詳細
調査を行ったのは、イギリス・ケンブリッジ大学の獣医学チーム。過去に行われた逸話的な報告では、CTスキャンとMRIを受けた犬のうち潜在性の中耳障害を抱えている割合が41%に達し、中でも短頭種が危険因子であるとの可能性が示唆されていたものの、この仮説は学術的な方法で実証されたわけではありませんでした。そこで研究チームは、25頭の短頭種と40頭の非短頭種を対象としてCTスキャンとMRI検査を行い、マズルの構造と中耳障害の間に関連性があるのかどうかを検証しました。短頭犬種に関して発見された主な事実は以下です。
こうした事実から研究チームは、短頭種では鼓室胞と管腔サイズが小さく、中耳内への滲出が頻繁に起こり、潜在性の中耳障害を抱えている可能性が高いという結論に至りました。 Comparison between computed tomographic characteristics of the middle ear in nonbrachycephalic and brachycephalic dogs with obstructive airway syndrome
短頭種の特徴
- 軟口蓋が厚い
- 鼓室胞壁が厚い
- 耳管腔体積が小さい
- 管腔内への滲出物が多い
こうした事実から研究チームは、短頭種では鼓室胞と管腔サイズが小さく、中耳内への滲出が頻繁に起こり、潜在性の中耳障害を抱えている可能性が高いという結論に至りました。 Comparison between computed tomographic characteristics of the middle ear in nonbrachycephalic and brachycephalic dogs with obstructive airway syndrome
解説
犬の中耳炎には、症状を全く示さない潜在性のものから、鼓室胞の不快感に関連した様々な症状を示す顕在性のものまでいろいろなバリエーションがあります。その多くは、外耳炎が鼓膜を通過して中耳にまで波及するという外因パターンですが、口腔内や鼻咽頭の炎症が耳管(エウスタキオ管)を経由して中耳に達するという内因パターンも少数ながらあります。
今回の調査で発見された「短頭種では中耳内への滲出が起こりやくなる」という事実は、マズルが短くて軟口蓋が分厚くなり、呼吸が荒くなってしまうことと何らかの関連があるのかもしれません。パグやシーズーといった短頭種を飼っている家庭においては、呼吸器系の疾患にかかったあと、口腔・鼻腔内の病原体が耳管を経由して中耳に侵入する可能性を考慮し、以下に述べるような症状に気をつけておく必要があるでしょう。
今回の調査で発見された「短頭種では中耳内への滲出が起こりやくなる」という事実は、マズルが短くて軟口蓋が分厚くなり、呼吸が荒くなってしまうことと何らかの関連があるのかもしれません。パグやシーズーといった短頭種を飼っている家庭においては、呼吸器系の疾患にかかったあと、口腔・鼻腔内の病原体が耳管を経由して中耳に侵入する可能性を考慮し、以下に述べるような症状に気をつけておく必要があるでしょう。
中耳炎の主症状
- 口を開ける時に痛がる
- 咀嚼を嫌がる
- 首を振る
- 患側の耳をひっかく
- 頭を傾ける
- 歩くときにふらつく