犬の肛門周囲腺炎の病態と症状
犬の肛門周囲腺炎とは、肛門の周りに散在している小さな分泌器官(腺)に炎症が発生した状態を言います。
犬の肛門付近には、内外2つの括約筋に取り囲まれるような形で「肛門嚢」(こうもんのう)が収まっており、そのさらに外側には「肛門周囲腺」と呼ばれる小さ目の分泌腺がたくさん点在しています。「肛門周囲腺炎」とは、この小さな分泌腺に炎症が発生した状態のことです。なお「肛門嚢炎」と言った場合は、その上にある大きな袋に炎症が生じた状態を指します。
犬の肛門周囲腺炎の主な症状は以下です。なお、炎症が悪化して、肛門の横に小さな穴(瘻管)が開いてしまった状態は「肛門周囲瘻」(こうもんしゅういろう)と呼ばれます。
犬の肛門周囲腺炎の主な症状は以下です。なお、炎症が悪化して、肛門の横に小さな穴(瘻管)が開いてしまった状態は「肛門周囲瘻」(こうもんしゅういろう)と呼ばれます。
犬の肛門周囲腺炎の主症状
- うんちが出にくい
- 肛門周囲の腫れや赤み
- 肛門からの悪臭
- 痛みで泣きわめく
犬の肛門周囲腺炎の原因
犬の肛門周囲腺炎の原因としては、主に以下のようなものが考えられます。予防できそうなものは飼い主の側であらかじめ原因を取り除いておきましょう。
犬の肛門周囲腺炎の主な原因
- 遺伝(?) ジャーマンシェパードでの発症例が多いことから、何らかの形で遺伝が関わっているものと推測されています。シェパードでは、肛門のアポクリン腺がやや多く、また直腸炎にかかりやすいとされます。
- しっぽの運動不足(?) しっぽの運動が弱い犬の場合、肛門周辺の通気が悪くなったり、肛門の血流が悪くなったりして炎症を起こしやすくなると推測されています。
- 不明 原因が特定できないことも少なくありません。ストレス、便秘や下痢、肥満、高齢など、多くの要因が絡み合って発症するものと考えられます。
犬の肛門周囲腺炎の治療
犬の肛門周囲腺炎の治療法としては、主に以下のようなものがあります。
犬の肛門周囲腺炎の主な治療法
- 浣腸 便が硬くてなかなか出てこない場合は、浣腸などでやわらかくします。
- 食事療法 腸の蠕動を助ける繊維質を豊富に取り入れたフードに切り替えたりします。
- 投薬治療 細菌の繁殖を抑えるため、各種の抗生物質が投与されることがあります。
- 外科手術 肛門がひどくただれて排便が著しく困難な場合は、外科手術が適用されます。
- 肛門を衛生的に保つ 肛門周辺の被毛に糞便がついて固まり、排便を困難にしていることがあります。飼い主はペットのお尻周りを定期的にチェックし、必要に応じて無駄毛のカットなどを行います。またウェットティッシュなどでお尻を拭く習慣を作ることも大切です。