詳細
調査を行ったのは、イギリス・ウエストイングランド大学の動物福祉科学チーム。一般的に「首輪よりもハーネスの方が犬へのストレスが少ない」と言われていますが、その信憑性に関しては「飼い主やドッグトレーナーが語った逸話」という域を出ておらず、しっかりと統制された状況下で実証した報告はありませんでした。調査チームは、散歩をするときはずっと首輪を装着していた「首輪グループ」15頭と、ハーネスを装着していた「ハーネスグループ」15頭とを対象とし、両装具が犬に与えるストレスの度合いを比較しました。
チームはまず犬の飼い主にお願いし、犬がそれまで使用してきた首輪もしくはハーネスを用いて指定の敷地内を20分間散歩してもらい、開始5分後から終了前5分前までの10分間において観察されたストレススコアを基準値として設定しました。ここで用いられたストレススコアとは、犬が不安を感じた時に見せる「カーミングシグナル」と呼ばれる行動のことです。次に、「首輪グループ」にはハーネスを、「ハーネスグループ」には首輪を与え、1週間の肩慣らし期間後、再び20分間の散歩をしてもらい、ストレススコアをカウントしました。
その結果、2つの装具間でストレスのスコアに顕著な違いは見られなかったと言います。ただし、それまで首輪で散歩を行っていた「首輪グループ」では、「耳を後方に引く」というしぐさの頻度が増加したとのこと。この行動に関しては、ストレスの証なのか、それとも飼い主をなだめようとしている宥和行動の一種なのかはよくわからないとしています。こうした事実から調査チームは、首輪よりもハーネスの方が犬へのストレスが少ないという明白な証拠は見出されなかったとの結論に至りました。 The behavioral effects of walking on a collar and harness in domestic dogs (Canis familiaris)
その結果、2つの装具間でストレスのスコアに顕著な違いは見られなかったと言います。ただし、それまで首輪で散歩を行っていた「首輪グループ」では、「耳を後方に引く」というしぐさの頻度が増加したとのこと。この行動に関しては、ストレスの証なのか、それとも飼い主をなだめようとしている宥和行動の一種なのかはよくわからないとしています。こうした事実から調査チームは、首輪よりもハーネスの方が犬へのストレスが少ないという明白な証拠は見出されなかったとの結論に至りました。 The behavioral effects of walking on a collar and harness in domestic dogs (Canis familiaris)
解説
上記した結果から「首輪でもハーネスでもどっちでもいい」と思い込んでしまうのは早合点です。なぜなら、調査に用いられた犬30頭は全て「問題行動の履歴がない」という条件で選別されているからです。もし犬に「リードを激しく引っ張る」という問題行動がある場合、装具が首輪であるかハーネスであるかは極めて重要な意味を持ってきます。例えば以下は首輪がもたらすと考えられるさまざまな弊害の具体例です。
首輪による悪影響
- 眼球への影響 26頭の合計51個の眼球を対象とし、首輪とハーネスが眼内圧に与える影響を比較した。その結果、首輪を装着している時にだけ眼内圧が顕著に高まった。角膜が弱かったり緑内障を抱えている犬においては、首輪の装着による眼内圧の上昇が悪影響を及ぼすものと推測されるため、ハーネスの使用が推奨される(→出典)。
- 脳への影響 犬に対して罰を与える際、チョークチェーンを用いて首吊り状態にしたため、虚血に起因する重度の脳浮腫が起こった。犬は運動失調を示し始め、左にグルグル旋回した後、意識が混濁した。MRI検査の結果、脳内の複数箇所に病変が見出されたため、犬は安楽死を余儀なくされた(→出典)。
- 首への影響 400頭の犬のうち26.9%では首の障害が見られ、そのうち91%では「飼い主がリードを強く引っ張る」もしくは「犬自身がリードを強く引っ張る」という履歴を伴っていた(→出典)。
- その他 推測の域は出ないが、甲状腺機能低下症は首輪による甲状腺の慢性的な炎症が原因ではないか。また前足を病的に舐め続ける肢端舐性皮膚炎は、首の根元の神経が首輪によって障害を受けた結果ではないか(→出典)。