詳細
「MRI」(核磁気共鳴画像法)とは、被験者に高周波の磁場を与えることで発生した反応を画像化する装置。一方「CT」(コンピュータ断層撮影)とは、放射線などを用いて物体の内部を画像化する装置です。
どちらの装置でも、画像のコントラストを明瞭化して視認性を高めるため、造影剤が用いられることがあります。造影剤にはわずかながら副作用の危険性がありますが、犬や猫に対して用いた場合、一体どの程度の確率で起こるのかに関しては、数えるほどしか研究例がありませんでした。
そこでイギリス・リバプール大学の調査チームは2011年1月から2013年4月までの期間、CTのため「イオヘキソール」と呼ばれる非イオン性造影剤を投与された356頭の犬(平均年齢90.4ヶ月 | 平均体重26.3kg)と、MRIのため「ガドブトロール」と呼ばれるガドリニウム系造影剤を投与された452頭の犬(平均年齢75.9ヶ月 | 平均体重20.2kg)を対象とした大規模な統計調査を行いました。静脈注射によって造影剤を投与する5分前と5分後のタイミングで、脈拍、呼吸数、平均動脈血圧を計測したところ、以下のような副作用が見られたと言います。なお「軽度」とは、3項目のうちどれか1つでも10%以上20%未満の変化を見せたこと、「中等度」とは20%以上の変化を見せたこと、「重度」とは緊急治療を要する程度の変化を見せたこと意味しています。
こうしたデータから調査チームは、「イオヘキソール」にしても「ガドブデリン」にしても、緊急治療を要するほど重度の副作用を引き起こす事は稀であるとの結論に至りました。ただ「イオヘキソール」を用いた場合の「中等度」副作用の発生リスクが、「ガドブデリン」を用いた場合のちょうど2倍になることが明らかになったそうです。 Adverse reactions following administration of contrast media for diagnostic imaging in anaesthetized dogs and cats: a retrospective study
そこでイギリス・リバプール大学の調査チームは2011年1月から2013年4月までの期間、CTのため「イオヘキソール」と呼ばれる非イオン性造影剤を投与された356頭の犬(平均年齢90.4ヶ月 | 平均体重26.3kg)と、MRIのため「ガドブトロール」と呼ばれるガドリニウム系造影剤を投与された452頭の犬(平均年齢75.9ヶ月 | 平均体重20.2kg)を対象とした大規模な統計調査を行いました。静脈注射によって造影剤を投与する5分前と5分後のタイミングで、脈拍、呼吸数、平均動脈血圧を計測したところ、以下のような副作用が見られたと言います。なお「軽度」とは、3項目のうちどれか1つでも10%以上20%未満の変化を見せたこと、「中等度」とは20%以上の変化を見せたこと、「重度」とは緊急治療を要する程度の変化を見せたこと意味しています。
ガドブトロール
- 軽度=42頭(9.9%)
- 中等度=87頭(20.5%)
- 重度=1頭(0.2%)
イオヘキソール
- 軽度=64頭(18.0%)
- 中等度=65頭(18.3%)
- 重度=3頭(0.8%)
こうしたデータから調査チームは、「イオヘキソール」にしても「ガドブデリン」にしても、緊急治療を要するほど重度の副作用を引き起こす事は稀であるとの結論に至りました。ただ「イオヘキソール」を用いた場合の「中等度」副作用の発生リスクが、「ガドブデリン」を用いた場合のちょうど2倍になることが明らかになったそうです。 Adverse reactions following administration of contrast media for diagnostic imaging in anaesthetized dogs and cats: a retrospective study
解説
ガドリニウム系造影剤を用いた場合の、軽度から中等度の副作用発生率は、人間で0.07%~2.4%程度と推定されています。今回の調査では30%以上の犬が軽度から中等度の副作用を起こしていますので、かなり高い数値と言えるでしょう。
人医学の分野では、非イオン性造影剤の登場により重度の副作用発生率が0.2%から0.04%まで減ったという報告があります。また獣医学の分野では2008年、非イオン性造影剤の登場により中等度の副作用発生率は1%まで減ったと報告されています。しかし今回の調査では18.3%もの犬が、中等度の副作用を経験しました。2008年の調査よりも今回の調査の方が対象数が多いため、どちらかといえば当調査結果の方が真実に近いと考えられます。
犬においてなぜ副作用の発生率が高いのかはよく分かっていませんが、影響を及ぼす因子としては以下のようなものが想定されています。特にアレルギーを抱えた犬では、アナフィラキシーショックを起こしたという報告例もありますので要注意です。
人医学の分野では、非イオン性造影剤の登場により重度の副作用発生率が0.2%から0.04%まで減ったという報告があります。また獣医学の分野では2008年、非イオン性造影剤の登場により中等度の副作用発生率は1%まで減ったと報告されています。しかし今回の調査では18.3%もの犬が、中等度の副作用を経験しました。2008年の調査よりも今回の調査の方が対象数が多いため、どちらかといえば当調査結果の方が真実に近いと考えられます。
犬においてなぜ副作用の発生率が高いのかはよく分かっていませんが、影響を及ぼす因子としては以下のようなものが想定されています。特にアレルギーを抱えた犬では、アナフィラキシーショックを起こしたという報告例もありますので要注意です。
造影剤副作用の要因
- 冠状動脈異常
- 喘息
- アトピー
- 過去の造影剤使用歴
- 投与スピード
- 体位変換