トップ2016年・犬ニュース一覧4月の犬ニュース4月22日

犬が認知症になるリスクファクター

 スロバキア共和国で行われた統計調査により、犬の認知症を早めたり遅らせたりする要因の一端が明らかになりました(2016.4.22/スロバキア)。

詳細

 調査を行ったのは、マサリク大学や獣医薬科大学などからなる共同研究チーム。国内で暮らす犬の飼い主に「CADES」と呼ばれる認知症を計測するための調査票を記入してもらい、一体どのような要因が犬の認知症に影響を及ぼすのかを検証しました。過去に行われた調査で関連性が指摘されている「性別」、「体の大きさ」、「年齢」、「不妊手術の有無」、「食事内容」といった変数と犬の認知症の進行度とを精査した結果、年齢が上がるにつれて認知症スコアが上昇し、ある特定の食事内容を摂取しているとスコアが低下する傾向が見出されたといいます。また8~11歳の年齢層に属する犬では、体の大きさが認知症の度合いに影響を及ぼしていなかったのに対し(小型13%:中型16%)、11~13歳の年齢層に属する犬では、体の大きさが認知症の度合いに影響を及ぼしていたとも(小型41%:中型65%)。一方、過去の調査で示唆されている「性別」、「体重」、「不妊手術の有無」、「排泄する場所」と認知症との間には、明確な関連性が確認できなかったそうです。
 こうした結果から研究チームは、犬の認知症における最大の予見因子は「年齢」であり、「食事内容」も何らかの関わりを持っている可能性が大きいとの結論に至りました。 Risk factors for canine cognitive dysfunction syndrome in Slovakia

解説

 「年齢が上がるにつれて認知症の度合いが高まる」という事実は、人間において確認されている知見と一致するものです。歳をとるにつれて脳内の神経細胞が少しずつ減っていくわけですから、致し方ない現象と言えるでしょう。一方「食事内容」に関しては、飼い主が介入することでいくらか認知症の進行を食い止めることができそうです。今回の研究では「コントロールダイエットを摂取していなかった犬では認知症を発症する確率が2.8倍高かった」との結果が出ています。ここで言う「コントロールダイエット」とは、体型や犬種、年齢に合わせて特化されたヒルズやロイヤルカナンなどから出されている市販商品のことです。この事実は、過去の調査で確認された「犬の認知症を予防するためには、食餌による代謝の変化が重要」(→出典)とか「抗酸化成分が犬の酸化ストレスを軽減し、神経細胞へのダメージを減らす」(→出典)といった事実とも符合します。シニア世代の犬を飼っている家庭においては、食事内容の見直しを計ってもよいかもしれません。 犬の認知症 老犬の認知症 年老いた犬には食事による認知症防止作が効果的