詳細
調査を行ったのは、カリフォルニア大学デイヴィス校の獣医学チーム。2014年8月から11月の期間、カリフォルニア州北部のヨロ郡とサクラメント郡にある3つのドッグランにおいて、1ヶ所から100頭ずつ調査対象犬を募り、合計300頭分の糞便サンプルを採取しました。その後、サンプルに含まれる消化管性病原体11種類を「浮遊法」、「蛍光抗体テスト」、「PCR」という3つの検査法で調査したところ、最低1つの病原体を保有している割合が全体の38%(114頭)に及ぶことが明らかになったといます。またそのうち下痢症状を示していた犬の割合は54%(62頭)だったとも。
こうした結果から調査チームは、たとえ症状を示していなくても、犬は消化管内に高い確率で病原体を保有しているという事実を明らかにしました。病原体の中には人間にも感染して人獣共通感染症を引き起こすものもあるため、飼い主は予防策を怠らないほうが良いと推奨しています。 Prevalence of Enteropathogens in Dogs Attending 3 Regional Dog Parks in Northern California.
Hascall, K.L., Kass, P.H., Saksen, J., Ahlmann, A., Scorza, A.V., Lappin, M.R. and Marks, S.L. (2016), J Vet Intern Med, 30: 1838?1845. doi:10.1111/jvim.14603
こうした結果から調査チームは、たとえ症状を示していなくても、犬は消化管内に高い確率で病原体を保有しているという事実を明らかにしました。病原体の中には人間にも感染して人獣共通感染症を引き起こすものもあるため、飼い主は予防策を怠らないほうが良いと推奨しています。 Prevalence of Enteropathogens in Dogs Attending 3 Regional Dog Parks in Northern California.
Hascall, K.L., Kass, P.H., Saksen, J., Ahlmann, A., Scorza, A.V., Lappin, M.R. and Marks, S.L. (2016), J Vet Intern Med, 30: 1838?1845. doi:10.1111/jvim.14603
解説
保有率調査と合わせて飼い主へのアンケート調査が行われ、犬の体調、ライフスタイル、生活環境、医療履歴のほか、「Nestle Purina」が考案したチャートを用いた糞便スコアの評価が行われました。これは犬の排出したうんちを「1=乾いていて固い」から「6=水分が多くてしゃばしゃば」までの6段階で評価するというもので、評価値が4以上の場合は下痢症状とみなされました。その結果、糞便スコアに影響を及ぼす因子として以下のような項目が浮かび上がってきたといいます。
糞便スコアへの影響因子
- ドッグランを訪れる頻度 ドッグランを訪れる頻度が高いほど糞便スコアが上昇する(便がゆるくなる)傾向が確認されました。「ドッグランをよく訪れるほど病原体の保有率が高まる」という関係性が確認されたわけではないのに、糞便スコアだけ影響を受けるというのは奇妙な感じがします。この奇妙な現象には、検出対象となった11種類以外の病原体が何らかの形で関わっているのかもしれません。
- 病原体の保有 少なくとも1つの消化管性病原体を保有していた犬では、保有していない犬に比べて糞便スコアが高くなる傾向が見出されました。しかし保有している病原体の種類が多ければ多いほど糞便スコアが高くなるという明白な傾向までは確認できませんでした。
- 虫下し歴 過去6ヶ月間に虫下しを行ったことがある犬では顕著に高い確率で病原体が検出されました。具体的には、消化管性病原体が検出された52頭のうち20頭は、過去半年間における虫下し歴があったといいます。
- 年齢 年齢が上がれば上がるほど保有している病原体の種類が減り、糞便スコアが下がることが明らかになりました。これには体の成熟に伴う免疫力の向上が関わっている可能性があります。
- ドッグラン以外の屋外で水を飲む
- 同居している動物が下痢
- 家庭の外で他の犬と触れ合う
- 過去6週間のうちにグルーミング施設等を訪れる
- ドッグランをよく訪れる
ドッグラン利用の際の注意
- 犬に拾い食いをさせない
- お出かけはうんちを済ませてから
- 犬の足をしっかり洗う
- 飼い主の手をしっかり洗う
- 下痢気味の犬を連れて行かない
- 特に1歳未満の子犬には要注意