詳細
「Linguatula serrata」は、扁平で細長い体を持つ舌形動物の一種。形が舌に似ており、犬を始めとする肉食動物を終宿主とすることから「イヌシタムシ」(犬舌虫)という俗称でも呼ばれています。
「ESCCAP」(欧州伴侶動物寄生虫科学委員会)の英国支部はこの度、上記「イヌシタムシ」の国内感染例がここ数ヶ月で急増していることを受け、獣医師に対して「頭の片隅においておくように」との警告を出しました。
寄生虫の出所と考えられえているのは、ルーマニアを始めとする東欧からイギリス国内に移送されてきた保護犬たち。鼻腔内から分泌される粘液や細胞の残渣を食べながら潜むこの寄生虫は、宿主である犬の鼻出血、くしゃみ、異音などを引き起こし、多大なる不快感の原因となります。命を脅かすタイプの寄生虫ではないものの、膿性の鼻汁といった深刻な症状を引き起こすこともあることから、決して甘く見てはいけないとのこと。
寄生虫の症例が珍しく、存在自体を知らない獣医師もいることから、「ESCCAP」は鼻腔関連の症状が見られて原因がよくわからないような場合は、「イヌシタムシ」の可能性を除外しないようにと注意を喚起しています。 Vet advises vigilance against European rescue dog parasite(vet times)
寄生虫の出所と考えられえているのは、ルーマニアを始めとする東欧からイギリス国内に移送されてきた保護犬たち。鼻腔内から分泌される粘液や細胞の残渣を食べながら潜むこの寄生虫は、宿主である犬の鼻出血、くしゃみ、異音などを引き起こし、多大なる不快感の原因となります。命を脅かすタイプの寄生虫ではないものの、膿性の鼻汁といった深刻な症状を引き起こすこともあることから、決して甘く見てはいけないとのこと。
寄生虫の症例が珍しく、存在自体を知らない獣医師もいることから、「ESCCAP」は鼻腔関連の症状が見られて原因がよくわからないような場合は、「イヌシタムシ」の可能性を除外しないようにと注意を喚起しています。 Vet advises vigilance against European rescue dog parasite(vet times)
解説
名前にはインパクトがあるものの、「イヌシタムシ」の日本における症例報告はほとんど無いようです。念のため基本情報をまとめると以下のようになります。
イヌシタムシの基本情報
- 形オスの成体は約2cm、メスの生体は9~12cmという性的二型。体は細長く先端部は扁平で、体表には90前後の環状輪がある。腹面には5つのくぼみがあり、宿主に引っ掛けるための2対の鉤(フック)と口を隠している。
- 生活環中間宿主は草食哺乳類、終宿主は肉食哺乳類。
メスが終宿主の鼻腔内で産卵→卵が宿主の体内から糞便として出て植物の葉などに付着→中間宿主がそれを食べる→幼虫が胃や肝臓といった臓器に移動し、約6ヶ月かけて成体に近づく→終宿主が中間宿主を食べる→胃から食道、咽頭腔を経て鼻腔に達する→最後の脱皮が行われて成体となる→4ヶ月目頃から交尾を始める→最初へ戻る - 宿主中間宿主はウマ、ヒツジ、ヤギ、ウサギなどの草食動物。終宿主はイヌ、キツネ、オオカミなどの肉食動物。人間に感染することもあるが、中間宿主なので成体まで大きくなることはできず、1~2週間で死亡する。
- 流行地域アフリカ、中東、ヨーロッパ、南米などの犬に多い。特にレバノンやスーダンでは犬の保有率が高く、人に感染したときの病名として「Halzoun病」、「marrara症候群」といった名前が付いている。日本国内で遭遇することはまずないが、存在自体は確認されている。寄生現象の不思議