コンドロイチンとグルコサミン
コンドロイチンとはムコ多糖類(グリコサミノグリカン)の一種です。コンドロイチン硫酸と言った場合は糖鎖に硫酸が結合した構造を指します。軟骨においては軟骨細胞の外にコラーゲンとともに存在しており、衝撃を和らげるクッションとして機能しています。一方、グルコサミンとは単糖であるブドウ糖(グルコース)にアミノ基 (-NH2) が付いたアミノ糖の一種です。動物の皮膚や軟骨、カニやエビなどの殻、キノコ類などに多く含まれています。
両者は共に「グリコサミノグリカン」に属しており、軟骨内に存在していることから「関節を構成している軟骨を丈夫にしてくれるはずだ」という仮定のもと、さまざまなサプリメントに使われています。しかし2005年以降、コンドロイチンとグルコサミンの影響に関して行われた調査では、ほとんどが「効果なし」という結論に至っているのが現状です。現在も「関節に良い」とか「関節の動きをなめらかにする」といった効能書きで売られていますが、これは正当な主張なのでしょうか?それとも誇大広告なのでしょうか?

グリコサミノグリカンの効果
コンドロイチンとグルコサミンに関しては人間や動物(主として犬)を対象とした膨大な数の調査報告があります。結論を簡潔に表すと、効果がないと断言することはできないものの、効果があると断言することもできないというふわふわした状態が続いています。
人間に対する効果
人間を対象としたグリコサミノグリカンの調査では、主として変形性関節症や関節炎を抱えた人への経口投与が行われました。
コンドロイチンの効果
1980年代から2001年までの調査報告では、股関節や膝の変形性関節症を抱えた患者において痛みの軽減が見られたという報告が散見されます。しかしこうした調査の多くは「鎮痛薬」「非ステロイド系抗炎症薬(NSAIDs)」「アスコルビン酸」「マンガン」といった全く別の成分が併用されています。結果としてコンドロイチンに効果があったのか、それともその他の成分に効果があったのか、それとも複数の成分による相乗効果なのかが判然としません。
例えば1996年1月~2007年10月の期間に行われた調査報告のうち、「二重盲検無作為化比較試験」という信頼性の高いデザインが採用された4報をメタ分析した所、コンドロイチン硫酸の投与が膝の骨関節炎患者における関節腔の減少を抑制したとされています(→Hochberg, 2008)。
その一方、2010年6月までの期間に行われた調査報告のうち、200名以上を対象とした大規模な無作為化比較試験10報をメタ分析した所、グルコサミン単独投与、コンドロイチン硫酸単独投与、および両者の併用は膝や腰の変形性関節症患者の痛み、関節腔の狭小化に影響は与えなかったとされています(→Wandel, 2010)。
上記したように、コンドロイチン(硫酸)の人間に対する効果は相反する2つの報告があるためよくわかっていません。傾向としては、2005年以降に行われた調査では「効果なし」という結論に傾いているようです。2005年以前に行われた調査では、そもそも実験デザインに不備があったり、「コンドロイチンの有効性を証明してほしい」という企業からの商業的なバイアスがかかっていた可能性が考えられます。
例えば1996年1月~2007年10月の期間に行われた調査報告のうち、「二重盲検無作為化比較試験」という信頼性の高いデザインが採用された4報をメタ分析した所、コンドロイチン硫酸の投与が膝の骨関節炎患者における関節腔の減少を抑制したとされています(→Hochberg, 2008)。
その一方、2010年6月までの期間に行われた調査報告のうち、200名以上を対象とした大規模な無作為化比較試験10報をメタ分析した所、グルコサミン単独投与、コンドロイチン硫酸単独投与、および両者の併用は膝や腰の変形性関節症患者の痛み、関節腔の狭小化に影響は与えなかったとされています(→Wandel, 2010)。
上記したように、コンドロイチン(硫酸)の人間に対する効果は相反する2つの報告があるためよくわかっていません。傾向としては、2005年以降に行われた調査では「効果なし」という結論に傾いているようです。2005年以前に行われた調査では、そもそも実験デザインに不備があったり、「コンドロイチンの有効性を証明してほしい」という企業からの商業的なバイアスがかかっていた可能性が考えられます。
