犬が必要とするカロリー計算式
犬は生きていくため、毎日食餌という形でエネルギーを補給する必要があります。このエネルギーのことを「1日当たりのエネルギー要求量」(DER)と言います。DERを求める際の公式は「RER×係数」です。「RER」とは「安静時エネルギー要求量」のことで「健常な動物が、気温は中程度の環境で休んでいるが絶食はしていない状態でのエネルギー要求量」と定義されます。求め方は以下。
上の式で、犬の体重を0.75乗した値は「代謝重量」と呼ばれます。平たく言うと、体重の中からエネルギーを消費しない脂肪などの組織を取り除いた重量のことです。この代謝重量に70(kcal)を掛けた値が、その犬に必要な安静時エネルギー要求量となります。話がややこしくなってきたので、答えだけを以下に一覧化しましょう。例えば、太っても痩せてもいない標準的な体型の犬の体重が3kgの場合、RERは160kcalです。
安静時エネルギー要求量がわかったら、そこに係数を掛けて一日に必要なエネルギー量を割り出します。係数とは、犬のライフステージに合わせて設定された倍数のことです。一般的に用いられている数字は以下。
小動物の臨床栄養学(4th)
例えば、標準的な体型をした体重3kgのチワワの場合、「安静時エネルギー要求量=160kcal」で「エネルギー係数=1歳以上の成犬」ですので、「160kcal×1.8」でおよそ「288kcal」が1日当たりのエネルギー要求量であるとわかります。また標準的な体型で、最近去勢手術をした体重30kgのラブラドールレトリバーの場合、「安静時エネルギー要求量=897kcal」で「エネルギー係数=不妊手術済みの犬」ですので、「897kcal×1.6」でおよそ「1,435kcal」が1日当たりのエネルギー要求量であるとわかります。
しかしこうして求めたエネルギー量はあくまでも推定値であって、実際にその犬にとってベストかどうかはすぐにはわかりません。ひとまず計算で出てきた数字で給餌し、犬が太ってくるようなら減らし、逆に痩せていくようなら増やすようにします。重要なのは、ただ漫然と犬にエサを与えるのではなく、犬の体型や筋肉の付き具合を日々観察しながら付き合っていくということです。犬のマッサージやブラッシングの仕方、および「犬のダイエットの基本」というページ内の現在の体型と体重を知るというセクションが役に立つでしょう。
犬の安静時エネルギー要求量
kg | kcal | kg | kcal | kg | kcal |
3 | 160 | 22 | 711 | 52 | 1,356 |
4 | 198 | 25 | 783 | 55 | 1,413 |
5 | 234 | 27 | 829 | 57 | 1,451 |
6 | 268 | 30 | 897 | 60 | 1,509 |
7 | 301 | 32 | 942 | 62 | 1,547 |
8 | 333 | 35 | 1,007 | 65 | 1,602 |
9 | 364 | 37 | 1,050 | 67 | 1,638 |
10 | 394 | 40 | 1,113 | 70 | 1,694 |
12 | 451 | 42 | 1,155 | 72 | 1,730 |
15 | 534 | 45 | 1,216 | 75 | 1,784 |
17 | 586 | 47 | 1,257 | 77 | 1,819 |
20 | 662 | 50 | 1,316 | 80 | 1,872 |
犬のエネルギー係数
- 1歳以上の成犬=1.8
- 不妊手術済みの犬=1.6
- 活動的な犬=1.6
- 肥満傾向の犬=1.4
- 減量中の犬=1.0
- 集中治療中の犬=1.0
- 増量中の犬=1.2~1.4
- 妊娠期の犬=1.8~3.0
- 泌乳期の犬=4~8
- 成長期の犬=3
- 老犬=1.4
例えば、標準的な体型をした体重3kgのチワワの場合、「安静時エネルギー要求量=160kcal」で「エネルギー係数=1歳以上の成犬」ですので、「160kcal×1.8」でおよそ「288kcal」が1日当たりのエネルギー要求量であるとわかります。また標準的な体型で、最近去勢手術をした体重30kgのラブラドールレトリバーの場合、「安静時エネルギー要求量=897kcal」で「エネルギー係数=不妊手術済みの犬」ですので、「897kcal×1.6」でおよそ「1,435kcal」が1日当たりのエネルギー要求量であるとわかります。
太り過ぎでもやせすぎでもない標準的な体型であることが前提です。
犬が太っている場合のエネルギー量は、どの程度太っているかによって大きく変動します。算出方法は犬のダイエットで詳しく解説してありますのでご参照ください。
「給餌量の目安」は信用できない!
ドッグフードのパッケージにはたいてい「給餌量の目安」という形で、体重に応じた給餌量が記載されています。しかしここに記載されている体重は「太っても痩せてもいない理想的な体型にある時の体重」である点に注意しなければなりません。
例えば、理想体重が10kgの犬と、理想体重は10kgだけれども太って15kgある犬がいたとします。そしてラベルには「体重1kgにつき10g給餌」とあったとします。もしここでラベルの記載に従い、与える給餌量を単純に体重から割り出してしまうと、理想的な体型の犬には100g、そして太っている方の犬には本来より50%も多い150gのエサを与えてしまうことになります。フードのラベルにこうした注意書きが無い理由はわかりません。
例えば、理想体重が10kgの犬と、理想体重は10kgだけれども太って15kgある犬がいたとします。そしてラベルには「体重1kgにつき10g給餌」とあったとします。もしここでラベルの記載に従い、与える給餌量を単純に体重から割り出してしまうと、理想的な体型の犬には100g、そして太っている方の犬には本来より50%も多い150gのエサを与えてしまうことになります。フードのラベルにこうした注意書きが無い理由はわかりません。
パッケージに記載されている体重は、あくまでも理想的な体型にある時の体重を示していることは覚えておく必要があります!