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世界におけるレプトスピラ症の危険地帯が明らかになる

 WHOなどがを中心となり、動物にも人間にも感染する人獣共通感染症の1つ「レプトスピラ症」に関する世界規模の疫学調査が行われ、危険地帯が明らかになりました(2016.5.9/アメリカなど)。

詳細

「レプトスピラ症」を引き起こすスピロヘータの顕微鏡写真  「レプトスピラ症」は病原性レプトスピラと呼ばれる細菌によって引き起こされる感染症の一種で、肺出血や急性腎不全を引き起こすことで知られています。細菌はネズミを始めとする哺乳動物の尿中に排出され、傷口などを通じて人間の体内にも侵入します。極めてありふれた感染症であるにもかかわらず、これまで世界規模の包括的な疫学研究が行われた事はありませんでした。
 そこでアメリカのYSPH、ブラジルのオズワルドクルーズ基金、スイスのチューリヒ大学、WHOなどからなる共同研究チームは、過去に34ヶ国で報告された80の研究をメタ分析し、各地域における有病率と死亡率をデータ化しました。その結果、世界中で毎年およそ103万人の感染者が出ており、そのうち58,900人が死に至っているとの推定値が出たと言います。また感染者の48%と死亡者の42%は20~49歳の成人男性で占められており、好発地域は南~東南アジア、カリブ海周辺、アンデス山脈周辺、中央~ラテンアメリカ、アフリカのサブサハラ東部であるとも。 世界におけるレプトスピラ症の好発地域一覧図  こうしたデータから研究チームは、人獣共通感染症の中でもレプトスピラ症は極めて重大な位置を占めており、各国はリスクを勘案しながら適切な予防措置をとっていく必要があると警告を発しています。また、マラリアやデング熱といった似た症状を示す他の病気と混同されることが多いため、実際の患者数は推定値よりもっと多いだろうとも。 犬のレプトスピラ症 Global burden of leptospirosis is greater than thought, and growing

解説

 今回の研究では、レプトスピラ症の危険地域が赤色で示されています。これらの地域は、人口10万人で換算した時、年の感染者数が100人を超えるという意味です。具体的には以下の様な国が含まれます。
中南米
  • エクアドル
  • コロンビア
  • ベネズエラ
  • ガイアナ
  • スリナム
  • フランス領ギアナ
  • パナマ
  • コスタリカ
  • キューバ
  • ドミニカ共和国
  • プエルトリコ
アフリカ
  • エチオピア
  • ケニア
東南アジア
  • スリランカ
  • ベトナム
  • カンボジア
  • タイ
  • マレーシア
  • シンガポール
  • インドネシア
  • パプアニューギニア
 上記したような国に旅行をする際は、念のため感染症に気をつけておいたほうが無難だと思われます。現に2000年、ボルネオ島で開催された国際冒険レース「エコチャレンジ2000」では、日本人参加者がレプトスピラの集団感染を起こしています。裸足で土壌に触れたり水に浸かったりする場合は、足に傷がないことを確認し、サンダルを履くといった配慮をした方がよいでしょう。 レプトスピラ感染症