グルコサミンの効果
グルコサミンはグルコサミン塩酸塩またはグルコサミン硫酸塩という形で経口投与されます。主な対象は関節の痛み、関節炎、変形性関節症などです。グルコサミンの効果に関してもコンドロイチン同様、明確に証明されているわけではありません。
例えば2008年6月までの期間に行われた調査報告のうち、無作為化比較試験2報をメタ分析したところ、グルコサミン硫酸塩を3年間という長期に渡って投与された変形性関節症の患者では、関節腔の狭小化がわずかに抑えられたとされています(→Lee YH, 2010)。
その一方、2014年3月までの期間に行われた無作為化プラセボ比較試験5報をメタ分析した所、グルコサミン塩酸塩またはグルコサミン硫酸塩の投与は短期間(3~6ヶ月)だろうと長期間(2年)だろうと、変形性関節症患者における痛みや機能を改善しなかったとされています(→Ann Rheum, 2017)。
効果の有無が多数決で決まるわけではありませんが、過去にグルコサミンを対象として行われた調査結果を見てみると、「効果がなかった」という結論に至っているものがかなり多いという印象を受けます。相反する2つの報告があるため、真実に関しては判然としません。
例えば2008年6月までの期間に行われた調査報告のうち、無作為化比較試験2報をメタ分析したところ、グルコサミン硫酸塩を3年間という長期に渡って投与された変形性関節症の患者では、関節腔の狭小化がわずかに抑えられたとされています(→Lee YH, 2010)。
その一方、2014年3月までの期間に行われた無作為化プラセボ比較試験5報をメタ分析した所、グルコサミン塩酸塩またはグルコサミン硫酸塩の投与は短期間(3~6ヶ月)だろうと長期間(2年)だろうと、変形性関節症患者における痛みや機能を改善しなかったとされています(→Ann Rheum, 2017)。
効果の有無が多数決で決まるわけではありませんが、過去にグルコサミンを対象として行われた調査結果を見てみると、「効果がなかった」という結論に至っているものがかなり多いという印象を受けます。相反する2つの報告があるため、真実に関しては判然としません。
犬に対する効果
グリコサミノグリカンに関する調査報告でも詳述しますが、グルコサミンやコンドロイチンに関してはこれまで、関節炎もしくは変形性関節症を抱えた犬を対象とした膨大な数の調査が行われてきました。現状をまとめて一行で表すと効果があるともないとも断言できないといったところです。調査ごとに以下のような相違があるため、複数の報告間の単純な比較ができません。このことが結論の一般化を阻んでいます(→Bhathal A, 2017)。
調査間の相違点
- 使用されている成分の原料
- メーカーの製造プロセス
- 成分の組み合わせ
- 使用容量
- 摂取の仕方
- 摂取期間
調査デザインの不備
- データセットが不完全
- 追跡調査中に不明な理由で調査対象がドロップアウトしている
- 飼い主や獣医師による標準化されていない主観評価が採用されている
- 調査資金をメーカーが提供していることによるファンディングバイアスの可能性を否定できない(=企業にとって有利な結論を導く)
- 調査対象数が少ないため結論を一般化できない
- 比較対象となるベースラインの定義が一定していない
- 化学的もしくは外科的な手法によって人為的に誘発された関節炎と自然発生した関節炎は比較できない
- 研究施設で飼育されているラボ犬と一般家庭で飼育されているペット犬は比較できない
グリコサミノグリカンの副作用
コンドロイチンとグルコサミンが「投与したけれども効果がなかった」というだけなら、せいぜい懐が痛むくらいで大した問題にはなりません。しかし「健康被害が生じた」というなら話は別です。場合によっては積極的に摂取を避ける必要があります。実は人間においても動物(犬)においても、コンドロイチンやグルコサミンの摂取が原因と考えられる健康被害の症例が報告されています。
人間に対する副作用
人間において報告されているコンドロイチンの副作用は「注射による水疱の形成や紅斑」「経口摂取による肝機能障害」「経口摂取による急性肝炎」「経口摂取による薬剤性肺炎」などです。しかしこうした症例の多くはコンドロイチン以外の成分も同時に摂取していますので、コンドロイチンが有害作用を引き起こしたのかどうかに関してはよくわからないこともしばしばです。
