつではありますが、殺処分数が減って譲渡+返還数が増えつつあることを確認できます。
犬の殺処分数と譲渡数
犬の引き取り数・譲渡数・殺処分数の年次推移  今後この殺処分数をさらに減らし、限りなくゼロに近づけるため、環境省では「人と動物が幸せに暮らす社会の実現プロジェクト」というサイトを立ち上げ、地方における取り組みを随時紹介するようになりました。私たちも、一人ひとりが「ノーキル」(No-Kill)という目標に向かい、以下に挙げるような問題に取り組んでいくことが重要となってくるでしょう。
殺処分に関連する問題点
NEXT:殺処分関連本

動物愛護関連本

 以下でご紹介するのは、動物愛護や殺処分に関連した本です。内容や読みやすさによって「小学生以上向け」、「中学生以上向け」、「高校生以上向け」の3つに分けてあります。実際に読んでみたい本がある場合は「購入」という欄にあるリンクをクリックしてください。
動物愛護関連本・目次

小学生以上向け

 以下でご紹介するのは小学生向けの本です。文字量が少なく短時間で読了できるものを選びました。

子犬工場

子犬工場・サムネイル画像 しないほうがいいことを全てやってきたと告白する著者が、反省の意を込めて送るメッセージは「買わないことで救える命がある」~悪徳繁殖業者、犬をモノとして扱うペットショップ、自分勝手な理由で犬を飼育放棄する飼い主など、現代のペット業界にある暗部を平易な文章で描写していく。ペットショップにいく前に、子供も大人も読んでほしい。
📖 書籍情報

●大岳美帆/WAVE出版
●読了時間=30~40分
●対象年齢=小学高学年以上
●価格=1,512円
●購入=Amazon楽天

ある犬のおはなし

ある犬のおはなし・サムネイル画像 飼い主に捨てられた1頭の犬の目から、殺処分の現実を見つめる。冷たい金属ボックスの中に、少しずつ炭酸ガスが注入されていく様子は、決して「安楽死」などではない。絵本風のストーリーテリングから、悲しい運命にある犬たちのメッセージが伝わってくる一冊。
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●kaisei/トゥーヴァージンズ
●読了時間=5~10分
●対象年齢=小学生以上
●価格=1,080円
●購入=Amazon楽天

”いのち”のすくいかた

”いのち”のすくいかた・サムネイル画像 第一章は、身勝手な飼い主の都合で保護施設に捨てられた犬や猫の表情を、鉄格子越しに撮影したフォトストーリー。第二章は、捨て犬「クウちゃん」が、施設から里親さんの家庭に引き取られるまでの流れを、写真とともに追う。主人公であるクウちゃんの傍らには、身ごもった末に捨てられた母犬の姿や、噛み癖や体の大きさを理由に飼育放棄された犬たちの姿も。
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●児玉小枝/集英社みらい文庫
●読了時間=10~20分
●対象年齢=小学生以上
●価格=670円
●購入=Amazon楽天

100グラムのいのち

100グラムのいのち・サムネイル画像 100グラムにも満たないはかなげな命でも、人間が手を差し伸べることでかけがえのない大きな存在になる~保護団体「ランコントレ・ミグノン」と預かりボランティアさんの家からは、様々なハンデやトラウマを抱えた犬や猫たちが、新たな里親のもとへと巣立っていった。東京や被災地で保護した動物たちを新たな家庭に譲渡するまでの奮闘記を、表情豊かな写真とともに描く。
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●太田京子/岩崎書店
●読了時間=1時間前後
●対象年齢=小学高学年以上
●価格=1,404円
●購入=Amazon楽天

中学生以上向け

 以下でご紹介するのは中学生向けの本です。犬や猫たちが人為的に殺されているという現実をオブラートで包まず、厳然たる事実として述べた内容になっています。

ゼロ!熊本市動物愛護センター10年の闘い

ゼロ!熊本市動物愛護センター10年の闘い・サムネイル画像 熊本市動物愛護センターでは、毎週火曜と金曜が殺処分の日だった~「仕事だから」では割り切れない怒りと悲しみを原動力に、多くの人が鼻で笑う「殺処分ゼロ」を実現するための10年に渡る挑戦が始まった。通称「熊本方式」が生まれるまでの紆余曲折をリアルタッチで描く。
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●片野ゆか/集英社
●読了時間=2時間前後
●対象年齢=中学生以上
●価格=734円(電子版あり)
●購入=Amazon楽天

ペット殺処分

・サムネイル画像 二酸化炭素を注入して犬たちを緩やかに窒息死させる殺処分装置「ドリームボックス」。ここに入れられた犬たちは、果たして本当に「ドリーム」を見ているのだろうか?「犬を殺すのは誰か」の著者が動物愛護センター職員の苦悩を追う物語風ノンフィクション。
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●小林照幸/河出書房新社
●読了時間=1~2時間
●対象年齢=中学生以上
●価格=233円~
●購入=Amazon

