詳細
調査を行ったのは、ハンガリーにあるエトヴェシュ・ロラーンド大学を中心とした共同チーム。チームはまず、ムーディと呼ばれる牧羊犬26頭を、「見知らぬ人が門に近づく」、「シュッツフント(ドッグスポーツの一種)の訓練をする」、「木に繋がれたまま飼い主が立ち去る」、「散歩の前」、「ボールをねだる」、「遊ぶ」という6つの状況に置き、その時に発せられた声を録音しました。次に、集められた1452の単発の吠え声を「周波数」(声の高低)、「HNR」(ノイズの指標で低いほど雑音成分が多い)、「声の間隔 」という3つの側面で分類し、3×3×3の合計27パターンの合成音を作成しました。
大きくて長時間持続するノイズは精神や集中力に悪影響を及ぼすことが確認されていますので、犬の飼い主はハイピッチでキャンキャンと鳴き続けるような声や、ローピッチで攻撃性を感じさせるような吠え声をなるべく出さないよう工夫した方がよいと提言しています。 The communicative relevance of auditory nuisance: Barks that are connected to negative inner states in dogs can predict annoyance level in humans
犬の鳴き声の成分
- 周波数低い=401~531Hz | 中間=593~628Hz | 高い=732~1833Hz
- HNR低い=-2.1~4.6 | 中間=6.4~9.7 | 高い=11.6~35.4
- 声の間隔 短い=0.1秒 | 中間=0.3秒 | 長い=0.5秒
犬の声と不快度の関係
- 女性よりも男性の方が強くやかましさを感じる
- 高い声が最もやかましいと評価される
- 高い声+少ノイズ成分は最も不快度が強い
- 低い声+多ノイズ成分+短間隔もそこそこ不快
- 犬のポジティブな感情と人間の不快度評価とは負の相関関係にあった
- 犬のネガティブな感情と人間の不快度評価とは正の相関関係にあった
- 攻撃性を含んだ声は周波数にかかわらず不快と評価される
- ハンガリーとブラジルの被験者はほとんど同じ評価を下した
大きくて長時間持続するノイズは精神や集中力に悪影響を及ぼすことが確認されていますので、犬の飼い主はハイピッチでキャンキャンと鳴き続けるような声や、ローピッチで攻撃性を感じさせるような吠え声をなるべく出さないよう工夫した方がよいと提言しています。 The communicative relevance of auditory nuisance: Barks that are connected to negative inner states in dogs can predict annoyance level in humans
解説
「女性よりも男性の方が強くやかましさを感じる」という現象の理由としては、女性よりも男性の方が赤ん坊の泣き声に反応しやすいからとか、女性よりも男性の方が犬に対する同情心が薄いからといったものが想定されています。
「高い声が最もやかましい」と評価された理由は、生理学的に人間の耳が低い周波数よりも高い周波数に反応しやすいからかもしれません。また人間の赤ん坊の泣き声に似ていることから、「大変な状況に陥っているのではないか?」という心配が本能的に引き起こされることも関係している可能性があります。 「高い声+少ノイズ成分」はサイレンに近い音です。サイレンは「同じ強さを持っている時、人間の耳は低い音よりも高い音に対する感度が高い」という原理を応用して作られていますが、「緊急を知らせる」という目的がないのに垂れ流される高周波音は、不快以外の何物でもありません。例えば「解体工事現場の油圧ブレーカー」、「バイクのエンジン音」、「歯医者さんのドリル」、そして「犬の無駄吠え」などです。
今回の実験中、「高い声+少ノイズ成分」という不快な鳴き声は、「木に繋がれたまま飼い主がいなくなる」という別離状況において多く観察されたといいます。これと同様、飼い主が外出して家に残された犬は、キャンキャンと鳴き続けて近隣住民に不快感を与えているかもしれません。トラブルに発展する前に、留守番モニターなどでいちど犬の状態を確認しておいた方がよいでしょう。 「高い声」は「遊ぶ」という状況において出やすいとされています。犬を思う存分遊ばせるときは、家の中ではなく屋外やドックランを利用した方が無難かもしれません。
「攻撃性を含んだ声」は番犬として屋外につながれている犬で多く発せられると考えられます。これを機に室内飼いに切り替えてみてはいかがでしょうか。
「高い声が最もやかましい」と評価された理由は、生理学的に人間の耳が低い周波数よりも高い周波数に反応しやすいからかもしれません。また人間の赤ん坊の泣き声に似ていることから、「大変な状況に陥っているのではないか?」という心配が本能的に引き起こされることも関係している可能性があります。 「高い声+少ノイズ成分」はサイレンに近い音です。サイレンは「同じ強さを持っている時、人間の耳は低い音よりも高い音に対する感度が高い」という原理を応用して作られていますが、「緊急を知らせる」という目的がないのに垂れ流される高周波音は、不快以外の何物でもありません。例えば「解体工事現場の油圧ブレーカー」、「バイクのエンジン音」、「歯医者さんのドリル」、そして「犬の無駄吠え」などです。
今回の実験中、「高い声+少ノイズ成分」という不快な鳴き声は、「木に繋がれたまま飼い主がいなくなる」という別離状況において多く観察されたといいます。これと同様、飼い主が外出して家に残された犬は、キャンキャンと鳴き続けて近隣住民に不快感を与えているかもしれません。トラブルに発展する前に、留守番モニターなどでいちど犬の状態を確認しておいた方がよいでしょう。 「高い声」は「遊ぶ」という状況において出やすいとされています。犬を思う存分遊ばせるときは、家の中ではなく屋外やドックランを利用した方が無難かもしれません。
「攻撃性を含んだ声」は番犬として屋外につながれている犬で多く発せられると考えられます。これを機に室内飼いに切り替えてみてはいかがでしょうか。