例えばフランス食品環境労働衛生安全庁(ANSES)が2009年から行っている栄養監視対策システムにおいて、関節痛のサプリメント摂取が原因と考えられる3例の有害事象が報告されました(→出典)。そのうち2例は肝炎で、グルコサミンやコンドロイチンを含む関節炎のサプリメントとの因果関係に関しては、軽症の1例が「あるだろう」、重症の1例が「ほぼあるだろう」と判断されています。どちらも明確な因果関係の証明には至っていません。
例えばフランス食品環境労働衛生安全庁(ANSES)が2009年から行っている栄養監視対策システムにおいて、関節痛のサプリメント摂取が原因と考えられる3例の有害事象が報告されました(→出典)。そのうち2例は肝炎で、グルコサミンやコンドロイチンを含む関節炎のサプリメントとの因果関係に関しては、軽症の1例が「あるだろう」、重症の1例が「ほぼあるだろう」と判断されています。どちらも明確な因果関係の証明には至っていません。
犬に対する副作用
犬においてもコンドロイチンが原因と考えられる健康被害の症例報告があります。
例えば2008年から2009年の期間、関節用サプリメントが原因と考えられる肝不全の症例がASPCAに21例報告されたといいます(→Irma J. Nobles, 2015)。こうした症例の多くはサプリの摂取をストップすることによって肝機能が戻りますが、ごくまれに慢性肝炎に発展したり劇症肝炎で死亡してしまうケースもあるとのこと。
人間の場合と同様、難しいのは状況に紛れが多すぎるという点です。例えば多くのケースでは、コンドロイチンだけを摂取していたわけではなくその他の成分も同時に摂取しています。またサプリメントの製造過程において重金属や殺虫剤に汚染され、コンドロイチン自体は無関係という可能性も否定できません。製造ロットによって含有成分にばらつきが出てしまうこともあるでしょう。さらにサプリを摂取した犬が肝臓などに持病を抱えた状態だと、通常であれば問題ない容量でも何らかの悪影響を及ぼしてしまう危険性があります。
このように状況に紛れが多いため、「グリコサミノグリカン=犯人」と断定することはほとんどのケースでは不可能です。
例えば2008年から2009年の期間、関節用サプリメントが原因と考えられる肝不全の症例がASPCAに21例報告されたといいます(→Irma J. Nobles, 2015)。こうした症例の多くはサプリの摂取をストップすることによって肝機能が戻りますが、ごくまれに慢性肝炎に発展したり劇症肝炎で死亡してしまうケースもあるとのこと。
人間の場合と同様、難しいのは状況に紛れが多すぎるという点です。例えば多くのケースでは、コンドロイチンだけを摂取していたわけではなくその他の成分も同時に摂取しています。またサプリメントの製造過程において重金属や殺虫剤に汚染され、コンドロイチン自体は無関係という可能性も否定できません。製造ロットによって含有成分にばらつきが出てしまうこともあるでしょう。さらにサプリを摂取した犬が肝臓などに持病を抱えた状態だと、通常であれば問題ない容量でも何らかの悪影響を及ぼしてしまう危険性があります。
このように状況に紛れが多いため、「グリコサミノグリカン=犯人」と断定することはほとんどのケースでは不可能です。
グリコサミノグリカンの注意点
足腰が悪い犬の飼い主は、「関節に良い」と聞くとついついその商品を購入してしまいたくなります。しかし最低限の注意点を念頭に置いておかなければ、お金を無駄にするだけでなく犬の健康を損なってしまう危険性すらあります。
日本国内においてペット向けに製造されているコンドロイチンやグルコサミンは「医薬品的効能効果を標ぼうしない限り医薬品と判断しない成分本質(原材料)」に区分されています。要するに効能や効果をラベルや広告に記載したら「医薬品」として薬機法(※旧薬事法のこと/医薬品医療機器等法)の規制を受け、記載しなかったら「ペットフード」としてペットフード安全法の規制を受けるということです。
日本国内においてペット向けに製造されているコンドロイチンやグルコサミンは「医薬品的効能効果を標ぼうしない限り医薬品と判断しない成分本質(原材料)」に区分されています。要するに効能や効果をラベルや広告に記載したら「医薬品」として薬機法(※旧薬事法のこと/医薬品医療機器等法)の規制を受け、記載しなかったら「ペットフード」としてペットフード安全法の規制を受けるということです。
