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犬猫用のペットフードは地球温暖化を促進している

 アメリカ国内で犬や猫に給餌されているペットフードは、家畜動物が原因とされる温室効果ガスの排出に拍車をかけているかもしれません(2017.8.10/アメリカ)。

詳細

 調査を行ったのはカリフォルニア大学のグレゴリー・S・オーキン氏。アメリカ国内における犬や猫の飼育頭数や給餌されているペットフードの種類といったデータを元に、動物由来のエネルギー源が一体どの程度含まれているのかを試算しました。主な結果は以下です。
人口・頭数(2015年)
  • 男性=1億6,050万人
  • 女性=1億6,050万人
  • 犬=7,780万頭
  • 猫=8,560万頭
年間エネルギー消費量
1PJ(ペタジュール)=2,390億kcal
犬の体重は1頭22kg、猫の体重は1頭4.2kgで計算されている
犬や猫によるエネルギー消費量は人間の19%、人数に換算するとおよそ6,200万人分に相当する
  • 男性=605±5PJ
  • 女性=445±4PJ
  • 犬=159±13PJ
  • 猫=45±2
動物由来エネルギー年間消費量
犬や猫による動物由来エネルギー消費量(68PJ/年)は、人間(206PJ/年)のおよそ33%に相当。動物由来エネルギー全体の25%を占める。
  • 人間=総消費エネルギーの20%(≒206PJ)
  • 犬=総消費エネルギーの34%(≒54PJ)
  • 猫=総消費エネルギーの31%(≒14PJ)
年間排泄物量
1Tg(テラグラム)=10億kg=100万トン
犬や猫による排泄物は人間のおよそ30%に相当
  • 人間:17.2Tg
  • 犬:4.4Tg
  • 猫:0.72Tg
 犬と猫を総合して考えた場合、動物由来の食事が環境に及ぼす影響のうち、犬や猫が最大で24~30%に関与している可能性があると推定されました。また、食用動物の飼養を通じて土地占有、水資源や化石資源の消費、リン酸肥料や殺生物剤の散布、排泄物(ゲップやおなら)などが増加し、大量の亜酸化窒素やメタンが排出されているとも。その総量は、二酸化炭素に換算すると6,400万トンと推計されています。 草をはむ肉牛たちは大量のメタンを排出する  こうした結果から調査チームは、地球温暖化という問題を考える際、ペット動物に与える食事とそれに起因する温室効果ガスの総量は決して無視できないと警告しています。そして温室効果ガスの発生を低減するためには、動物性タンパクを必要とする犬や猫の代わりに、植物由来の食事でも飼育できる鳥やげっ歯類などを飼うように務め、世界的に飼育数を減らしていかなければならないとも。
Environmental impacts of food consumption by dogs and cats.
Okin GS (2017) PLoS ONE 12(8): e0181301. doi.org/10.1371/journal.pone.0181301

解説

 犬や猫に与えるフードは人間用に生産された動物性食品の余り物だから、人間の動物性食品消費量と犬猫の消費量を分けて考えるのは二重カウントであるという反論があります。しかしペットフードに用いられる動物性タンパクの中には、割高な「プレミアム商品」のように必ずしも余り物では無いものが含まれているため、100%二重カウントであると想定するのも不自然です。調査チームは、仮に犬や猫が消費する動物性食品(年間68PJ)のうち75%が人間の余り物だったとしても、残りの25%はペットフードを製造するために割り当てられた動物たちであり、やはり温室効果ガスの増加に拍車をかけていることに違いは無いとしています。推計では2,600万人分の動物性食品消費量に匹敵するとのこと。 1900年から2000年までの100年間で世界人口は16億人から68億人に激増した  過去100年間における世界人口の推移を見る限り、人類の増加率は驚愕に値します。調査チームは、地球温暖化を減速させるためには犬や猫の飼育頭数を世界的な努力で減らさなければならないと提言していますが、温暖化を最も促進している動物はどう考えても犬や猫ではないでしょう。このままいくと、小説に登場するマッドサイエンティストのように「人間は地球にとって害虫だ。特殊なウイルスを開発して人口の3分の1から強制的に繁殖能力を奪ってしまおう!」と考える人が出てこないとも限りません。