詳細
調査を行ったのはカナダにある複数の大学からなる共同チーム。2014年6月から11月の期間、カナダとアメリカに暮らす生後20週齢未満の子犬の飼い主(18歳以上)を対象としてアンケート調査を行い、パピークラスへの参加が後の子犬の社会性にどのような影響を及ぼしているのかを検証しました。
Janet H. Cutler PhD; Jason B. Coe DVM, PhD; Lee Niel PhD, doi.org/10.2460/javma.251.12.1415, Journal of the American Veterinary Medical Association December 15, 2017, Vol. 251, No. 12, Pages 1415-1423
パピークラス
調査の結果、296人の飼い主から回答が寄せられ、そのうち145人(49.0%)が何らかの形でパピークラスに参加したことがあることが判明しました。そしてパピークラスに参加したことのある飼い主(および子犬)と、参加したことがない飼い主(および子犬)を様々な切り口で比較したところ、以下のような傾向が浮かび上がってきたといいます。
パピークラスと犬および飼い主の特徴
- 参加した子犬では騒音(雷、掃除機)に対する恐怖反応が弱い
- 参加した子犬ではクレートに対する抵抗が少ない
- 参加しなかった飼い主は罰をベースとしたしつけを採用する傾向が強い
- 収入が多い飼い主ほどクラスに参加する傾向が強い
- 家庭に子供がいない人の方がクラスに参加する傾向が強い
- 郊外に暮らしている人の方がクラスに参加する傾向が強い
Janet H. Cutler PhD; Jason B. Coe DVM, PhD; Lee Niel PhD, doi.org/10.2460/javma.251.12.1415, Journal of the American Veterinary Medical Association December 15, 2017, Vol. 251, No. 12, Pages 1415-1423
解説
子犬の社会化期は生後3~13週齢で、この時期にどのような刺激を受けるが後の行動様式に大きな影響を及ぼすとされています。しかし具体的にどのような刺激をどの程度与えるのがベストなのかに関しては明確な基準がなく、今回の調査でもパピークラスの内容はバラバラでした。例えばセッション回数は1~10回、インストラクターの数は1~4人といった感じです。しかし総じて言うと、この時期におけるパピークラスが他の犬や飼い主以外の人間との接触機会を増やし、犬の社会性にプラスに作用していると言えそうです。
クラスに参加した飼い主と参加しなかった飼い主を比較した場合、子犬に対する接し方に違いが見られました。統計的に有意と判断されたのは以下の5項目です(割合は参加者:非参加者の順)。
パピークラスと飼い主のしつけ方
- ご褒美ベースのしつけ方→93.1 vs 86.1%
- 言葉による修正→82.1 vs 96.0%
- 気をそらす→95.2 vs 82.8%
- 無視する→36.6 vs 19.9%
- 背中押さえつける→20.7 vs 76.2%