ラベルの法律違反例
日本国内で市販されている犬猫用サプリメントを見ると、明らかに法律違反をおかしている商品が見受けられます。例えばラベルやペッケージに以下のような記載がある商品などです。
また仮に動物医薬品として承認されていたとしても、薬機法第66条では「虚偽・誇大広告の禁止」が明記されています。こうした広告には「根拠となる学術データのうち、その食品にとって不都合な箇所を無視し有利な箇所のみを引用する」や「適切な方法によって実証されていない学術データだけを都合よく引用する」なども含まれますので、一方的にいいことばかりを書き、「効果がなかった」という都合の悪い報告を隠蔽するのはやはり薬機法違反となるでしょう。
効能効果の標榜・例
- 関節痛等の緩和と予防のためにぜひお試しください
- あらゆる関節症から愛犬を守るために生まれた本格的サプリメント
- 椎間板ヘルニア、股関節形成不全、膝蓋骨脱臼、股関節形成不全に
- 健康な関節を維持します
また仮に動物医薬品として承認されていたとしても、薬機法第66条では「虚偽・誇大広告の禁止」が明記されています。こうした広告には「根拠となる学術データのうち、その食品にとって不都合な箇所を無視し有利な箇所のみを引用する」や「適切な方法によって実証されていない学術データだけを都合よく引用する」なども含まれますので、一方的にいいことばかりを書き、「効果がなかった」という都合の悪い報告を隠蔽するのはやはり薬機法違反となるでしょう。
飼い主の注意点・心がけ
日本国内においても世界中においても、グルコサミンやコンドロイチンの効果は明確に証明されていません。人間向けの第3類医薬品としては、コンドロイチン硫酸塩を含んでいる商品が2千近くありますが、「適切な方法によって実証されていない学術データだけを都合よく引用」しているような商品が大半ですので、そもそも医薬品として承認してよいのかどうかすら疑わしいものです。犬や猫の飼い主として注意すべき点は以下のようになるでしょう。
ペット用サプリの注意事項
- グルコサミンの効果は証明されていない
- コンドロイチンの効果は証明されていない
- 効果や効能を謳ったペット用サプリはそもそも薬機法に違反している
- わずかながら副作用(肝障害)の危険性もある
便利なACCLAIMシステム
サプリメントを選ぶ際は「ACCLAIM」と呼ばれるチェックシステムを用いて選ぶのが効率的です(→Stacey L., 2009)。少々強引なこじつけもありますが、日本においても役立ちそうなのでご紹介しておきます。
2003年~2008年の期間、国民生活センターのPIO-NET(全国消費生活情報ネットワーク・システム)に寄せられたコンドロイチン硫酸やグルコサミンを含む健康食品についての相談は1,193 件に上ったといいます。そこでセンターは2008年の2月~3月の期間、コンドロイチン硫酸の量が一日最大摂取目安量当たり900mgを超える可能性がある18銘柄を市販商品の中から選び出し、中に含まれている成分が本当にラベル通りかどうかを検証しました(→国民生活センター)。
その結果、すべての商品がラベルよりも含有量が少なく、ひどいものでは36~64%も額面割れしていたといいます。さらにラベルには「サメ由来のコンドロイチン硫酸を含む」と記載されていたにもかかわらず、実際には陸生哺乳動物由来のコンドロイチンが使用されている銘柄が3つ見つかったとのこと。
センターは、含有量が少ない場合は「景品表示法」、ミスラベルの方は「JAS法」に違反している可能性が高いと指摘しています。人間用の商品ですらこのありさまですから、動物用の商品にクオリティを期待するのは程々にしたほうが良いでしょう。
サプリのACCLAIMチェック
- A=A name you recognize? 知名度の高い会社が製造しているか? | 獣医師や消費者に対して製品に対する教育的な資料(evidence)を提供できるか?
- C=Clinical experience医学的なリサーチ(代謝・毒性・効果)を行い投与・給餌試験を行っているか? | 調査内容は査読つきの専門誌に発表されているか?
- C=Contents 含有成分がすべてもれなくラベルに記載されているか?
