犬の重心から心を読む
体の中における体重の中心、すなわち重心には、犬の気持ちが如実に反映されることがあります。以下では重心と気持ちの関係を一覧でまとめました。
犬の重心の位置とその意味
- 四肢を緊張させて直立する ここは私の領分だ!自分の体を大きく見せることで自分の優位性を伝え、交渉を有利に進めようとするときの姿勢です。さらに自信に満ちた犬の場合は、しっぽを高々と上げたり、ゆっくりと前進してくることもあります。
- 足を緊張させ、やや体を前に乗り出す 何を偉そうに!ボスはこっちだ!優位性を示そうとしている相手に対して挑戦する意向を伝えるときに出る姿勢です。このまま両者が一歩も引かず、にらみあいが続けば実際のケンカに発展することもあります。
- 腰を引き、重心を後ろに掛ける なんだか怖いなぁ・・重心を後ろに掛けているのは、いざという時一目散に逃げ出す準備です。初めて出会う犬や初めて見る動物など、相手の素性が分からず、恐怖心が先行しているときにこの姿勢になります。
犬の毛から心を読む
オオカミや犬などが体毛の一部を逆立てることを、パイロイレクション(piloerection)といいます。これは人間で言うと鳥肌に相当するもので、心の動きに合わせて意思とは関係なく自動的に起こる自律神経系の反応です。
犬の毛の立ち具合とその意味
- うなじの毛を逆立てる 怒ったぞ!/何だやるか!毛を逆立ているという行為には、基本的に自分の体を大きく見せ、相手を脅すという意味があります。しかし恐怖の裏返しとして強がって見せるときにも同じように毛を逆立てることがありますので、状況に応じてその意味を考えるようにしましょう。ちなみにオオカミの背中は、逆立つ部分の毛だけが黒くなっています。これは、毛を逆立てたとき、より確実に自分の感情が伝わるよう発達したものと考えられます。
- 背中からしっぽにかけての毛が逆立つ 挑戦に応じよう!/やったろうじゃないか!より攻撃的な意思を表し、相手の犬が譲歩しなければ実際のケンカに発展する確率が高い状態です。
犬のポジションから心を読む
相手の犬に対する体の向きや高さの中にも、犬特有の言葉が隠されています。以下では犬のポジションや立ち位置が意味するところを、一覧でまとめました。
犬のポジションとその意味
- 体を低くして縮こまり、相手を見上げる 逆らう気はありません自分の体を小さく見せるのは、自分がか弱い存在であることをアピールし、へりくだって相手の優位を認めるときに出る姿勢です。日本人が目上の人の前でお辞儀するのと似ています。
- 相手の鼻面を鼻先で軽くつつく 今後ともお見知りおきを・・相手の順位の高さを受け入れたときにでる行動です。子犬が、支配的な立場にある母犬に何かをねだるときの行動の名残だとも言われます。人間に対して子犬気分でなにかをねだるときは、手や足を鼻先でつつくこともあります。
- 相手の前で座り込み、臭いを好きにかがせる あなたに危害は加えません自分の劣位を自覚している犬は、威嚇や挑発とは対極にある座るという行動をとることによって、敵対心が無いことを伝えます。自分の体を小さく見せるという意味もあります。
- 寝転んで相手の視線を避ける 降参です/攻撃しないでください寝転ぶという行為は、人間で言うと平伏する行為に等しく、相手の優位を完全に認めてへりくだったときに出ます。さらに自分をか弱い子犬に見せるため、クーンという高い鳴き声を発したり、おしっこを漏らすこともあります。
- 肩をぶつけたり寄りかかったりする 頭が高い!歩いている相手に肩をぶつけたり、座っている相手に寄りかかる行為は、相手の位置をずらすことで自分の優位性を伝えるときに出る行動です。ソファーで座っている人間に犬が寄りかかってきたときは、甘えたいのではなく「どけよ!」といいたいのかもしれません。
- 相手に脇腹を向ける まあ、仲良くしましょうや横を向くという行為は、犬が相手の優位を認めると同時に、自信と冷静さを保とうとするときに出る行動です。この行動は主に劣位の犬が取りますが、優位の犬と並んだ形は、ちょうどアルファベットのTの字に似ています。