詳細
調査を行ったのは、イギリスのケンブリッジ大学やブリストル大学などを中心としたチーム。イギリスのゴッドマンチェスターにある動物保護施設に収容された犬を二重盲検ランダム化方式で2つのグループに分割し、一方のグループ(399頭)にはシンバイオテクス、もう一方のグループ(374頭)には偽薬を投与し、下痢の頻度にどのような変化が現れるかを比較検討しました。
Rose, L., Rose, J., Gosling, S. and Holmes, M. (2017), J Vet Intern Med. doi:10.1111/jvim.14666
- シンバイオテクス
- 腸内細菌叢の機能を改善する微生物である「プロバイオティクス」と、微生物に栄養を与える「プレバイオティクス」の両方を含んだ健康食品の一種。今回の調査で用いられたのは「Protexin Veterinary」が販売しているもので、プロバイオティクスには「Enterococcus faecium NCIMB 10415 4b1707」(2×109/1カプセル)、プロバイオティクスにはフラクトオリゴ糖とアカシア(46.4mg/1カプセル)が含まれている。
Rose, L., Rose, J., Gosling, S. and Holmes, M. (2017), J Vet Intern Med. doi:10.1111/jvim.14666
解説
ストレスの多い収容動物で頻繁に見られる下痢は、職員の時間と労力を奪うと同時に、掃除費用や診療費などを膨らませる厄介な症状の1つです。動物の体調が回復するまで待たなければならないため、譲渡される機会が遅れたり奪われたりすることもあります。今回の調査で示されたように、シンバイオテクスに下痢の頻度を下げる効果があるのだとしたら、動物の苦痛を緩和すると同時に費用対効果の面でいくらか有利になるかもしれません。
日本国内においてもプロバイオティクスは流通していますが、その内容は以下に示すようにバラバラです。また。医薬品ではなくあくまでも健康食品であるため、成分にどのような効果があるのかをデータによって実証する義務はありません。
日本国内においてもプロバイオティクスは流通していますが、その内容は以下に示すようにバラバラです。また。医薬品ではなくあくまでも健康食品であるため、成分にどのような効果があるのかをデータによって実証する義務はありません。
日本のプロバイオティクス
- フェカリス菌
- エンテロコッカス・フェシウム
- ラクリス菌
- ペディオコッカス菌
- ビフィズス菌
- ラクトバチルスアシドフィラス
- ラクトバチルス・パラカゼイK71株
- 有胞子乳酸菌