詳細
調査を行ったのは東京大学を中心としたチーム。「離乳食前=11~15日齢」、「離乳直後=6~7週齢」、「若齢=2歳」、「高齢=10~13歳」、「老齢=16~17歳」という5つの年齢層に属する犬たちを10頭ずつ集めて糞便サンプルを採取し、中に含まれる腸内細菌叢を遺伝子レベルで解析しました。その結果、細菌の構成は決して一様ではなく、加齢に伴って変化することが明らかになったと言います。具体的に確認された変化は以下です
こうした事実から調査チームは、人間における善玉菌の代表格は「ビフィズス菌」である一方、犬におけるそれは「乳酸菌」なのではないかと推測しています。また特に、幼い犬に特有の「L. johnsonii」がプロバイオティクスとしての可能性を最も強く秘めているのではないかとも。 Transition of the intestinal microbiota of dogs with age. Bioscience of Microbiota
MASUOKA H, SHIMADA K, KIYOSUE-YASUDA T, et al., Food and Health. 2017;36(1):27-31. doi:10.12938/bmfh.BMFH-2016-021
加齢と腸内細菌の変化
- 乳酸菌量離乳前>高齢 | 老齢が最少
- ビフィズス菌離乳前で50% | 離乳直後で60% | その他のグループでは検出されず
- クロストリジウム離乳直後以外のグループでのみ検出された
- 腸内細菌科若齢や高齢<離乳前 | 老齢>高齢
- バクテロイデス科離乳前や離乳直後>若齢
- 真正細菌離乳直後が最多
こうした事実から調査チームは、人間における善玉菌の代表格は「ビフィズス菌」である一方、犬におけるそれは「乳酸菌」なのではないかと推測しています。また特に、幼い犬に特有の「L. johnsonii」がプロバイオティクスとしての可能性を最も強く秘めているのではないかとも。 Transition of the intestinal microbiota of dogs with age. Bioscience of Microbiota
MASUOKA H, SHIMADA K, KIYOSUE-YASUDA T, et al., Food and Health. 2017;36(1):27-31. doi:10.12938/bmfh.BMFH-2016-021
解説
今回の調査で分かった事は、犬の腸内細菌叢が加齢に伴って変化するという事実です。逆にはっきりわかっていない事は、腸内細菌叢の変化が犬の健康増進に寄与しているかどうかという点です。過去に行われた調査では、臨床上健康な6頭の犬を対象として腸内細菌叢の分析が行われ、以下のような構成比が報告されています。
健康な犬の腸内細菌叢
- バクテロイデス門=35%
- フィルミクテス門=35%
- プロテオバクテリア門=13~15%
- フソバクテリウム門=7~8%