トップ犬の食事ドッグフード成分・大辞典着色料マリーゴールド

マリーゴールド(ルテイン)~意味や目的から安全性まで

 ドッグフードのラベルに記された「マリーゴールド」。この原料の成分から安全性と危険性までを詳しく解説します。そもそも犬に与えて大丈夫なのでしょうか?また何のために含まれ、犬の健康にどのような作用があるのでしょうか?
成分含有製品 ドッグフードにどのような成分が含まれているかを具体的に知りたい場合は「ドッグフード製品・大辞典」をご覧ください。原材料と添加物を一覧リスト化してまとめてあります。

マリーゴールドとは何か?

 マリーゴールド(marigold)とはキク科コウオウソウ属のうち、草花として栽培される植物の総称。アフリカン・マリーゴールド(センジュギク)やフレンチ・マリーゴールド(コウオウソウ)など約50種類が含まれます。 ドッグフードの成分として用いられる「マリーゴールド」  マリーゴールドから抽出された色素は成分の分類上「着色料」に属し、フードの色合いを調整して犬の食いつきを良くする作用を持っています。
マリーゴールド色素の安全性情報・概要
  • 厚生労働省=既存添加物
  • IARC=発がん性なし
  • EFSA=体重1kg当たり1日1mg
  • JECFA=使用基準なし
  • ペットフード=不明
 一方、一部のドッグフードは「ルテイン」と呼ばれる成分の抽出源としてマリーゴールドを利用していることがあります。ルテイン(lutein)とは植物の花弁や果実、緑黄色野菜(ホウレンソウ・ケール・トウモロコシ・ブロッコリーなど)、卵黄に多く含まれているカロテノイドの一種です。その場合、フードのラベルには「マリーゴールド抽出物(ルテイン源として)」などと記載され、着色料としては使用していないことが強調されます。

日本での安全性情報

 日本においてマリーゴールド色素は厚生労働省によって既存添加物の着色料(黄色)として認可されています。定義は「キク科マリーゴールド(Tagetes erecta WILLD.)の花より、室温時ヘキサンで抽出して得られたもので、キサントフィルを主色素とするもの」で、使用基準は特に設けられていません。
 一方、ルテインの方は食品衛生法上「医薬品的効能効果を標ぼうしない限り医薬品と判断しない成分本質(原材料)リスト」として区分されています。使用基準は特に設けられていませんが、「目によい」とか「視力を改善する」など医薬品であると誤解を招くような表現をしてはいけないことになっています。

海外での安全性情報

 マリーゴールドから抽出される色素もルテインもIARC(国際がん研究機関)によって発がん性は確認されていません。またJECFA(FAO/WHO合同食品添加物専門家会議)でもマリーゴールドから抽出したルテイン、ルテインエステル、およびキサントフィルに対する一日摂取許容量(ADI)を設定していません。アメリカでもルテイン(※エステル除く)がGRAS(一般的に安全とみなされた物質)として認定されています
 一方、EFSA(欧州食品安全機関)ではカロテノイド類を80%以上含有するアフリカン・マリーゴールド(Tagetes erecta)由来のルテインに関し、体重1kg当たり1日1mgというADIを設定しています。

ドッグフードに入れると危険?

 そもそもドッグフードに色素としてではなくルテイン源としてマリーゴールドが含まれている理由は、免疫調整機構に対して何らかの効果があるという前提があるからのようです。
 例えばワシントン州立大学の調査チームがメスのビーグル(17~18ヶ月齢, 11.4kg)を対象とし1日あたり0、5、10、20mgのルテインを12週間に渡って給餌したところ、 ルテイン摂取グループにおいては試験開始から6週目までにPHA(フィトヘマグルチニン)およびワクチンに対する遅延性の過敏反応が高まり、3つのマイトジェン(分裂促進因子)に対するリンパ細胞の増殖反応が高まったといいます。また抗原チャレンジに対してIgG抗体が増加したことから、食事中のルテインが細胞介在性および体液性免疫反応の両方を高める可能性が示されました出典資料:H.W.Kim, 2000
 またブラジルUFPRの調査チームは16頭の犬たちをランダムで2つのグループに分け、一方にだけ1kg当たり45gの割合でルテインを含んだフードを120日間与え、免疫調整効果や消化率を検証しました。その結果、見かけの総消化管消化率に格差は見られなかったといいます。またリンパ細胞の総数やリンパ細胞増殖指標に変化は見られなかったものの、CD4+T細胞とCD8+T細胞の濃度が高まったとのこと出典資料:Alarca, 2016
人間においてはブルーライト (青色光)から網膜を保護するとか、白内障や加齢黄斑変性症のリスクを低減するなどと言われますが、犬において同様の効果は確認されていません。