詳細
環境省が犬の咬傷事故に関する最新の統計データ「平成26年度版」を公表しました。
公表されたデータによると、平成26年度における犬の咬傷事故件数は全部で4,364件(うち人が関わらないものは155件)で、過去3年と比べてほぼ横ばい状態にあることが明らかになりました。以下は、その他の詳細データです。

咬傷犬の登録状況
咬傷事故を起こした犬の登録状況を見ると、全体の91%が飼い犬であり、そのうち登録済みのものが84%を占めていることがわかります。「首輪のついていない野良犬に噛まれる」という状況が、もはや一昔前のことであることが伺えます。

咬傷事故の被害状況
咬傷事故の具体的な内容を見てみると、人間を死に至らしめるような重大なものは全体の0.067%と、極めて稀なケースであることがわかります。また人間に対する咬傷事故では、全体のおよそ92%において「飼い主・家族以外」に牙が向けられているようです。

咬傷事故の発生状況
咬傷事故が発生した時の状況を見てみると、「係留運動中」、すなわち犬にリードを付けて散歩中に発生するケースが全体の3割に達しているようです。一方、田舎などで多い「放し飼い」による咬傷事故も、全体の25%と侮れない数字になっています。

事故時の被害者の状況
人間が咬傷事故に巻き込まれてしまった時の状況を見てみると、「通行中」が全体の49.5%と大多数を占めていることが伺えます。犬とすれ違う際、何らかの刺激が引き金となり、犬の興奮性が急上昇して噛み付きにつながってしまうのかもしれません。

咬傷犬の命運
咬傷事故を起こした犬のその後の顛末を見てみると、飼い主によって飼育が継続されることがほとんどのようです。咬傷事故の大部分が飼い犬によって起こされており、また被害者のほとんどが家族以外であることを考え合わせると、犬の飼い主と事故の被害者との間で、比較的速やかに示談が成立することが多いのかもしれません。

咬傷事故の発生場所
咬傷事故が起こった場所を見てみると、犬が日常的に暮らしている犬舎の周辺(28%)よりも、散歩などによって自分のテリトリーから離れたとき(58%)の方が事故が起こりやすいようです。この事実は「通行中に噛まれることが多い」という先述したデータとも符合します。
データ全体をまとめると通行中、見知らぬ犬と接近した際に咬傷事故が起こりやすいとなります。この事実は、犬を飼っていて加害者になる可能性がある人も、犬を飼っておらず被害者になる可能性がある人も覚えておいて損はないでしょう。
犬による咬傷事故件数(環境省)

解説
犬による咬傷事故は百害あって一利なしです。被害者は咬み傷や二次感染症に苦しみ、飼い主の管理上の問題から咬傷事故が発生したと行政が判断した場合は、犬が保健所に収容されて最終的に殺処分という憂き目に遭うことだってありえます。被害の状況によっては、飼い主が「重過失傷害」で訴えられることもありますので、可能な限り避けたいものです。以下のページでは咬傷事故予防のためのヒントについて記載してありますのでご参照ください。