犬が笑顔を見せる状況
公園で犬とフリスビー遊びをしていたら、犬がまるで笑っているかのような満面の笑みを見せてきました。さて、このときの犬の気持ちは?
犬が笑顔を見せる意味の解説
笑顔を見せるというカーミングシグナルは、「楽しい」・「うれしい」・「気持ちいい」といったポジティブな感情を相手に伝えるときに用いられ、サルを始めとする霊長類が遊んでいるときに見せるプレイフェイス(play face=口を丸くあける表情)に相当するものだと考えられます。
また口角を引くというしぐさは相手の優位を認める際の服従の笑みとして用いられることもあり、その場合は「あなたには逆らいません」といった意味のカーミングシグナルになります。
さらに、数多くの著書で知られる獣医のマイケル・W・フォックス氏は、人間との触れあいの場でのみ観察され、犬同士の間では見られない第3の笑いを観察しました。これは犬が人間の笑顔をマネしたもので、プレイフェイスとも服従の笑みとも違う模倣の笑みだと考えられています。口角を引いたとき、たまたま飼い主が「可愛い!」とほめてくれたことなどがきっかけとなり、飼い主の関心を引くため、こうした作り笑いをするようになるようです。 2001年に行われた実験では、口角を引く犬の「笑顔」のほか、犬の「笑い声」がもつカーミングシグナルとしての役割が指摘されています。
調査の対象となったのは、4ヶ月~10歳までの120頭の犬。何のBGMもない環境と、「ドッグラフ」を流した環境における行動が観察されました。「ドッグラフ」(Dog Laugh=犬の笑い声)とは、犬が遊んでいる最中にだけ出す、「ハッハッ」という荒い呼気のことです。その結果、「ドッグラフあり」の環境における犬の方が、「ドッグラフなし」の犬よりもおとなしくなる傾向があったといいます。さらに4~12ヶ月齢の子犬は、相手を遊びに誘うときの「プレイバウ」(Play Bow)を見せ、1~2歳の犬は、しっぽを水平に保って緩やかに振りながら音源の方に静かに近づき、2歳以上の犬は音源の方に近づき、オスワリやフセの体勢になったとも。
こうした事実から研究者は、遊びの最中にだけ発せられる「ドッグラフ」には、他の犬に敵意が無いことを伝えると同時に、相手を落ち着かせるカーミングシグナルとしての効果があると結論付けました。 Recorded playback reduces stress related aggression in shelter dogs ちなみ上のグラフは、「ドッグラフ」を波形で示したものです。通常のあえぎ呼吸である「パンティング」(Panting)とは明らかに異なり、1秒間に2~3回の割合で「ハッハッ」という強めの呼気が挟まります。また人間が犬のまねをしても、ある程度の鎮静効果を期待できるようです。カナダの心理学者スタンレーコレン氏は著書「犬と人の生物学」の中で以下のようにコツを述べています。試してみてはいかがでしょうか。
また口角を引くというしぐさは相手の優位を認める際の服従の笑みとして用いられることもあり、その場合は「あなたには逆らいません」といった意味のカーミングシグナルになります。
さらに、数多くの著書で知られる獣医のマイケル・W・フォックス氏は、人間との触れあいの場でのみ観察され、犬同士の間では見られない第3の笑いを観察しました。これは犬が人間の笑顔をマネしたもので、プレイフェイスとも服従の笑みとも違う模倣の笑みだと考えられています。口角を引いたとき、たまたま飼い主が「可愛い!」とほめてくれたことなどがきっかけとなり、飼い主の関心を引くため、こうした作り笑いをするようになるようです。 2001年に行われた実験では、口角を引く犬の「笑顔」のほか、犬の「笑い声」がもつカーミングシグナルとしての役割が指摘されています。
調査の対象となったのは、4ヶ月~10歳までの120頭の犬。何のBGMもない環境と、「ドッグラフ」を流した環境における行動が観察されました。「ドッグラフ」(Dog Laugh=犬の笑い声)とは、犬が遊んでいる最中にだけ出す、「ハッハッ」という荒い呼気のことです。その結果、「ドッグラフあり」の環境における犬の方が、「ドッグラフなし」の犬よりもおとなしくなる傾向があったといいます。さらに4~12ヶ月齢の子犬は、相手を遊びに誘うときの「プレイバウ」(Play Bow)を見せ、1~2歳の犬は、しっぽを水平に保って緩やかに振りながら音源の方に静かに近づき、2歳以上の犬は音源の方に近づき、オスワリやフセの体勢になったとも。
こうした事実から研究者は、遊びの最中にだけ発せられる「ドッグラフ」には、他の犬に敵意が無いことを伝えると同時に、相手を落ち着かせるカーミングシグナルとしての効果があると結論付けました。 Recorded playback reduces stress related aggression in shelter dogs ちなみ上のグラフは、「ドッグラフ」を波形で示したものです。通常のあえぎ呼吸である「パンティング」(Panting)とは明らかに異なり、1秒間に2~3回の割合で「ハッハッ」という強めの呼気が挟まります。また人間が犬のまねをしても、ある程度の鎮静効果を期待できるようです。カナダの心理学者スタンレーコレン氏は著書「犬と人の生物学」の中で以下のようにコツを述べています。試してみてはいかがでしょうか。
若干唇をすぼめて「フ」、口をあけて微笑んだような感じで「ハ」という音を出して、「フ、ハ、フ、ハ・・・」とやると一番うまくいく 犬と人の生物学(築地書館)
犬が笑顔を見せる動画
以下でご紹介するのは、犬が笑顔を見せる瞬間をとらえた動画です。
オーストラリアンシェパードが目をランランと輝かせ「遊んでくれるの?」と期待に満ちた笑顔を飼い主に向けています。途中からはダックスフントも参戦し、「ハッハッ」という「ドッグラフ」も聞こえますね。誘いに応じるかのように2頭の犬は遊びに興じ始めました。