犬たちをおくる日

犬たちをおくる日・サムネイル画像 高い収容数と殺処分数を誇る愛媛県動物愛護センター職員たちの日常を追いながら、犬たちを殺処分機に「おくる」ジレンマを描く。犬の命と引き換えにおもちゃを買おうとするとか、犬を処分するついでに別の子犬を貰おうとするといった例は、全てでは無いものの、皆無とは程遠い。機械を止める日はいつになったら来るのだろうか?
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●今西乃子/金の星社
●読了時間=30分前後
●対象年齢=中学生以上
●価格=1,404円
●購入=Amazon楽天

いのちの花

いのちの花・サムネイル画像 殺処分の数値なんか現実を知ったことにはならない~名もなき女子高生たちは、心ない批判と重労働に涙を流しながら、ゴミとして無造作に積み重ねられた犬や猫の骨を砕き、花へと生まれ変わらせた。通称「命の花」と呼ばれるプロジェクトの先駆けとなった青森県立三本木農業高校の取り組みを追う。
📖 書籍情報

●向井愛美/WAVE出版
●読了時間=20分前後
●対象年齢=中学生以上
●価格=1,188円
●購入=Amazon楽天

高校生以上向け

 以下でご紹介するのは高校生以上向けの本です。ただ単に現実を知るだけでなく、「自分たちにできることは何だろうか?」と問題提起する一歩進んだ内容になっています。

「奴隷」になった犬、そして猫

「奴隷」になった犬、そして猫・サムネイル画像 命の大量生産、大量販売を前提とする生体販売ビジネスの現場にいる犬や猫たちは、まさに拝金主義者たちの「奴隷」。犬や猫を迎えて一緒に暮らしていても、多くの人はこうした奴隷の存在を意識することはない。ペットショップを介して「かわいい」を一方的に消費し、その裏側を見ようとしないことは命への無関心ではないかと筆者は問いかける。
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●太田匡彦/朝日新聞出版
●読了時間=2~3時間
●対象年齢=高校生以上
●価格=1,650円(電子版1,320円)
●購入=Amazon楽天

犬を殺すのは誰か

犬を殺すのは誰か・サムネイル画像 悪徳ブリーダーのもとで「生産」された子犬たちは、ペットオークションという醜悪な形態を経由して、「消費者」の元に届けられる。流通過程で犬を苦しめているのは拝金主義の繁殖屋か、犬を野菜のように扱う競りやオークションシステムか、それとも需要を生み出している消費者か…その全てだ。ペット流通の闇を概観できる入門書。
📖 書籍情報

●太田匡彦/朝日新聞出版
●読了時間=1~2時間
●対象年齢=高校生以上
●価格=648円
●購入=Amazon楽天

それでも命を買いますか?

それでも命を買いますか?・サムネイル画像 動物を商品としてしか見ず、売れ残りを平気で処分する小売業者、動物を産む道具としてしか扱わず、死ぬまで子犬を生ませる繁殖業者…1兆円産業の裏側に蠢(うごめ)くおぞましい金儲け主義と、その犠牲となる罪無き動物たちの姿を、生々しい現場の声とともに暴く。ペット流通業界の真実を知った時、それまで「かわいい」と感じていたペットショップの子犬たちが、「かわいそう」と思えるはず。
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●杉本彩/ワニブックスPLUS新書
●読了時間=1~2時間
●対象年齢=高校生以上
●価格=896円
●購入=Amazon楽天

犬房女子

犬房女子・サムネイル画像 民間人の監視が及ばず「犬抑留所」と呼ばれていた熊本県動物管理センターでは、犬を収容する場所を「犬房」(けんぼう)と呼んでいた~犬や猫が好きであるほど辛い職場で、精神を病みながらも悪戦苦闘する「犬房女子」たちは、果たして融通の効かない現場を変えることができるのだろうか?2017年4月、県の動物管理センターが「愛護センター」へと名称変更されるまでの経緯をドラマタッチで描く。
📖 書籍情報

●藤崎童士/大月書店
●読了時間=1~2時間
●対象年齢=高校生以上
●価格=1,728円(電子版あり)
●購入=Amazon楽天

日本の犬猫は幸せか

日本の犬猫は幸せか・サムネイル画像 犬や猫の「リホーミング」(養子縁組)が遅々として進まない日本に求められているのは、役所と一般市民双方の意識改革である~犬の入手先の代名詞となっている保護団体「バタシー」、動物虐待の取り締まりに強い権限を持つ「RSPCA」、市民からの寄付金だけで数十億円を集める「ドッグトラスト」など英国の例を引き合いに出し、動物愛護分野における日本の基礎体力の弱さを指摘する。
📖 書籍情報

●エリザベス・オリバー/集英社新書
●読了時間=90分前後
●対象年齢=高校生以上
●価格=734円
●購入=Amazon楽天

殺処分ゼロの理由 熊本方式と呼ばれて

殺処分ゼロの理由 熊本方式と呼ばれて・サムネイル画像 「犬を持ち込む飼い主への説得」、「適正飼育に関する啓蒙活動」、「迷子札装着の推進」など、今日では当たり前とも思える数々の対策は、いつしか「熊本方式」と呼ばれるようになり、殺処分減少の方程式として広まっていった。理不尽な理由で命を奪われる動物たちと、その周辺で奮闘する人々の苦悩を描く。
📖 書籍情報

●松田光太郎/熊日情報文化センター
●読了時間=1~2時間
●対象年齢=高校生以上
●価格=1,080円
●購入=楽天