プラク-ティック®とは?
「プラク-ティック®」はピリプロール(pyriprole)を有効成分とする犬向けのノミ・マダニ駆除製品。日本国内ではスポットオン(滴下投与式)が動物医薬品として認可されています。なお真ん中にある横棒は音を伸ばして発音する長音符ではなくハイフンです。
ピリプロールの効果
ピリプロールはフェニールピラゾール系に属する殺虫・殺ダニ剤の一種。ノミやダニの神経末端にあるリガンド開口型のクロライドチャンネルの中でも、特に抑制調節に関与しているGABA受容体に作用し、塩素イオンの流れをブロックすることで中枢神経系の混乱を招いて殺虫効果を示します。
はっきりとした作用機序は解明されていませんが、おそらく同じフェニールピラゾール系に属するフィプロニル(fipronil)と同じメカニズムを通じて害虫に対する特異的な結合能を発揮するものと推測されています。ノミに対しては投与から24時間以内、ダニに対しては48時間以内に駆除が完了し、効果はともに4週間ほど持続します。
ピリプロールの代謝
ピリプロールの毒性・副作用
ピリプロールを大量に体内に取り込んだときに引き起こされる副作用に関しては、動物種によって少し違うようです。
ラットにおける毒性・副作用
犬における毒性・副作用
犬においては甲状腺や肝臓よりも神経系に影響が出やすいようです。推奨の1倍、2倍、10倍量を単回滴下投与した毒性試験では、10倍量グループで筋硬直、ひきつけ発作、足元のふらつき、虚弱などの副作用が引き起こされたといいます。また投与3日後からは一部の犬で嘔吐と食欲不振が見られたとも。食欲不振を除き、これらの副作用は48時間以内に自然回復したそうです。
推奨の1倍、3倍、5倍量を月1回のペースで6ヶ月に渡って反復滴下投与した毒性試験では、3倍量グループにおいて投与直後に協調性不全やふらつきが見られたものの3時間ほどで回復したといいます。5倍量グループでは同様の副作用が見られなかったものの、一部で振戦、運動失調、パンティング(荒い呼吸)、ひきつけが見られ、これらの副作用は18時間以内に自然回復したそうです。
その他、変異原性、発生毒性、皮膚感作性(アレルギーを引き起こす)、光毒性(成分と光が反応して有害反応を招く)、免疫毒性は確認されていません。げっ歯類では甲状腺腫と因果関係があるとされていますが、人間や犬に対する影響はないだろうと見られています。ラットを対象とした催奇形性に関する毒性試験では、妊娠中の母親におけるNOELが体重1kg当たり1日4mg、母体内の胎子におけるNOELが8mgと見積もられています(:EMA factsheet)。 製品の添付文書に明記されている副作用としては、被毛では変色、脱毛、ごわつき、皮膚ではそう痒、発赤が挙げられます。また誤って経口投与した場合はけいれん、振戦、運動失調、呼吸異常などの神経症状が引き起こされる危険性があり、死亡を含めた重篤な症状につながった例もあったとのこと。
日本国内の動物医薬品データベースではプラク-ティック®による死亡例を含めた副作用事例がかなり報告されています。2007年に承認されてから10年以上経過しているためそれなりの事例蓄積は致し方ないとは言え、単一の有効成分しか含んでいない割にはやや多いなという印象を受けます。
推奨の1倍、3倍、5倍量を月1回のペースで6ヶ月に渡って反復滴下投与した毒性試験では、3倍量グループにおいて投与直後に協調性不全やふらつきが見られたものの3時間ほどで回復したといいます。5倍量グループでは同様の副作用が見られなかったものの、一部で振戦、運動失調、パンティング(荒い呼吸)、ひきつけが見られ、これらの副作用は18時間以内に自然回復したそうです。
その他、変異原性、発生毒性、皮膚感作性(アレルギーを引き起こす)、光毒性(成分と光が反応して有害反応を招く)、免疫毒性は確認されていません。げっ歯類では甲状腺腫と因果関係があるとされていますが、人間や犬に対する影響はないだろうと見られています。ラットを対象とした催奇形性に関する毒性試験では、妊娠中の母親におけるNOELが体重1kg当たり1日4mg、母体内の胎子におけるNOELが8mgと見積もられています(:EMA factsheet)。 製品の添付文書に明記されている副作用としては、被毛では変色、脱毛、ごわつき、皮膚ではそう痒、発赤が挙げられます。また誤って経口投与した場合はけいれん、振戦、運動失調、呼吸異常などの神経症状が引き起こされる危険性があり、死亡を含めた重篤な症状につながった例もあったとのこと。
日本国内の動物医薬品データベースではプラク-ティック®による死亡例を含めた副作用事例がかなり報告されています。2007年に承認されてから10年以上経過しているためそれなりの事例蓄積は致し方ないとは言え、単一の有効成分しか含んでいない割にはやや多いなという印象を受けます。
プラク-ティック®
プラク-ティック®の使い方
- いつから使える?使用条件は3ヶ月齢以降、体重は2kg以上とされています。
- 使用頻度は?効果が6週間であることから1~1.5ヶ月に1回くらいのペースでの使用が望ましいとされています。
- 使用期間は?ノミは通年性で生息していますので1年中使用することが望ましいとされています。
- 料金は?動物病院、犬の体の大きさ(体重)、体重に連動したピペットのサイズ、使用頻度によって合計費用は変動しますが、病院で処方される1本の料金はSサイズなら800~1,100円程度、XLサイズなら1,400~1,500円程度です。なお通信販売自体は違法ではないものの、当製品は動物用医薬品ですので獣医師による診察と処方が理想とされます。
- 付け方は? 犬の肩甲骨間の被毛をかき分け、使い切りのピペットを皮膚に直接滴下して使います。大きいサイズの場合は滴下部位を2ヶ所に分けても構いません。
- 使用量は?