- L=Label claims効能書きで大風呂敷を広げていないか? | 個人の感想や逸話ではなく科学的な知見にのっとったデータはあるか? | 違法な表現(診断・治療・治す・病気を予防する)をしていないか?
- A=Administration recommendations 投与上の注意点は明確か? | 量を計算しやすいか?
- I=Identification of lot ロットナンバーがしっかり記載されておりトレーサビリティは保たれているか?
- M=Manufacturer information会社情報は記載されているか? | 消費者サポートセンターは充実しているか?
2003年~2008年の期間、国民生活センターのPIO-NET(全国消費生活情報ネットワーク・システム)に寄せられたコンドロイチン硫酸やグルコサミンを含む健康食品についての相談は1,193 件に上ったといいます。そこでセンターは2008年の2月~3月の期間、コンドロイチン硫酸の量が一日最大摂取目安量当たり900mgを超える可能性がある18銘柄を市販商品の中から選び出し、中に含まれている成分が本当にラベル通りかどうかを検証しました(→国民生活センター)。
その結果、すべての商品がラベルよりも含有量が少なく、ひどいものでは36~64%も額面割れしていたといいます。さらにラベルには「サメ由来のコンドロイチン硫酸を含む」と記載されていたにもかかわらず、実際には陸生哺乳動物由来のコンドロイチンが使用されている銘柄が3つ見つかったとのこと。
センターは、含有量が少ない場合は「景品表示法」、ミスラベルの方は「JAS法」に違反している可能性が高いと指摘しています。人間用の商品ですらこのありさまですから、動物用の商品にクオリティを期待するのは程々にしたほうが良いでしょう。
グリコサミノグリカンに関する調査報告
以下でご紹介するのは、犬を対象として行われたコンドロイチンやグルコサミンの給餌試験の結果です。原文リンクを貼っておきますので、ご興味のある方はご自身で精読してみてください。人間向けであれ犬猫向けであれ、グリコサミノグリカン含有商品を製造しているメーカーは、膨大な調査の中から「効果がなかった」という報告を都合よくカットし、「効果があった」という報告だけをラベルなどに記載しています。
Clinical evaluation of a nutraceutical, carprofen and meloxicam for the treatment of dogs with osteoarthritis
Moreau et al, Veterinary Record (2003) 152
McCarthy et al. The Veterinary Journal (2007) Volume 174, doi.org/10.1016/j.tvjl.2006.02.015
Gupta et al. ,Journal of Animal Physiology and Animal Nutrition(2012), Volume96, doi.org/10.1111/j.1439-0396.2011.01166.x
D'Altilio et al. Toxicology Mechanisms and Methods (2007), Volume17, doi.org/10.1080/15376510600910469
Johnson et al. Osteoarthritis and Cartilage(2001), Volume 9, doi.org/10.1053/joca.2000.0345
Moreau et al, Veterinary Record (2003) 152
- 【調査デザイン】 前向き無作為抽出二重盲検試験
- 【調査対象】 飼い主による主観的な評価で荷重不全が報告された、もしくは獣医師によるレントゲン撮影で骨関節炎の徴候が肘、膝、股関節に1~2箇所認められた犬71頭(12ヶ月齢以上/20kg以上)
- 【比較グループ】
●グルコサミン塩酸塩(500mg)+ コンドロイチン硫酸(400mg)+ マンガン・アスコルビン酸(75mg)
●カルプロフェン(NSAIDsの一種 | 2.2mg/kg | 12時間毎に60日間)
●メロキシカム(鎮痛剤の1種 | 初日0.2mg/kg | 0.1 mg/kgを残りの59日間)
●プラセボ(偽薬 | 30日間) - 【結果】
✓「グルコサミン塩酸塩 + コンドロイチン硫酸 + マンガン・アスコルビン酸」および「プラセボ」では主観的・客観的な指標のどれにおいても有意な改善は見られなかった
