詳細
調査を行ったのは、カナダ・ブリティッシュコロンビア大学のチーム。後天的に犬のしっぽを切り落とす「断尾」および耳を切り落とす「断耳」といった整形手術が、一体どのくらいの人に認知され、またどういった影響を及ぼすのかを明確化するため、インターネットを介して募った被験者を対象とした大規模な調査を行いました。その結果、以下のような事実が明らかになったといいます。
断尾・断耳の意識調査結果
- 整形手術の認知度 断尾や断耳が後天的に行われる人為的な外科手術であると認識していた人の割合は「57.9%」、生まれつきであると思い込んでいた人の割合は「40.4%」だった。認知度は男性(52.5%)よりも女性(65.5%)の方が、また犬を飼っていない人(51.4%)よりも犬の飼い主(67.9%)の方が高かった。
- 犬に対する印象 断尾や断耳を施された犬は、施されていない犬より攻撃性と支配性が高く、遊び好きでなく、魅力に乏しいと評価された。
- 人に対する印象 断尾や断耳を施された犬の飼い主は攻撃的で温かみに欠け、自己愛が強い(ナルシストである)と評価された。
解説
日本国内では断尾や断耳といった整形手術が横行しており、それを制限する規則もありません。ペットショップに並んでいるトイプードルやミニピンのしっぽの多くは、生後間もなくブリーダーの手によって切断されてしまいます。そしてこうしたブリーダーの中には、「悪徳繁殖業者と一緒にするな!私はシリアスブリーダーだ!」と言っている人も含まれます。しかし犬の福祉よりも目先の売り上げが優先され、シリアスに啓蒙に取り組んでいる人がほとんどいないというのが現状です。断尾や断耳手術がいかに無意味でバカげたものであるかに関しては以下のページにまとめてありますので、知らなかった方はぜひご参照ください。
なお以下はブリティッシュコロンビア大学が行った3つの調査に関する詳細です。
断尾・断耳の意識調査
- 調査1【被験者】810名 | 平均44歳 | 男性59% | 犬の飼い主39%
【調査方法】ドーベルマン、ミニチュアシュナウザー、ブリュッセルグリフォン、ボクサーの全身写真を見せた後、10個の特性(被毛の色・他の犬への攻撃性・遊び好き・人への恐怖心・支配性・無駄吠え・体の大きさ・歯の数・しっぽの長さ・耳の形と大きさ)に関して「完全に遺伝的=0」~「完全に人為的=6」までの7段階で評価する。その後、整形手術を施した犬と施していない犬の写真を見せ、以下の中から正しい記述を選んでもらう。
✓同じ犬種でも個体によっては尻尾や耳の形が異なる
✓犬種の中には、生まれてから耳や尻尾を外科的に切除されるものがいる
✓上記のどちらも正しくない - 調査2【被験者】392名 | 平均34歳 | 男性61% | 犬の飼い主38%
【調査方法】4犬種(ドーベルマン・ミニチュアシュナウザー・ブリュッセルグリフォン・ボクサー)の整形手術を施した写真と施していない写真を用意し、被験者にどちらか一方だけ提示する。その後、性格に関する描写(人に対して攻撃的・他の犬を怖がる・従順etc)について「全く違う=0」~「全くその通り=6」までの7段階で評価してもらう。 - 調査3【被験者】420名 | 平均34歳 | 男性56%
【調査方法】男性と女性の姿が犬とともに提示され、犬には「整形済み」と「未整形」というバリエーションがある。その後、提示された人間の人柄に関する質問(温かみ・能力・ペットへの愛着・自己愛etc)に回答してもらう。