製品1mL中に含まれるピリプロールの量は125mgです。有効最低量は、体重1kg当たり12.5mgとされており、犬の体重に合わせて以下のような使用基準が設けられています。なお体重が50kg以上ある場合は一番大きい5.0mLピペット(XL)ともう1つ別の1サイズを体重に合わせて与えます。
✓2kg~4.5未満→0.45mL(S)
✓4.5kg~11kg未満→1.1mL(M)
✓11kg~22kg未満→2.2mL(L)
✓22kg~50kg未満→5.0mL(XL) - 使用上の注意は?使用する際の注意点は「用法(3ヶ月齢以降)や用量(体重1kg当たり12.5mg)を厳守すること」「獣医師の指示とともに与えること」「猫やウサギなど犬以外には使用しないこと」「使用期限が過ぎたものを使わない」などです。滴下前は皮膚と被毛がよく乾いていることを確認すること、滴下後は乾くまで触らないこと、水浴びは8時間以降、お風呂やシャンプーは24時間以降にすることが指示されています。また病み上がりで弱っている犬、妊娠中や出産後のメス犬には投与しないよう明記されています。
プラク-ティック®の効果
以下はノミとダニに対する「プラク-ティック®」(ピリプロール)の駆虫効果を検証した調査結果です。
ネコノミへの即効性
ネコノミへの効果持続期間
24頭の犬たちをランダムで18頭と6頭からなる2つのグループに分け、18頭にだけピリプロール(12%溶液/1kgにつき0.1mL)を滴下投与し、投与から11→18→26→39→46→53日目のタイミングで腰のあたりに1000匹のネコノミを寄生させました。そして寄生から3日が経過したタイミングでノミの体表生存数を確認したところ、57日目を除くすべての評価ポイントにおいて90%超の駆除率が確認されたといいます。
また床にカーペットが敷かれているネコノミが繁殖しやすい実験環境を用意し、16頭の犬たちをランダムで2つのグループに分け、一方にだけピリプロール(12%溶液/1kgにつき0.1mL)を1ヶ月間隔で合計2回滴下投与して環境内で生活してもらいました。50匹のネコノミに1→7→14日目のタイミングで曝露した上で、複数のタイムポイントで体表生存数をカウントしたところ、60日間に渡る実験期間中における駆除率はどれも100%だったといいます(:Barnett, 2008)。
また床にカーペットが敷かれているネコノミが繁殖しやすい実験環境を用意し、16頭の犬たちをランダムで2つのグループに分け、一方にだけピリプロール(12%溶液/1kgにつき0.1mL)を1ヶ月間隔で合計2回滴下投与して環境内で生活してもらいました。50匹のネコノミに1→7→14日目のタイミングで曝露した上で、複数のタイムポイントで体表生存数をカウントしたところ、60日間に渡る実験期間中における駆除率はどれも100%だったといいます(:Barnett, 2008)。
ネコノミの成長阻害効果
24頭の犬たちをランダムで18頭と6頭からなる2つのグループに分け、一方にだけピリプロール(12%溶液/1kgにつき0.1mL)を滴下投与し、およそ2ヶ月に及ぶ投薬試験中に設けられた12のタイムポイントで、犬の体表や寝床から最低300個のネコノミの卵を採取したところ、投与グループにおいては42日目までに採取された卵は1個もなかったといいます。また投与から56日目(8週目)までの虫卵減少率は90%超だったとも。
さらに犬の体からフケ、便、被毛を100mg採取し、50匹のネコノミ幼虫に接触させたところ、滴下投与から30日以内における成虫への成長阻害効果は68.9~93.5%でしたが、数値にはばらつきがあり、時間の経過とともに効果が薄れることが確認されました(:Barnett, 2008)。
さらに犬の体からフケ、便、被毛を100mg採取し、50匹のネコノミ幼虫に接触させたところ、滴下投与から30日以内における成虫への成長阻害効果は68.9~93.5%でしたが、数値にはばらつきがあり、時間の経過とともに効果が薄れることが確認されました(:Barnett, 2008)。
マダニの駆除効果
16頭の犬たちをランダムで2つのグループに分け、一方にだけピリプロール(1kgにつき12.5mg)を滴下投与し、1ヶ月間に渡ってマダニ(I.ricinus)に対する駆除効果を検証しました。さまざまなタイミングで未吸血のマダニ50匹に曝露し、曝露から48時間が経過した時点における体表生存数を確認したところ、すべてのチェックポイントにおいて駆除率が100%だったといいます。また同じデザインでクリイロコイタマダニ(R.sanguineus)の試験を行ったときの駆除率は100%、アミメカクマダニ(D.reticulatus)の試験を行ったときの駆除率は98.9%だったとも(:Schuele, 2008)。
別の調査では、30日間の駆除効果に関しシカダニ(I.scapularis)が96%、アメリカイヌカクマダニ(D.variabilis)とローンスターティックダニ(A.americanum)が90%超と報告されています(:EPA datasheet)。
別の調査では、30日間の駆除効果に関しシカダニ(I.scapularis)が96%、アメリカイヌカクマダニ(D.variabilis)とローンスターティックダニ(A.americanum)が90%超と報告されています(:EPA datasheet)。