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犬の異物混入~症状・原因から治療・予防法まで

 犬の異物混入(いぶつこんにゅう)について病態、症状、原因、治療法別に解説します。病気を自己診断するためではなく、あくまでも獣医さんに飼い犬の症状を説明するときの参考としてお読みください。なお当サイト内の医療情報は各種の医学書を元にしています。出典一覧はこちら

犬の異物混入の病態と症状

 犬の異物混入とは、耳の穴に何らかの異物が入り込んだ状態を言います。犬の外耳の構造  犬の耳の穴は、縦方向に伸びる「垂直耳道」と横方向に伸びる「水平耳道」とからなっています。ちょうどアルファベットの「L」のような形をしたこの構造は、鼓膜が容易に傷つかないというメリットを持つ反面、異物が奥まで入り込んだら取り出しにくいというデメリットも併せ持っています。異物に気づかないまま綿棒などで耳掃除をすると、入り口付近にあった障害物が垂直耳道の奥に入り込み、さらにその奥にある水平耳道にまで侵入してしまうこともありますので要注意です。
 犬の異物混入の症状としては以下のようなものが挙げられます。
異物混入の主症状
  • 頭を振る
  • 頭を傾ける(異物側を下にする)
  • 鼓膜が破れる

犬の異物混入の原因

 犬の異物混入の原因としては、主に以下のようなものが考えられます。予防できそうなものは飼い主の側であらかじめ原因を取り除いておきましょう。
異物混入の主な原因
  • シャンプー時の水
  • 抜け落ちた自分の耳毛
  • 大量の耳垢
  • 植物の種子(ノギなど)
ノギ(芒)
 ノギとは、イネ科植物の穂の先端にある棘状の突起のことです。身近な場所で見かけるイネ科植物としては、ネコジャラシ(エノコログサ)、オヒシバ、ススキなどが挙げられます。異物混入の原因になりやすいため、散歩するときはこうした植物の中に頭を突っ込まないよう気を付けた方が無難でしょう。犬や猫の耳の異物混入として多い、植物のノギ(芒)

犬の異物混入の治療

 犬の異物混入の治療法としては、主に以下のようなものがあります。
異物混入の主な治療法
  • 異物の除去  耳の穴に詰まっている異物を除去します。水の場合は吸水性のある綿棒や脱脂綿を挿入して水分を吸い取ります。固形物の場合、素人がヘタに手を出すと逆に奥へ押し込んでしまいますので、必ず獣医さんに任せます。犬が暴れ出す危険性があるため、体や口を押えながら行うのが一般的です。その後、耳道の中をのぞく「耳鏡」や「ビデオオトスコープ」などを用いて内部の様子を確認し、異物の除去計画を立てます。