詳細
「READ」(Reading Education Assistance Dogs)とは1999年、「Intermountain Therapy Animals」という団体が創始した教育プログラムの一種で、犬に対して読み聞かせるというポジティブな経験が、読む行為と連動したネガティブな感情(恥ずかしい・緊張する・友達に笑われるetc)を相殺し、読書に対する子供たちのモチベーションを高める効果があるとされています。このプログラムはその後、イギリスの「Bark and Read Foundation」やオーストラリアの「Classroom Canines」といった団体によって採用されて世界中に広まっていきましたが、本当に効果があるのかどうかを厳密に検証した報告は存在していませんでした。
イギリス・リンカーン大学の研究チームは、複数の論文データベースの中から「犬がいる環境における子供の読み聞かせ」をテーマにしたものをピックアップし、「READ」の効果に関する世界初のメタ分析を行いました。関係が薄い論文を省いて行った結果、最終的に48の研究論文が分析対象として残ったと言います。内訳は以下です。なお「Level」とは「OCEBM」と呼ばれる評価基準によって証拠(エビデンス)の信憑性を分類したものです。
「READ」に関する研究報告
- Level 5はっきりとした批評的査読が入っていない専門家の意見=27
- Level 4コホートと対照群設定の質が低いケースシリーズ=13
- Level 2c成績調査=7
- Level 2b対照群設定の質が低い試験を含む個人的なコホート調査=1
「READ」の作用メカニズム
- 気分の高揚効果読み聞かせとポジティブな経験が結びつく・読むときの自信がつく・やる気が出る→読む能力の上昇!
- 意識の覚醒効果読み聞かせとポジティブな経験が結びつく・読むときの自信がつく・やる気が出る→読む能力の上昇!
「READ」効果の解釈上の制限
- 調査の対象としたサンプル数が少ない
- 結論に研究者の予測や意見が入り込む余地がある
- 長期調査を行っていない
- 効果の評価システムが曖昧
- 調査群と対照群の無作為的な振り分けが不十分