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体型カテゴリーと性別ごとに見る犬の標準的な成長グラフ

 体の大きさがバラバラな犬のため、体型カテゴリーと性別ごとの標準的な成長グラフが開発されました(2017.9.18/イギリス)。

詳細

 調査を行ったのは、イギリス・リバプール大学・加齢慢性病研究所が中心となった共同チーム。全米で900以上のクリニックを抱える「Banfield Pet Hospital」の膨大な医療データを利用し、成長期における犬の正しい体重増加グラフを作成しました。成長後の体重を「6.5kg未満」、「6.5kg以上~9kg未満」、「9kg以上~15kg未満」、「15kg以上~30kg未満」、「30kg以上~40kg未満」という5つに分類し、各カテゴリーに属する臨床上健康(病気がなく太ってもやせてもいない)な犬達の体重データ20年分を地ならしして行ったところ、以下のような結果が得られたと言います。例えば「98%」の成長カーブは「98%の犬がたどる極めて一般的な成長の仕方」という意味で、「2%」の成長カーブは「2%の犬しかたどらない極めて異常な成長の仕方」という意味です。 子犬の標準的な成長グラフ
 調査チームは、成長期にある犬たちの体重が適切に増えてるかどうかを確認する時の実用的なツールになってくれるだろうと期待しています。
Growth standard charts for monitoring bodyweight in dogs of different sizes
Salt C, Morris PJ, German AJ, Wilson D, Lund EM, Cole TJ, et al. (2017) PLoS ONE 12(9): e0182064. https://doi.org/10.1371/journal.pone.0182064

解説

 人間界においては、WHO(世界保健機関)がブラジル、ガーナ、インド、ノルウェイ、オマーン、アメリカの子供たちから取ったデータを元に「Child growth standards」(子供の標準的な成長グラフ)を開発しています(→出典)。国や人種が違っても、健全な子どもたちの成長曲線に関しては似通ったパターンを示したとのこと。
 今回作成された犬の成長グラフも上記「Child growth standards」と同じコンセプトで作成されています。しかし個体差が小さい人種とは違い、犬種には体重2kgのチワワから100kg超のセントバーナードまで含まれているため、そう簡単に平均化できるわけではありません。この問題をクリアするため、調査チームは5つの体重カテゴリーを設け、各カテゴリごとの成長グラフを作成することに成功しました。しかし「40kg超」の大型犬に関しては、個々の犬種ごとに成長曲線があまりにもかけ離れていたため、データを地ならしできず作成が見送られました。ロットワイラーやグレートピレニーズといった大型~超大型犬種は、体重ベースではなく犬種固有の成長クラブを利用したほうがよいかもしれません。 チワワとセントバーナードでは、体重に30倍近い開きがある  犬の体重を左右する因子として不妊手術(オスの去勢とメスの避妊)がありますが、未手術グループと手術済みグループのデータを地ならししていったところ、両グループ間の差異は小さくなり、最終的には無視できるレベルであると判断されました。ですから不妊手術の有無にかかわらず、作成された成長グラフは利用できるということになります。
 今回の調査はアメリカ国内におけるデータ元になっているため、気候、文化、社会経済的ステータス、栄養状態、飼育方法などが異なる他の国の犬に適応できるかどうかは保証できないとのこと。また成長後の体重が分かりにくいミックス犬に関しては利用するのが難しいとしています。 子犬のケアの仕方