詳細
明治大学・農学部の研究チームは2006年~2013年の期間、日本全国にある1,198の動物病院から犬の属性(BCS・年齢・性別・不妊手術の有無・犬種)に関するデータを収集し、それらのデータが「BCS4」(太り気味)と「BCS5」(肥満)という犬の体型とどのような関係にあるかを精査しました。
- BCS
- 「BCS」とは「ボディコンディションスコア」の略で、犬の体型を外見から判定するときの指標の一つ。BCS1=「やせすぎ」、BCS2=「やせ気味」、BCS3=「標準体型」、BCS4=「太り気味」、BCS5=「肥満」という対応関係になっている。
BCSの割合
- 平均年齢=8.4 ± 0.05歳
- BCSの中央値=4.0
- BCSの平均値=3.6 ± 0.01
- BCS2=3.7%
- BCS3=41.4%
- BCS4=39.8%
- BCS5=15.1%
BCS4(太り気味)
- 加齢と関連
- 不妊手術を受けた犬は1.4倍
- トイ犬の場合、年齢が1→8歳に上がるにつれ、33.4%→55.1%に上昇
- 中型犬の場合、年齢が1→10歳に上がるにつれ、19.5%→48.9%に上昇
- 不妊手術を受けている中型犬・小型犬・トイ犬は受けていない同体型種よりも太りやすい
- 不妊手術を受けている小型犬・トイ犬は大型犬よりも太りやすい
- 不妊手術を受けていない場合、体の大きさで割合は変わらない
- 都市部よりも郊外の方が割合が高い
- チワワが最高値
元データは1,020の動物病院から収集されたBCS2~4に属する103犬種・4,761頭
BCS5(肥満)
- 加齢と関連
- メスが1.3倍
- 中型犬はトイ犬の1.4倍
- 小型犬の場合、不妊手術を受けた方が太りやすい
- 中型犬の場合、不妊手術を受けていない方が太りやすい
- 不妊手術を受けていない場合、体の大きさによって割合は変わらない
- 人口密度と関係なし
- ミニチュアダックスが最高値
元データは1,094の動物病院から収集されたBCS2~5に属する108犬種・5,605頭Characteristics of obese or overweight dogs visiting private Japanese veterinary clinics
解説
過去に世界各国で行われた肥満率調査によると、「太り気味~明らかな肥満」に属する犬の割合は、アメリカ34.1%、イギリス59.3%、オーストラリア25.0%、中国44.4%となっています。日本で行われた当調査ではBCS4と5の割合が、合計で54.9%という極めて高い割合であることが判明しました。「太り気味」や「肥満」が数々の疾患の危険因子になっていることを考えると、日本国内で暮らしている犬のうち半数以上は何らかの疾病予備軍ということになります。飼い主は「ぽっちゃりしてる方が可愛い」とか「太っていることはしっかり食事を与えられていることの証」といった誤った思い込みを捨て、責任を持ってペットの体重管理をしていく必要があるでしょう。