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リコピン(トマト色素)~意味や目的から安全性まで

 ドッグフードのラベルに記された「リコピン」(トマト色素)。この成分の意味・目的から安全性までを詳しく解説します。何のために含まれ、犬の健康にどのような作用があるのでしょうか?
成分含有製品 ドッグフードにどのような成分が含まれているかを具体的に知りたい場合は「ドッグフード製品・大辞典」をご覧ください。原材料と添加物を一覧リスト化してまとめてあります。

リコピンとは何か?

 リコピン(lycopene)は赤みがかった果物や野菜に含まれる直鎖状のカロテノイドの一種。果物ではピンクグレープフルーツ、アンズ、グアバ、野菜ではトマトやスイカなどに多く含まれています。リコピンを豊富に含むトマト 成分の分類上は「着色料」に属し、フードの色合いを調整して犬の食いつきを良くする作用を持っています。
リコピンの安全性情報・概要
  • 厚生労働省=既存添加物
  • IARC=発がん性なし
  • EFSA=0.5mg/kg/日
  • JECFA=使用基準なし
  • ペットフード=使用基準なし

日本での安全性情報

 日本においてリコピンは厚生労働省によって「トマト色素」もしくは「トマトリコピン」が既存添加物として認可されており、「着色料」として利用されています。使用基準は特に設定されていません。定義は「トマトの果実から得られたリコピンを主成分とするもの」で、合成リコピンや菌類(Blakeslea trispora)から人工的に合成されたリコピンとは区別されます。

海外での安全性情報

 リコピンはIARC(国際がん研究機関)によって発がん性が確認されていません。
 JECFA(FAO/WHO合同食品添加物専門家会議)ではトマト由来のリコピンに対して一日摂取許容量(ADI)や使用基準を設けていませんが、合成リコピンおよび菌類由来のリコピンに対しては、体重1kg当たり1日0~0.5mgという使用基準を設けています。
 またEFSAでは原料や由来にかかわらず、リコピンのADIを体重1kg当たり1日0.5mgまでとしています。

ドッグフードに入れると危険?

 犬における最小中毒量は体重1kg当たり840mg程度と推定されています。 ドッグフードに用いられるリコピンはほとんどがトマト由来で、なおかつ目的は着色ですので上記したような大量の色素が添加されることはないでしょう。
 注意すべきはサプリメントとしての摂取ルートです。かつては「リコピンが前立腺癌に効く」と言われていた時代があり、薬効を確認するための動物モデルとして犬が用いられていました出典資料:Murray, 2001。この調査では体重1kgあたり1日30mgのリコピンが給与されましたが、犬の健康に悪影響は出ませんでした。
ドッグフードに含まれているリコピンは着色料です。前立腺疾患を予防する効果はありませんし、仮にあったとしても前立腺を持たないメス犬には全く無関係です。サプリメントなど凝縮された形では与えないでください。