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犬の腸重積~症状・原因から治療・予防法まで

 犬の腸重積(ちょうじゅうせき)について病態、症状、原因、治療法別に解説します。病気を自己診断するためではなく、あくまでも獣医さんに飼い犬の症状を説明するときの参考としてお読みください。なお当サイト内の医療情報は各種の医学書を元にしています。出典一覧はこちら

犬の腸重積の病態と症状

 犬の腸重積とは、腸の一部が内側にめくれ、隣り合う部分の内部に入り込んでしまった状態を言います。 正常な腸管の縦断面図、および重積を起こした腸管の縦断面図  折り重なった下の腸管を「嵌入部」(かんにゅうぶ)、上に覆いかぶさった腸管を「嵌入鞘」(かんにゅうしょう)と呼びます。重積は基本的にどこでも起こりうる病態ですが、最も多いのが小腸と結腸の移行部に当たる「回盲腸部」で、それに「盲腸~結腸移行部」、「十二指腸~胃移行部」、「胃~食道移行部」などが続きます。
 腸の折り重なった部分は正常の大きさに広がることができないため、内容物が滞留を起こして腸閉塞につながることもしばしばです。腸が完全にふさがってしまうと、血液がせき止められて組織が壊死を起こし、命にまで危険が及ぶため、緊急の手術が必要となります。
 犬の腸重積の主な症状は以下です。
犬の腸重積の主症状
  • 腹部へのタッチを嫌がる
  • 食欲不振
  • 嘔吐
  • 脱水症状
  • しぶり腹(便を出そうとするが出ない)

犬の腸重積の原因

 重積が発生するメカニズムは不明ですが、おそらく消化物を先へ送り出す蠕動運動(ぜんどううんどう)の不調和や、腸管内腔の急激な拡大によって引き起こされると考えられています。蠕動運動の異常を招く原因としては、主に以下のようなものがあります。
犬の腸重積の主な原因
  • 大腸炎
  • 下痢
  • 寄生虫
  • 腸内の腫瘍
  • 異物
  • 過去に行った手術

犬の腸重積の治療

 犬の腸重積の治療法としては、主に以下のようなものがあります。
犬の腸重積の主な治療法
  • 重積部分の整復  犬が脱水症状に陥らないよう輸液を行いながら、重積部分を整復します。腸自体に障害がなければ、腸管を元の状態に戻すだけで症状が消えます。
  • 外科手術  症状が重く、血行障害で重積部分が壊死(えし)を起こしている場合は、外科手術によって患部の切除が行われます。