✓「カルプロフェン」では床反力、整形外科医による総合評価で有意な改善が見られたが、飼い主の主観評価では改善が見られなかった
✓「メロキシカム」では床反力、整形外科医による総合評価、および飼い主の主観評価のすべてで有意な改善が見られた
McCarthy et al. The Veterinary Journal (2007) Volume 174, doi.org/10.1016/j.tvjl.2006.02.015
- 【調査デザイン】 多施設前向き無作為抽出二重盲検試験
- 【調査対象】 最低1ヶ月以上経過している慢性的な荷重不全、関節のこわばり、関節痛、レントゲン写真による骨関節炎の徴候(肘、膝、股関節)が見られる犬35頭
- 【比較グループ】
●グルコサミン塩酸塩 +コンドロイチン硫酸 +N-アセチル-D-グルコサミン+アスコルビン酸 +硫酸亜鉛
●カルプロフェン2mg/kgを1日2回で7日間続けた後、同量を1日1回63日間 - 【結果】
✓「グルコサミン塩酸塩+ コンドロイチン硫酸 + N-アセチル-D-グルコサミン+ アスコルビン酸 + 硫酸亜鉛」では痛み、荷重、全体的なコンディションスコアが70日目の段階で改善した。しかし荷重不全と関節可動域スコアは不変だった。うち2頭は不明な副作用により脱落した。
✓「カルプロフェン」では5つすべての項目において改善を見せた
Gupta et al. ,Journal of Animal Physiology and Animal Nutrition(2012), Volume96, doi.org/10.1111/j.1439-0396.2011.01166.x
- 【調査デザイン】 前向き無作為抽出二重盲検試験
- 【調査対象】 中等度の骨関節炎を抱えている犬30頭超(18kg以上)
- 【比較グループ】
●グルコサミン塩酸塩(2000mg) + コンドロイチン硫酸(1600mg) + 非変性タイプIIコラーゲン(10mg)/150日間
●グルコサミン塩酸塩(2000mg) + コンドロイチン硫酸(1600mg) /150日間
●非変性タイプIIコラーゲン(10mg)/150日間
●プラセボ/150日間 - 【結果】
✓「プラセボ」ではどの項目でも変化なし
✓「グルコサミン塩酸塩 + コンドロイチン硫酸」は90日時点で痛みの改善が見られ150日目でピーク ✓150日の時点における成績は痛み全体が-51%、四肢を動かした後の痛みは-48%、身体的負荷の後の痛みは-43%。床反力は不変
✓「グルコサミン塩酸塩 + コンドロイチン硫酸+非変性タイプIIコラーゲン」は変化なし
D'Altilio et al. Toxicology Mechanisms and Methods (2007), Volume17, doi.org/10.1080/15376510600910469
- 【調査デザイン】 前向き無作為抽出二重盲検試験
- 【調査対象】 骨関節炎の徴候を示す犬20頭
- 【比較グループ】
●グルコサミン塩酸塩(2000mg) + コンドロイチン硫酸(1600mg) + 非変性タイプIIコラーゲン(10mg)/120日間
●グルコサミン塩酸塩(2000mg) + コンドロイチン硫酸(1600mg) /120日間
●非変性タイプIIコラーゲン(10mg)/120日間
●プラセボ(偽薬)/120日間 - 【結果】
✓「プラセボで」はどの項目でも変化なし
✓「グルコサミン塩酸塩 + コンドロイチン硫酸」 →痛みのスコアは減少したが統計的に有意ではなかった。また30日間の非投与期間中に再発した。
✓「グルコサミン塩酸塩 + コンドロイチン硫酸+非変性タイプIIコラーゲン」→痛みの総合スコア、四肢を動かした後の痛み、運動誘発性の荷重不全に改善は見られなかった
Johnson et al. Osteoarthritis and Cartilage(2001), Volume 9, doi.org/10.1053/joca.2000.0345
- 【調査対象】 人為的に骨関節炎を誘発されたラボ犬16頭(23~32kg)
- 【比較グループ】
●グルコサミン塩酸塩(250mg)+ コンドロイチン硫酸(200mg) + マンガン・アスコルビン酸(5mg) + 前十字靭帯再建
●グルコサミン塩酸塩(250mg) + コンドロイチン硫酸(200mg) + マンガン・アスコルビン酸(5mg) + 疑似・前十字靭帯再建
●疑似・前十字靭帯再建
●前十字靭帯再建 - 【結果】 ✓「グルコサミン塩酸塩+ コンドロイチン硫酸 + マンガン・アスコルビン酸」→滑液のマーカーが改善したが関節だけに集中していたわけではなかった