小首をかしげる犬は天才?
調査を行ったのは ハンガリーにあるエトヴェシュ・ロラーンド大学のチーム。おもちゃに対する執着心が強い普通の家庭犬33頭と、ギフテド・ワード・ラーナー(GWL)7頭を対象とし、犬でよく見られる小首をかしげる動作(ヘッドティルト, head tilt)と言語の学習能力との間にどのような関係性があるかを検証しました。
また犬によって首をかしげる方向が決まっており、GWLだけを対象として行われた追加実験2でも追認されました。さらにベットティルトが生じるのは飼い主の言葉に注意を向けている時だけで、飼い主と犬との相対な位置は無関係だったとも。 An exploratory analysis of head-tilting in dogs
Sommese, A., Miklosi, A., Pogany, A. et al.. Anim Cogn (2021), DOI:10.1007/s10071-021-01571-8
- ギフテド・ワード・ラーナー
- 「ギフテド・ワード・ラーナー(Gifted Word Learner, GWL)」とはほんの数回の反復練習をしただけで対象物と名前のリンクを学習してしまう犬のこと。多くの犬を対象とした実験により、すべての犬がこの言語能力を備えているわけではないことが確認されている。
また犬によって首をかしげる方向が決まっており、GWLだけを対象として行われた追加実験2でも追認されました。さらにベットティルトが生じるのは飼い主の言葉に注意を向けている時だけで、飼い主と犬との相対な位置は無関係だったとも。 An exploratory analysis of head-tilting in dogs
Sommese, A., Miklosi, A., Pogany, A. et al.. Anim Cogn (2021), DOI:10.1007/s10071-021-01571-8
首の位置は音源定位か言語処理か
犬が首をかしげる方向は、飼い主と犬との相対な位置とは無関係でした。この事実から「首を傾けることで音の強さや耳に届くまでの時間差を瞬時に計算し、音源の方向と距離を測っている」という仮説は、少なくとも言葉を聞いているときには通用しないようです。
その代わり調査チームは、通常犬よりもGWLで圧倒的に高い頻度で観察されたことから、言語の学習能力が高い犬に特有の注意力の高さ、集中力、記憶の中で音声的な情報と視覚的な情報をクロスモーダルにリンクする能力を反映しているのではないかという仮説を提唱しています。また犬に関しては鼻、前足、しっぽ、脳に側性(Laterarity=左右どちらか一方を優先的に使用する傾向)が確認されていることから、「利き耳」や言語処理に関わる「利き脳」のようなものがあるのかもしれないとも。
ちなみにGWLは全頭がボーダーコリーでしたが、非GWL33頭中18頭もがボーダーコリーだったことから、少なくともすべてのボーダーコリーが高い言語学習能力を備えているわけではないと言及されています。
ちなみにGWLは全頭がボーダーコリーでしたが、非GWL33頭中18頭もがボーダーコリーだったことから、少なくともすべてのボーダーコリーが高い言語学習能力を備えているわけではないと言及されています。
首を左右に傾けるときは「音源定位」、どちらか一方にだけ傾けるときは「言語処理」という使い分けでしょうかね。